2009年03月29日

探求する力 ~ 市川 力 + WBCすごかった!

おっちゃんのMoso・・・・

書籍情報

探究する力
探究する力
posted with amazlet at 09.03.29
市川 力
知の探究社
売り上げランキング: 3994


本のひらめき

東京都杉並区にちょっと変わった学校がある。TCS(東京コミュニティ・ス
クール)だ。小学生が通う普通じゃない学校(学校教育法で正規に認められて
いない学校)である。そこで起きている“革新的な”試みを紹介したのがこの
本である。著者である市川さんが初代校長だ。生徒からは“おっちゃん”と
呼ばれている。  http://tokyocs.org/

ここで目指していることは「学び続ける力」の基礎を育むことだ。つまり、本
書のタイトルにもある「探求する力」を養うための面白いカリキュラムがある
学校なのだ。

テーマ学習がメインで、机の上で覚えるための学習ではない。意義あるテーマ
を設定し、そのテーマを探求する場に子どもたちを巻き込む、そして本質的な
問いと対峙する瞬間をつないでストーリー展開をしていく方法だ。そこに、や
らされ感はない。ここでの教師は、教え覚えさせる立場ではなく、テーマを設
定し、本質的な問いでストーリーを編むガイド役となる。

たとえばこんな具合だ。

 栄養について探ってみよう・・・というテーマがある。
 直球で問いを投げても小学生には面白くない。(探ってみたいと思わない)
 そこで 

 きみたち元気だねー   
 うん、元気だよ
 なんで元気なの?    
 だって、きちんと食べて、ちゃんとうんこしてるもん

 というやりとりの中から

 そうか、食べて、出すことが大事なんだ。じゃあどうして食べ物はうんこに
 なるの?

 という問いを出す。子どもは、本質的なところを揺さぶられる。
 そういえば、どうしてだろう?って。

こうした本質に迫る問いの連なりが、探求ストーリーを編み出していくのだ。

また、詩を創るために外に飛び出し、現物や現人と出会うフィールドワークの
紹介がある。詩人の技を知り、物と対峙し、人と出会う・・・そんなプロセス
は、読者にとっても新鮮に映るだろう。心を啓かれていく感じがする。

フィールドワーク、プレゼンなど、読んでいてもわくわくするものがある。

教育とは何か。

この問いに対して、市川さんたちの努力は、一筋の光を社会に投げかけている。

自然に、自発的に学ぼうとする環境を復元する試みは、おおいに注目したいと
ころだ。

すべての小学生と、親と、先生に・・・読んでほしい一冊。


僕の思いつき

後半は、探求学習を編み出す先生の立場で書かれている。

テーマの構造を整理した6つの探求領域や、方法論としてのGRASPなどが
印象に残った。

とくに新しい教員像を定義するGRASPは、覚えておいてもいい。

これまでの教師像は、教える人としての教師と、教わる人としての生徒という
二項対立的なイメージが強かった。
探求型学習をめざす教師は、深い問いを発しながら、自立的な探求を促すファ
シリテーターの役割が強くなる。

そんな教員に求められるスタンス(こどもを掴む姿勢)が、GRASPだ。

 G(Generate) 駆り立てる
 R(Release) 見守り任せる
 A(Accept)受容する
 S(Show)見せる、魅せる
 P(Participate)参加する


こんな風に何かの方法論やコンセプトを、ひとつの単語に集約する・・・この
作業は、意外に難しいが、面白い。なにか、やってみてもいいね。



オススメ度

★★★★★+探求しようぜ

読んで欲しい方

・学校の在り方に疑問をもってる方
・こどもにもっとのびのびさせたい方
・こどもと学校を元気にしたい方

Posted by webook at 15:11 | Comments (0) | TrackBack

2009年03月03日

クワガタと少年 ~ 大村あつし + セカイカメラ

見方を変えれば、世界は変わる・・・・

書籍情報

エブリ リトル シング クワガタと少年
大村 あつし
ゴマブックス
売り上げランキング: 138497


本のひらめき

大人も子供もきっと好きになる素敵な絵本。きょうは、どこかに置き忘れて
きた大切なものを思い起こさせてくれる、とっても素敵な絵本をご紹介。

クワガタを売っているお店にきた少年。
いいものは一匹何千円もするクワガタ。ふと見ると1匹、300円と格安の値
段がついたクワガタがいる。

不思議に思った少年は、店員に聞く。

 どうしてこれだけ安いの?

 ぼうや、よくみてごらん。このクワガタは足が5本しかないんだ。
 捕まえるときに足がとれてしまうことがあるんだよ。
 5本しかないから、安いのさ・・・。

少年は、その店員の説明に納得できない。

こんなシーンから始まる短いストーリーは、僕たちの心をぎゅんとつかんで離
さない。そして大切なことを思い出させてくれる。

短いストーリーだから、全部書いちゃいたいところだが、それはやめとこう。
ぜひ、本書を手にとって読んでほしい。素敵な時間が流れるから・・・。

小学校に寄贈したい本だねー。
お子さんがいる知り合いがいたらぜひプレゼントしたい本である。


僕の思いつき

大村あつしさんの描く小説は、とても心がさわやかになる。
エブリリトルシング、エブリリトルシング2.0と2冊の作品は、どちらもお
勧めだ。

きょうの本は、最初の本に登場する少年のお話。不登校児を救った作品として
インターネットで話題になったものだ。

いつか、ぼくもこういう「作品」を書いてみたいなー。

あるいは、100冊倶楽部のような響き会える仲間と、ひとつの感動作品を考
えてみるってのもいいなー。たとえば、「リンゴと老人」「シロと少年」「た
くちゃんとネコと絵本」みたいに、先に適当なお題を考えて、それから物語を
膨らませていく。数人でアイデアを膨らませながら、ストーリー展開をしてみ
る・・・なんていうのも楽しそうだ。

ひらめきからMosoに、そして、なんだか軽いノリでやっちゃうのって、
楽しくないかい・・・?



オススメ度

★★★★★+ピュアな心

読んで欲しい方

・少年のころの心を大切にしたい方
・純粋な心にもどってみたい方
・素敵な感動を味わいたい方

Posted by webook at 15:14 | Comments (0) | TrackBack

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