2008年04月28日

セムラーイズム ~ リカルド・セムラー + 気づいた人はうまくいく!

一体どうなってんだぁ?この会社!

書籍情報

セムラーイズム 全員参加の経営革命 (SB文庫)
リカルド・セムラー
ソフトバンククリエイティブ
売り上げランキング: 85923

本のひらめき

セムコ社。その名を初めて知ったのは、「奇跡の経営」という本だった。
 http://www.webook.tv/bn/2006/04/post_1073.html

神戸空港のラウンジで目に付いた本だった。なんだかすごい会社がある!、そんな興奮を覚えながら読んだのは2年前。

コムコ社は、ブラジル・サンパウロにあるコングロマリット企業で、リカルドセムラー氏が父親から経営を譲られた会社。当時は倒産の恐れもある小さな会社だったという。そこでかなり大胆(非常識?)な改革を行い、大成功。今では、世界の名だたる企業幹部が視察にくるという。IBM,GE,京セラ、ベンツ・・・などなど。

なにしろこの会社は、とても不思議な会社で、組織図がない、人事部もない、サラリーも社員が自主的に決める・・・といった非常識な会社なのだ。

本書は、セムコ社が、世界が注目するセムコ社になっていく過程を、著者の一人称の語りですすめていく。父から会社を引き継いだときの様子、主要な幹部の首を言い渡す様子、ストライキがなくなる過程、ピラミッド組織から同心円組織への変更、、サラリーを社員が自主的に決定する制度の導入・・・などなど、私たちが今、当然(常識)だと思っていることが、覆されていく様子がリアルに語られている。

そして、読者はだんだんこんな思いに沈んでいく。

 確かに、ものすごい会社だ、しかし、うちではちょっと無理だ・・・・

ごもっとも! 著者も最後にこう述べている。

 セムコ社は、モデル企業でもなんでもなく、また、
 すぐに効果のあるプログラムを提供できるものでもない・・・
 ただ、読者の会社が、自社の経営や職場生活の在り方を考え直す
 契機になれば幸いだ。

大いに刺激をうけられる本である。

ただ、詳細な記述は読むのが大変。サクっと知りたい方は、「奇跡の経営」のほうをまずはお勧めしたい。

  http://www.webook.tv/bn/2006/04/post_1073.html
  http://webook.seesaa.net/article/18602508.html (PodCast webook)

そのあと、本書でじっくりがいいかも。


僕の思いつき

最近、日本でもJSOXとやらで、やたら業務規程をしっかりまとめましょうとか、業務フローやリスク管理をテーブルにしておこう・・・なんて、やっている。エンロン事件などのあおりで、会計がらみの社内のしくみを不正がないようにがっちり規定をきめて運用しましょう・・という流れだ。

時の流れとしては、現在は、セムコ社の経営とは逆方向に世の中が進んでいる。

 自由、自主、自律 <---> 規定、規則、権限

という相関があるとすれば、思いっきり右に振れている状況だ。
(僕は、これがどうにも肌に合わない)

著者は、ルールや規則は(一部の例外を除けば)次の目的に役立つだけだと喝破している。

  1.会社の本来の目的の注意が留守になる
  2.幹部社員に空虚な安心感を提供する。
  3.非生産的で不要な業務をうみ出す。
  4.もう役にも立たない古いやり方に固執する。

セムコ社が由っているのは、「常識」というややあいまいなものだ。
そういうものをきっちり管理するよりも、ビジネスをがっちりやるほうに重心を置こう・・というのが彼らのやり方。

何かと何かのバランスをうまくとる・・そういうことが求められる時代かもね。

ルールを決め、それを100%実施することで安心してしまう風土が会社の中に、もしあるのなら、それは進化をあきらめた状態だと思ったほうがいいかもしれない。

現実世界は、割り切れないグレーな世界でいとまなれており、100%うまく規定できるものはないけれど、大切なことはだいたいにおいていい感じにいっている、という煮え切れない世界(笑)を寛容できる「大人社会」こそが、私たちに求められているのかなぁ・・・

などと、煮え切らないことを思いつつ、今日はこれでおしまい。笑



オススメ度

★★★★☆+管理を放棄した会社

読んで欲しい方

・面白い会社にしたい方
・経営を担っている方
・仕事って何?を感じたい方

Posted by webook at 13:17 | Comments (0) | TrackBack

2008年04月21日

謎の会社、世界を変える。 ~ 須田将啓/田中禎人 + ジェイカレッジLAの話

この本、きっと、伝説の起業物語になる。

書籍情報

謎の会社、世界を変える。―エニグモの挑戦
須田 将啓 田中 禎人
ミシマ社
売り上げランキング: 137


本のひらめき


 
本書は、エニグモという注目のベンチャー企業共同経営者の須田さん田中さんが書いた起業物語である。すっごくわくわくして読める。
  エニグモ : http://www.enigmo.co.jp/

広告代理店、博報堂に働いていた二人が、「すごいことを、思いついた」と語りはじめた瞬間から、この物語は始まる。

構想をあたため、企画に練り上げ、応援してくれる人や外部企業も巻き込みながら進む、エニグモ創世記は、はらはらどきどきのリアルタイム物語。とても高揚する気分になれる。ひさびさに血圧が上がるベンチャー物語だ。

彼らが作り上げた世界初のサービスには、こんなのがある。

○「BuyMa(バイマ)」 http://www.enigmo.co.jp/business/buyma.html
  誰もがバイヤーになれ、ほしい物を世界中のバイヤーに頼める、
  グローバル・ショッピング・コミュニティ
○「filmo(フィルモ)」 http://www.enigmo.co.jp/business/filmo.html
  企業や商品のCMを一般の人がつくる消費者参加型CM制作ネットワーク
○「プレスブログ」 http://www.enigmo.co.jp/business/pressblog.html
  企業のプレスリリースを個人のブログで宣伝するバイラルプロモーション
○「シェアモ(ShareMo)」 http://www.enigmo.co.jp/business/sharemo.html
  誰かと共有してもいいものは共有したり使いまわしたりしようという
  ソーシャル・シェアリング・サービス

いずれも、社会起業家的な発想が素敵だ。本書は、これらの発想や開発プロセスなどが、二人の著者やエニグモにかかわった人の言葉で綴られている。

途中で、ホリエモンが登場したり、システム開発に重大なトラブルが発生したり、会員が伸びずに悩んだり・・・物語の要素がいっぱいある。きっと、エニグモは伝説のベンチャーになるはず。

ほんとに世界が変わるかも・・・なんて思える。
わくわくの起業物語で、エネルギーを励起してみよう。


僕の思いつき

この本の帯には、「ソニー、ホンダを超えてほしい」という出井伸之さんの推薦文がある。越えてほしいというのは、超えるかもしれない・・という期待感でもある。

僕もこの本を読み進めながら、そんな気がした。

かつて・・

渋谷でビットバレー(覚えてる?;笑)がもてはやされたころ、何人かの知り合いとわくわくするネットビジネスについて話したことがあった。アマゾンやグーグルでWEB2.0の時代と言われ、すごい世の中になったと感心したことがあった。

いろんなサービスがあり、いろんなアイデアが実現化され、もう今からは凄いサービスなんて出てこないだろうな、なんて思っていた僕は、恥ずかしながらこのエニグモの存在を知らなかった・・・汗;

最近、自社のCMを手作りしながら、これって衆智を集めてビジネスになるよな・・・と思っていたところだから、エニグモの世界初の一つ「フィルモ」は先を越された!である。悔しさ100倍。うーん、すでに周回遅れもいいところか・・・と思った。

(しかし、それでもまだきっとその先がある・・・)

そう思わせてくれたのは、あとがきの一文。

著者のひとり須田さんがこう書いている。

 エニグモの世界発第5弾の最新サービスも、町に捨てられている新品の ビニール傘を見て「間違ってる」と思ったことがきっかけで生み出された。

世の中には、まだまだいっぱいビジネスのネタにあふれているのだ。 

あなたも、Moso(もうそう)してみようよ。世界初を目指して。



オススメ度

★★★★★+はちゃめちゃ♪

読んで欲しい方

・世の中を変えたいと思ってる方
・起業をめざす方
・わくわくを感じたい方

Posted by webook at 13:18 | Comments (0) | TrackBack

2008年04月05日

ビジネスマンのための「発見力」養成講座 ~ 小宮一慶 + マスタードの花

 おっほーっ、そうだったのか!

書籍情報

ビジネスマンのための「発見力」養成講座
小宮 一慶
ディスカヴァー・トゥエンティワン
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本のひらめき

普段何気なく眺めているものを、深く観察してみると意外な発見があったりすする。深く眺めるといっても、ただじっと見ているだけでは何も起きない。そこには視点というレンズが必要であり、ときには既存のレンズをはずすことも必要になる。

本書は、ものが見えるようになるヒントが、ものすごく面白く紹介されている。コンサルタントとして活躍する著者が、斬新な視点から物事の本質を喝破し、適切な提言ができるのは、なぜか・・その秘密の一端がわかる。

「物事が見える」ためには、「関心」を持つこと、そして、「仮説」を立てて眺めることが重要だという。

たとえば、セブンイレブンの事例が登場する。僕も含め多くの人は、生活の中で何千回と目にしているセブンイレブン。そのロゴの最後のNが小文字だったなんて! 7 ELEVEn が正式がロゴである。そういわれてお店の看板をじっくり眺めたら確かに最後のNは小文字の「n」だった!気にしていれば(関心があれば)見えてくる、そんな事例である。

JR新幹線の切符が自動改札のところでどのように出てくるか・・・という話も、驚きの事実があった。(JT東海とJR東日本では違っていたらしい)

どれも関心がなければ、「見えてこない」ことばかり。関心を持つことが第一。

次に重要なのが、「仮説」。仮説とは判断基準。これが私たちの見える力を決定的に左右しているという。

どうしたらいいか・・

分解してポイントを絞る。(若い女性の間で何が流行っているか、ではなく、→どんな色が流行っているか、のように絞る)

また「消えていったものに注目」したり、「全体を推測しうる一点」を見つけたり・・など、なるほどというヒントがある。

新幹線のグリーン車で景気を見たり、サラダバーのトマトのへたで一流ホテルかどうかを見分けたり、旭山動物園の人気の秘密を考えたり、日経新聞の数字の見方があったり・・・普段の日常の中の事象を縦横無尽に行き来する軽快な展開は、読者に時間を忘れさせてくれるだろう。

最後に、見えるということの先に、ものごとの本質だけではなく、人の喜びや悲しみが見えることのほうが大事だという結びは、爽やかな余韻を残してくれる。

たくさんのビジネスマンに読んでほしい一冊。


僕の思いつき

関心の幅x関心の深さ、によって、事象の関連性が見えてくるという。いろんなものに関心をもて・・といっても、むやみやたらに関心を持つのは苦痛である。だから、自分の興味の範囲で、最初はいろいろ考えたり、記録したり、仮説を考えたりしてみてもいいね。

著者は、3年日記というのを続けていて、すでに5冊になるという。(15年)こうして続けていくことも、あるときから物事の見え方が変わってきたりする。

今まで見えなかったもの、気付かなかったものに気がつく瞬間、僕たちは、とてもわくわくする。なんとなく分かっていたけどをそれを明確に示すものを発見するのも楽しい。

年をとればとるほど、そういうものが増えてくる(はずだけど・・)。
人生は、死ぬまでずっと楽しいことが続くらしい。



オススメ度

★★★★★+関心と仮説

読んで欲しい方

・視点を変えてものごとを見たい方
・見えないものを見る立場の方
・目からウロコが落ちるのを感じたい方

Posted by webook at 13:26 | Comments (0) | TrackBack

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