2009年05月17日

リーダーになる人のたった1つの習慣 ~ 福島正伸 + セミナー道(連載その1)

すべては自分から始まる。

書籍情報

リーダーになる人の たった1つの習慣
福島 正伸
中経出版
売り上げランキング: 5230

本のひらめき

本書は、実話をもとにした感動の物語である。

ステージは、赤字が続く3つのカラオケ店。3人の若者がそれぞれの店の店長
として運営を任されます。武田、五十嵐、間宮の3人。

武田勝也(31歳)は、一流大学を卒業後、外資系コンサルタント会社に勤務
し、マーケティングに精通。自信家であり、緻密。失敗経験はゼロ。

五十嵐あかね(29歳)は、大学卒業後、メーカーに勤務、企画部に所属。性
格があかるく、常に前向き。発想豊か。

間宮幸人(34歳)は、高校を卒業後、総務一筋。こつこつ努力型。人とのつ
ながりを何よりも大切にしている。

こんな3人が、取り組むプロジェクトとは、「赤字続きで回復の見込みのなく、
取り潰す予定のカラオケ店を、1年間だけ経営する」というものだった。

著者福島さん自身が、起業家支援のメンター(柴田)として登場する。

柴田が30年以上にわたっておこなってきた経営者養成スクールを卒業した3
人は、このプロジェクトを聞いて手を挙げてきた。参加の条件は、今の会社を
辞めること。背水の陣、である。

本書は、この3人が様々な壁にぶちあたりながら成長していく感動物語。

赤字続きで腐った思いを抱くスタッフとの出会い、人を育てることの難しさ、
離れる部下の気持ち・・・、一筋縄ではいかない問題に、読者も共感しながら
読み進むことになる。えー、そんなことになっちゃうわけ?みたいなどん底の
壁が幾重にも押し寄せてくる。汗;

すばらしい気づき、そして感動・・・本書は、とてもたくさんのメッセージが
もらえる。

どんな企業にも通じる大事なものが、見えてくる素敵な本だ。


<僕の思いつき>

3人がそれぞれの場面で受けた柴田からの素敵なメッセージを書き留めておこう。

 「上司が持っている権限とは、部下よりも先に困難に挑むことができる、
  という権限だよ」

 「君は今、試されてる。だからそんなときこそ、君自身をまず信じなさい。
  自分を信じたとき、他人を信じることもできるようになるんだよ」

 「あきらめない限り、人生には成功しかないんだよ」

 「夢は、すべての過去に意味を与える」

 「どんな仕事であっても、そこから得られる最高の報酬は、感動である」

 「人は罰によって、行動するふりをし、信頼によって、自ら行動します」

 「信頼とは、相手がどうかではなく、自分が相手をそのまま受け入れる
  覚悟ができているかということです。別の表現をすれば、自分が相手と
  一生涯付き合う覚悟をするということです。」

戦略とかシステムとか仕組みだけでは、組織は動かない。(動くふりをするだ
けである)そこに、何か、人の心のケミストリーを動かす何かがいる。

そのヒントが、この物語に隠されている。
本書を携えて、25日のジェイカレッジにいこう!


オススメ度

★★★★★+感動の共鳴箱

読んで欲しい方

・仕事の意味を考えたい方
・人を動かす立場の方
・感動の本質を感じたい方

Posted by webook at 14:48 | Comments (0) | TrackBack

2009年05月04日

つなげる力 ~ 藤原和博 + 触媒師


 つなげることで問題は、物語に変わっていく。

書籍情報

つなげる力
つなげる力
posted with amazlet at 09.05.04
藤原 和博
文藝春秋
売り上げランキング: 6518

本のひらめき

「いやー、あの人は面白い!」

多分、ぼくが本書の著者、藤原さんを誰かに紹介するときは、きっとこんな言
葉から始めるだろう。何をやっても絵になる。どんなことも面白くしてやり遂
げる。僕の知る著者の中で、「おもろい人」カテゴリーを作るとすれば、の方
をおいて右に出る人はいない。

本書のテーマは、「つなげる」こと。よのなかのあらゆる問題は、つなげるこ
とで、ドラマチックに解決していく・・。学校もビジネスも同じであると藤原
さんはいう。僕も大賛成!

つながってしまった時代に、つなげる力を発揮していけば、けっこう面白いこ
とができるのだ。本書は、その学校版のドキュメンタリー。藤原さんが、杉並
区の和田中学でまきおこした様々な中学校改革は、ドラマのように面白い。

藤原さんがやってきた教育の試行錯誤は、よのなか科に始まり、区立和田中で
の5年間の大実験につながり、今は、橋下知事特命として大阪の教育改革にも
出向いている。また文部科学省も、和田中をモデルとして「学校支援本部」を
立上げようとしている。50億円もの予算もついている。藤原さんのおこした
ゆらぎが、今、日本の教育を大きく揺さぶりながら変えていくところだ。

本書は、そのコアとなった「ドテラ」(土曜日の寺子屋)と、「夜スペ」(夜
スペシャル、夜間の学校に塾(サピックス)の講師をまねいて地域の進学塾)
など、ユニークな試みの成果と舞台裏が描かれている。

ドテラの活動は、ゲーム、テレビ、ケイタイ(子どもデジタル3種の神器)か
らどこもを解放するために始まった。土曜日にゲームやテレビでだらだらする
こどもは、月曜日まで乱れた生活が響くからだ。しかし、その活動を学校の先
生に頼むのは酷だ。

そこで、藤原さんは、「大学生と中学生」をつないで解決した。
教育を志向している学生に土曜日学習のおねえさん、おにいさんをお願いした
のである。これは大成功する。

藤原さんがつないだもの・・・それは

 学校と地域
 中学生と大学生
 中学生と社会
 こどもたちと世界
 偶然と必然

本書には、いろんなものをつないで起きた素晴らしい出来事が紹介されている。

本書には、情報編集力という言葉がよく登場する。従来の学校がやってきた情
報処理力(覚えて問題に回答すると褒められる)ではなく、情報処理力(正解
のない問題に対処する力)のことである。

よのなかにあるいろんなものや人をつなぐことで、中学生の情報編集力を格段
に高めることに成功した藤原さん。
そのエピソード1(和田中の5年)は、実に豊かな物語に満ちている。

藤原さんは、今、教育界の「よなおし」をするための第二ステージの準備をし
ているそうだ。オセロゲームのように、全国1万校の中学をひっくり返すため
のゲームだ。これからも目が離せない人、藤原和博さんが面白い!


僕の思いつき

きょうのメルマガの冒頭の書き出しは、この本のパクリである。笑

「作文は会話体(あるいは心内文)から始めよう」という作文技法だ。これは
けっこう使える。伝えたい塊を直球でズドン・・そんなプレゼン技法が、知ら
ない間に身に付く。(もし子どもがいたら、ぜひ教えてあげたい方法だねー)

本書にはこんな例が紹介されている。

  「もうすぐ始まるね」
  と山村くんがつぶやいたとき、ぼくは大きく息を吸って・・・

  「男子、ぜんぜんあわないじゃない!」
  実行委員がそう言ってにらみつけた。ぼくは・・・・

  「やるっきゃないな」
  ぼくは覚悟を決めると、立ち上がって壇上に進んだ。

こんな感じである。わずか2行だけど、何が始まるのかちょっと身を乗り出し
たくなる作文になる。

最後に登場する「時計ファンド」の物語もユニークだ。
詳しくはこちらに:
  http://www.yononaka.net/neo-japanesque/watch_p/index.html

何かと何かをつなげる・・・そこに不思議なケミストリーが発生する。その面
白さを僕たちも実際に試すことができる、そんな時代になってきた。

あなたは、何をつないでいますか?


オススメ度

★★★★★+情報編集力

読んで欲しい方

・学校を自分ごととして考えたい方
・コトあれ主義が好きな方
・つなぐ楽しみを感じたい方

Posted by webook at 12:28 | Comments (0) | TrackBack

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