2008年06月30日

価値を創造する会計 ~ 天野敦之 + 今晩20時一斉消灯!

会計の基礎と、その意味を探る

書籍情報

価値を創造する会計 (PHPビジネス新書) (PHPビジネス新書 57)
天野 敦之
PHP研究所
売り上げランキング: 7461

本のひらめき

会計に関するロングセラー(20万部)の本がある。「会計のことが面白いほ
どわかる本」という、天野さんの作品だ。僕もこのシリーズはとても分かり易
いと友達に薦めまくった。
 http://www.webook.tv/bn/2001/06/post_1546.html
 http://www.webook.tv/bn/2001/05/post_1545.html

その天野さんの最新作。価値を創造する・・・という枕がとても似合う内容が
書かれている本だ。

大切なのは、会計の知識ではなく、「会計的思考法」である、という。そして
その思考法は何のためにあるかといえば、「企業活動を大局的にとらえ、もっ
と大切な本源的価値の創造に注力する」ためにあるという。

これは、ノウハウの世界ではなく哲学の世界だねぇ。

前半は、会計の基礎知識編。後半は、「会計と非会計の両面から企業活動の本
質をとらえ」「ビジネス成功のための大切なこと」に踏み込んだ展開となって
いる。

基礎編では、

 会計の世界は、すべて左と右にわかれている。なぜかといえば常に
 原因と結果の二つを同時に記録するためである。

 B/Sはある時点の静止画、P/Lはある期間の動画

など分かりやすい表現と解説がいっぱいでうれしい。

後半はちょっと哲学的な趣がいい。

 会計の世界は、因果の法則、陰陽の法則、調和の法則の上に成り立っており
 これは宇宙を貫く真理である。
 (陰陽は、善悪二元論ではない、その調和が大事。一方がなければ一方も
  存在しない。両者が調和してはじめて成り立つ。)

 多くの人を笑顔にし、幸せにし、世の中をもっとよくしたいという志を
 持ってビジネスを手がける人は、かならず共感し支援してくれる人たちが
 現れます。

 機会思考とは、すべてをチャンスと受け止める考え方です。

など、心にビビビ、とくる言葉がいっぱい。

会計の世界から宇宙をのぞいてみよう。


僕の思いつき

会計の基本的な知識の解説からはじまり、宇宙の真理、愛と感謝・・・となん
だか深い展開になるこの本、著者は、福島正伸さんから得たものが多いと紹介
しているとおり、とても共感するところが多い。

すべての仕事は、日本を世界をこの星をよくするためにあり、そんな志の人が、
いろんな世界にいることはとっても素晴らしいことだ。

会計士さんだから言える、ということではない。
どんな仕事をしている人も、自分の仕事の先に何を見つめ、何を思って行動す
るか・・・ただそれだけが仕事の哲学の深みへと続く道ではないだろうか。

郵便配達の人だって、居酒屋のお兄さんだって、僕だって、君だって・・・・
みんな素晴らしい道をもっている。

なーんて・・・思える、余韻がこの本にはあるね。

天野さんのジェイカレッジ講演も決まったようだ。
第38回 天野敦之さん 2008年8月6日(水)
  ★公認会計士・天野敦之さんに聞く
   「宇宙でつながる会計とヨーガ」
手帳にマーク!
http://jcollege.jp/2008/seminar_38_amano/#more-97

ではまた。


オススメ度

★★★★★+陰と陽

読んで欲しい方

・会計を面白くとらえたい方
・経営者の立場の方
・会計の価値を感じたい方

Posted by webook at 14:33 | Comments (0) | TrackBack

2008年06月16日

トップコンサルタントがPTA会長をやってみた ~ 三谷宏治 + すももの時間

発想を豊かに、そして限界を突破せよ!


書籍情報


トップコンサルタントがPTA会長をやってみた—発想力の共育法
三谷 宏治
英治出版
売り上げランキング: 14292

本のひらめき

子を持つ親は、子供にいろんなものを期待する。集中力、忍耐力、向学心、協調性、語学、スポーツ、音楽・・・。書き出してみると期待の塊のようになっているところもあるだろう。

そんな子供も学校を出て社会人になると、なぜか、発想力なんてものを期待されはじめる。

考えてみると、子育て熱心の親は、後々に期待されることになるこの発想力を錆びつかせる努力を一生懸命しているのかも・・・。

本書は、子供の教育(著者は共育と命名している)に関して、現在の常識からいくと対局にあるかのような、ユニークな思想とヒントを提示している。とても刺激的で、かつ考えさせられる内容がある。

三谷さんの定義によれば、「発想とは、自由で自立的な意思が、多くの観点から見抜いた真実を、さまざまに組み合わせたものの発露である」となっている。

発想力、クリエイティビティといった言葉は、ビジネスパーソンに求められる大切なスキルのひとつである。しかし、子供のころには、それほど意識されない。むしろ、ひたすら親の常識にそって、塾に通わせ、習い事させ、世間の常識と尺度の範疇で抜きんでることを求められる。ここに多いな矛盾が潜んでいる。

著者から発せられる、下記の最初の問いは、なかなか深い。

 希少な幼年期(幼稚園、保育園、小学校)に、塾や習い事で鍛え上げること
 は、本当に将来の発想力を伸ばすことにつながるのだろうか?

「ヒマ(時間的自由)」と「貧乏(手段の制限)」と「仲間(インタラクション)」が子どもの創意工夫を生み出し、未来の発想力につながる・・という仮説のもと、著者の育児体験、PTA会長の経験、そしてプロフェッショナルなコンサルタントの世界の知見を駆使しながら、その検証を提示している。

僕がとても深く響いたのは、「なぜだろうの心」を刺激するさまざまな問いかけと、限界は自分の中にある、それを突破しようといういくつかのエッピソードである。

たとえば、何故だろう(好奇心)のところでは、
 
  なぜ、貯水タンクは円柱状なのか
  なぜ、1分は60秒なのか
  なぜ、夜空は暗いのか
  なぜ、空気は透明なのか (Thinkで読んだ方もいるね)

など大人も、うーむと首をひねる問いがある。
大切なことは、その問いの答えをしっていることではない。それを考える力、考え抜く力こそが大切なのだ。

小学校のPTA会長として、親や子供に発せられた、ユニークなメッセージも実に楽しい。

変わるべきは親、私たちであり、それは自分のためでもあり、子供たちのためでもある。子供のなぜだろうの好奇心と自立の心を育むブレーキにならないよう、気をつけたいものだ。

大いなる刺激と、変化のきっかけをもらえる素晴らしい本である。


僕の思いつき

著者の三谷さんは今、教育の分野に情熱を注いでいる。教育ではなく、共に育つ“共育”の世界だ。

 子供は、教えるべき対象ではない、共に育つものだ。教育とは、学ばせる
 ことではない。学びに誘う(いざなう)ことだ。
 そしてその時のキーワードは、楽しさである。

そんな三谷さんの話を読んでいると、筑波大学付属小学校で教鞭をとっておられる露木和男さんや、杉並区立中学の校長として活躍中の藤原和博さんを思いだす。

それぞれ、社会人となったときに必要とされる大切な力を育むための努力と工夫を実に粘り強くされている。

次世代の子供たちが生き生きと暮らせるためにできること。その一つに

 学校へ行こう。(生徒ではなく、講師として)

がある。

三谷さんもこなんなメッセージを読者に出している。

 社内や身の回りを見渡して、研修講師の口がないか探してみよう。
 できそうなものがあったら、迷わずやるべし。
 適当なものがなかったら、勉強会と称して「自分の得意なこと」を
 テーマにした集まりを組織しよう。もちろんあなたが講師。

社内講師をやろう。なんでもいい。
勉強会講師をやろう。なんでもいい。
先生になって、学校へいこう! なんでもいい(たぶん)。



オススメ度

★★★★★+素朴な疑問

読んで欲しい方

・自由な発想でものごとを考えたい方
・人を育てる立場の方
・発想力って何かを感じたい方

Posted by webook at 16:02 | Comments (0) | TrackBack

2008年06月09日

招客招福の法則2 ~ 小阪裕司 + ジェイカレッジ特別編

いい話の裏には深い商いの心がある。

書籍情報

招客招福の法則 2 (2)
招客招福の法則 2 (2)
posted with amazlet at 08.06.09
小阪 裕司
日本経済新聞出版社
売り上げランキング: 1844

本のひらめき

本書は、著者が連載している「招客招福の法則」という日経MJの人気コラムを書籍化したもの。その第二弾である。

商売の楽しい「発想」とユニークな「視点」が毎回展開されて実に面白い。
それが、地方のクリーニング店だったり、電気屋さんだったり、ブティックだったりする。その物語の清々しさは、商売のヒントだけでなく、私たちが何をみつめながら仕事をするのか、商売をするのか・・・といった哲学的思索の入り口を示してくれるのがいい。

第二弾にもちょっと登場するが、第一弾にある最も印象深いエピソードは、耳の欠けた猫の貯金箱の話。聞き覚えのある方もいるかもしれないが、ちょっと再掲しておこう。あんまり素敵な話だから・・・(前巻、法則69に登場する)

 店長がうっかり落として耳が掛けてしまった猫の貯金箱。普通ならキズもの
 として処分する。しかし、店長は「耳が欠けているからこそほしいと思わせ
 よう」と考え、心のなごむPOPを考えた。
 「私は耳をケガした猫です。おかげ様で元気になりました。
  誰かかわいがって下さる方を探しています」
 というPOPを書いたのだ。
 すると、それは、実際にすぐ売れた・・・・。

というお話。売った人と買った人の間に流れたものは、してやったり・・といった勝ち負けのビジネススタイルではなく、なにか暖かいものだったに違いな
い。

こうした売り手と顧客の関係がともて心温まるデピソードがいっぱいある。

本書で印象深かったのは、とれたボタンを見つけようと奮闘したクリーニング店主の話。お客様と店主、そしてメーカーをも巻き込んだとても素敵な心の交流が紹介されている。清々しい気持ちになれる。

商売は、ものやサービスとお金の交換・・・という定義では語りきれない。そこにはもっと素敵なものが交わされているはずだから。
どんなビジネスシーンでも、どんな業務においても、それができる・・・と思う人こそ、ほんとうに仕事を楽しむ心のある人かもしれない。

商売に限らず様々な仕事をしている人に読んでほしい一冊。

最後には招客招福の特製シールもあって、また楽しからずや!である。
あなたの仕事デスクに一冊おいておくべき本、ですね。


僕の思いつき

もうひとついいお話をつけておこう。
映画のDVDを売るクリーニング店のお話。しかも正価。さらに驚くのはなんと映画の題名を教えない・・・(笑)
その商品は中身が見えないように包装され、お店に並んでいる。POPがとてもしゃれている。

 「あなたのためにとっておきの映画をご用意いたしました。
  ご夫婦で見れば、長いこと二人で歩んできたなーと、お互いを思いやる
  心がよみがえります。。。」

と続くが題名がない。

 「タイトルは秘密」なのだそうだ。

それでも、正価でしっかり売れているという。

この背景には、店主とお客さんの間の日頃の関係性がある。信頼があるからこそできる話。お客さんは、すでに(この店主の勧めるものなら間違いない)というレベルになっており、万が一外した場合でも、なんとかリカバーできる工夫と余地があるのだろう。

商売をするなら、こうした楽しいことをやりたいものだ。

この関係性をつくるには・・・情報発信というコントリビューション(貢献)を地道にやっていくのが何よりだね。



オススメ度

★★★★★+あきないは楽し!

読んで欲しい方

・お店を楽しい場所にしたい方
・お客さんともっとつながりたい方
・商売の醍醐味を感じたい方

Posted by webook at 12:46 | Comments (0) | TrackBack

2008年06月02日

成功の五角形で勝利をつかめ! ~ 三田紀房 + ジェイカレッジLA

帰ってきたドラゴン桜!

書籍情報

成功の五角形で勝利をつかめ!
三田 紀房
大和書房
売り上げランキング: 2099


本のひらめき

ドラゴン桜。東大受験をテーマにしたユニークな漫画にはまったことがある。すべての号を買い、DVDまで購入したくらいだから、相当なハマリ様だったことは確か。TV番組もあったら、ご記憶の方も多いはず。

その後、ドラゴンイングリッシュなど様々なバリエーションが出たが、最近また新たな形で登場していた。ドラゴン桜流ビジネス突破塾、である。

これが仕事の教科書だ!ということで、成功の五角形について解説される。
五角形とは何か・・・

むふふ・・・それは、国数英社理の5科目のことである。(笑)

そこだけ聞くと、なんじゃそれぇ・・・となる。しかし学校の教科書にメタファーを得たこの本、なかなかあなどれないのである。深い!

学校の勉強なんて・・・とつぶやいたことが僕もあるけれど、あの勉強は、「知識」を学ぶためではなく、それよりもっと大切な「力」をつけるものだったという。生きる力やいく抜く力を学ぶのが学校であり、それを学ぶツールとして国数理社英の5教科があるという。具体的には

 国語・・・読解力、コミュニケーション力
 数学・・・ロジカルシンキング能力
 理科・・・仮説力、検証能力
 社会・・・ネットワーク力
 英語・・・クソ度胸

だ。学校とリアルな社会をつなぐ展開がなんとも面白い。言い切り型のスタイルは、元祖ドラゴン桜と同じ。所々にドラゴン桜の登場人物の矢島や水野が登場したりするのも楽しい。

面白い定義がある。

 国語は、「言葉というツールによって世界を表現し、物事を考える学問」
 数学は、「数字というツールによって世界を表現し、物事を考える学問」

言葉や数式を覚える学問じゃないってことだね。

さらに社会は、ものごとのつながりを考える学問、理科は、仮説検証を鍛える学問、そして、英語は、クソ度胸をつける学問・・・とくる。

社会で必要な要素が、5教科で展開されるマンガのような面白さが魅力だ。


僕の思いつき

冒頭では、「会社は教師のいない学校である!」と宣言。
企業が体育系の学生を好む理由を考える。体力とか根性が決め手ではない。では何か・・・それは、彼らが身につけてきた「縦社会における対人スキル」、それこそが評価されているのだと分析する。

対人スキルとは先輩の言うことはなんでも従う・・といったものではない。
健全な体育系の縦社会には、実力重視な部分と、年長を敬うという、一見相反する仕組みが共存しているのである。1年生のエースがいる野球部でも、そのエースはちゃんと先輩を立てて行動する、3年生といえども実力のある一年生エースは認めて応援してあげる・・・こういった縦社会である。そこには、微妙な空気のやり取りがあり、それを身につけた体育系学生こそが「対人スキル」があるというわけだ。ふむ、なるほど、そういうことか・・・。

学校と社会。二つの世界は、面白いリンクと関係性があったことに気付く。

すこし深く考え、メタファーを機能させると、案外、みえないものがよく見えたりするのが面白い。

本書は、そんな気づきもいっしょについてくる。

さて本書には、メモっておきたい名言がいくつかある。


 将来、有効となる能力とは、理解力、想像力、表現力の、3つである。
 (鈴木光司、なぜ勉強するか? より)

 仕事のモノサシは、時間、コスト、労力。

 行動とはすべて、「最初の5メートル」がもっともエネルギーを使う。

 注意すべきは「半径5メートルの人間関係」である。

しかし、誰もが知っている教科書と、社会とを結びつけ、新たな視点で整理するとこんなにも面白くなるのか・・・というのが最大の驚きかもね。



オススメ度

★★★★★+5教科!

読んで欲しい方

・ドラゴン桜を読んだ方
・ドラゴン桜のTVを見た方
・東大卒以外の社会人の方

Posted by webook at 10:26 | Comments (0) | TrackBack

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