2009年12月30日

もったいない主義 ~ 小山薫堂 + 田中靖浩さん&立川志の吉さん

2009年、最後で最高のおすすめ本です。


書籍情報

本のひらめき

この本を読むと、なんだか元気が湧いてくる。
この本を読むと、なぜかアイデアを考えたくなる。
この本を読むと、回りの誰かに教えたくなる。
この本を読むと、来年が絶対いい年になる。

ってことで、きょうの本は、とってもお勧め。僕のイチオシの本である。

さて、何が書かれているかというと、著者の小山さんのアイデア、発想
、企画のヒントが満載されている。共通するのは、そのままでは“もっ
たいない”というもの。

冒頭のエピローグで、「受付しかしない受付嬢はもったいないな」とい
うところから、受付とパン屋をいっしょにしてしまった話が登場する。
小山さんの新しい会社オレンジアンドパートナーズの話である。
もったいないという思いがアイデアを生むきっかけになる・・というこ
との導入部だ。

続いて、山形県の東北芸術工科大学で、「企画構想学科」を立ち上げる
ときのブランドの話も実に痛快!笑いころげながら、ナルホドと納得で
きるのが楽しい。

ナルホドは、たとえば

 どれだけ事前に価値を刷りこむかによって、ものの価値は変わって
 きます。自分たちが世の中に送り出すものに対して、どれだけ価値
 を刷りこんで、どれだけ感情移入してもらうか。その方法を考える
 ことが「企画」なのです。

 「もったいない」とは、外からの目で、価値を再評価し、そこから
 新たな価値を生み出すことでもあるのです。

ヘェ~ェも楽しい。たとえば、

 違反者の摘発だけにおカネを使うのはもったいない。
   → 運転マナーのいいドライバーを誉める ホメパト を実施。

 僕は偶然居合わせた人の人生の中に足跡を残すようなことが好きです。
   → タクシーの運転手(実は初日)に、今度、疲れたら、うちの
     受付パン屋によってね。この名刺でパンを差し上げますので
     と、名刺にその旨書いたのを運転手さんに渡す。

もったいないのは・・・

 チャンスの種は誰の前にも同じようにたくさんころがっている。
 あなたはそれが見えている。見えているのに拾わないのは
 本当に「もったいない」。

 過去の失敗も、そのままにしておくともったいない。
  → 小山さんは、むかしバナナトリップというTシャツで失敗を
    したという。でも、今なら・・・。
    そのままではもったいない。 
 
てなことで、とにかく、脳みそが脱力しちゃうような面白いアイデアが満載。
そして、それらは、実は僕らの眼の前にいっぱいあったことに気がつくとき
脱力した脳みそは、またしわしわになっていくのであろう。

お正月にぜひ読んでほしい。そして、たのしいアイデアで、新年を笑いなが
ら迎えるのもいいかも。

 

僕のつぶやき

この本、はじめの30ページを読んだだけで、降参してしまった。降参という
のはヘンだけど、とにかく、すっかり小山さんのファンになってしまったのだ。

著者紹介のところに、「カノッサの屈辱」で放送作家として脚光を浴び・・・
と書いてあるあたりから(表紙の裏だけど)もう、意識はノリノリになってお
り、すでに 陶酔モード(笑)になっているから仕方ない。

オフィスの受付がパン屋さんを兼ねている話や、山形県の東北芸術工科大学の
カレーの秘密などを読んでいると、もー、すっかり小山ファンが出来上がる。

小山さんの企画構想学科に、大学生としてはいってみたい、なんて思っている
から、子供にも進めてみた。(30Pまで読めと勧めたら、途中でくすっと笑
っていた。脈ありだねー。)

ぜひ、ジェイカレッジにお呼びしたい。(2010年。絶対に実現させよう)


<オススメ度>

   ★★★★★+もったいない


Posted by webook at 02:52 | Comments (0) | TrackBack

2009年12月21日

Twitter革命 ~ 神田敏晶 + 知の現場、発刊!

とにかく、使ってみなさい。

書籍情報

Twitter革命 (ソフトバンク新書 118)
神田 敏晶
ソフトバンククリエイティブ
売り上げランキング: 1941

<本のつぶやき>

Twitter をやってる人が急に増えてきた。僕もさっそく始めてみた。
「昼ごはんなう」なんてつぶやきを聞いてもどこが面白いのかしらん・・・と
初めは半信半疑に思っていたが、それはWHOとWHAT次第ってことで、な
かなか楽しいことが最近になってわかってきた。

さて、本書は、世界一小さなデジタル放送局KNN.comをやっている神田さん
がツイッターの魅力や影響力などについて分かりやすく書いた本である。

ツイッターのタイムラインを「今この瞬間に自分の側から見える社会」と定義
したところがいい。

もうひとつは、「ウエブのリアルタイム化」という視点。ネットの今、あるい
はネットにつながっているリアルな人の今が、つぶやきという形で見えるとい
うことだ。ただし、その視点は自分でフィルター精度を高めないといけない。
つまり誰をフォローするかということだ。
ちなみに、僕がフォローしている人でいちばんおもしろいのはこの方:
  http://twitter.com/ichimada

逆につぶやきを「見られる(見てもらえる)」という立場から考えると、でき
るだけ多くのフォロアーがいるとうれしい。著者の神田さんは6700人くら
い、百式の田口さんは20万人くらい、ジャック・ウエルチは110万人もい
る。ひとことのつぶやきが影響力が大きい。
(ぼくは今、260人くらい。もうちょいでウエルチの背中が見えるか、笑)

神田さんは、ツイッターの特徴を7つあげている。

1)RTの伝幡力、2)短縮URL、3)ボット、4)API解放によるカス
タマイズ、5)140文字の字数制限、6)メールを超えるコミュニケーショ
ン、7)ユーザーが決めるルール

この中で、4)API関連の面白いサービスの紹介があるのでメモっておこう。

 「おもいついったー」~カヤックの提供で、アイデアの公開サービス
   Twitterでアイデアを増幅させるステキ創造サービスということで
   おもいついったーに登録し、お題を出したり、アイデアの投稿ができる。
   お試しで「本の表紙を面白くするアイデアは?」って出してみたら、
   メルマガ原稿を書いてる間に13件ものアイデアが寄せられた!WOW!

 「読んだ4!」~ツイッターで読書メモ
   @yonda4 のあとにワンスペースをあけて署名を書いてTweetすると
   http://yonda4.com/user/webookoftheday (←これは僕の場合)
   にそのリストが整理されるっていうもの。

 「テレッター」~ みているテレビ番組の情報を共有するもの
   http://teletter.pulpsite.net/
   @teletter 5 のように番組番号のあとに
   @teletter 1 坂の上の雲は、すごい のように書く。
   番号は、1.NHK総合 | 2.NHK教育 | 4.日テレ | 5.テレ朝 | 6.TBS など

本書は、ツイッター入門として、その現状(世界で5840万人の利用者がい
ること(2009.9)や、ブレークしたきっかけ(オバマの選挙戦、ハドソン側に
着水した飛行機など)が紹介されている。

神田さんの主張、ツイッターをわかるにはとにかく「使ってみよ」というメッ
セージは重要だ。水泳も自転車もツイッターも体感していったほうが、ずっと
面白いし早い。ビジネスで使うならなおさら、まずは個人で使ってみることが
大切だ。

始めるのに遅いことはこの世に何もない。もし、まだなら、この機会にぜひ!
使ってる人もこれからの人も、本書は読んどくといいね。
    

<僕のつぶやきーおまけ>

フォローされる人はそれなりに意味深いつぶやきがある。ラスベガスの靴の通
販会社、ザッポス( http://www.zappos.com/ )- 2009年にアマゾンの傘下に
はいった- のCEOトニー・シェさんは140万人のフォロワーを抱えるとい
う。一声つぶやけば・・・・考えただけで、す、すごい!・・だね。
さらに500名を超えるスタッフもツイッターで情報発信しているというから
すごい会社があるもんだねぇ。

本書には、神田さんが参議院選挙に出たときのエピソードも書かれている。最
初は取材のつもりだったらしいが、お役所にたらいまわしにされるのを嫌って
立候補しちゃったという。「候補者」ならいろいろ聞きまわっても無視できな
いからだ。ツイッターの考察とはちょっと離れるけれど、選挙とネットについ
ての興味深い考察がある。

合法的な選挙活動としてはがき3万5000枚分の費用が国庫から支給される
らしい。一人175万円なり。
新聞広告は一人5回まで出せ、一回200万円くらいとして1000万円なり。
立候補者の人数をかけると一回の選挙で数百億円の国税が消費されるらしい。

ハガキの代わりにメールを、ポスターの代わりにウエブサイトを、政見放送に
Youtubeを、選挙区回りの代わりにツイッターを・・・ってなことで、
選挙もネットにシフトしたらかなりの国税節約になりそうだ。
そろそろ、ネットによる選挙活動を解禁したら・・という主張は、なかなか説
説力があるかも。しかも、ネットユーザーが人口の75%、新聞購読者62%
と聞けばなおさらである。

というわけで、本書は、ツイッターだけでなく、余禄の内容も面白い。

で、とにかく使ってみんさい! というのが最大のメッセージだからね。
僕からは、とにかく読んでみんさい、かな。笑



オススメ度

★★★★★+つぶやき

読んで欲しい方

・仕事とツイッターについて考えたい方
・何かを宣伝したい立場の方
・ツイッターを感じたい方

Posted by webook at 08:12 | Comments (0) | TrackBack

2009年12月07日

「買いたい!」のスイッチを押す方法 ~ 小阪裕司 + ドリプラ


一つ目のハードルこそ、大事。

書籍情報

「買いたい!」のスイッチを押す方法  消費者の心と行動を読み解く (角川oneテーマ21)
小阪 裕司
角川書店(角川グループパブリッシング)
売り上げランキング: 367

本のひらめき

営業やマーケティング部門にいる方は、本書のタイトルをみて、うーん、どん
な方法があるのかなぁと気になる。

この本は、はじめにのところで、まず「読みたい」のスイッチをバチンと押し
てくれる凄いエピソードが紹介されている。
へぇー、なんでなんで?と思うのだ。

そのエピソードは、一脚10万円もするイスの話。ちょっと長くなるが印用し
ておこう。(あなたも読みたいスイッチONになるから、気をつけてー。笑)

 ある家具店でのこと。この店には一脚10万円以上もする椅子がある。一見
 すると、デザインは普通のものとあまり変わらない。というか、メーカーの
 方には失礼だが、少しおおぶりで武骨な外見である。高価の理由は人間工学
 を駆使しているかららしく、長時間座っても疲れにくいなど、良い点はいろ
 いろある。しかし反面うりにくくもあり、平均すると1年に1,2脚くらい
 の売れ行きだった。
 そこで店主はこの「モノはいいが売りにくい商品」を「あまりどこもやらな
 いやり方」で売り方を考え、実際に売ってみた。すると、その月にいきなり
 12脚が売れた。それまでのざっと10年分である。

 もっと驚くことも起こるようになった。著名な観光スポットの至近にあるこ
 の店では、店先に和風雑貨が置いてあることもあって、観光客がふらっと立
 ち寄る。そんな彼らにまでこの椅子が売れているのである。

 はたして、あなたは、遠方に来て、10万円もする(武骨な)椅子を買って
 帰るだろうか。しかし、この店を訪れた観光客はそうしてしまう。もちろん
 彼らとて、椅子を買おうと思ってらいてんしたわけではない。しかし、買っ
 てしまうのである。

 そうしてこの店では、遠く離れた他県へ椅子を発送することが、毎月のよう
 に続いているのである。

 この店の観光客にいったい何が起こったというのだろう・・・。

さて、これを読んだあなたも、気になり始めましたね・・うしし。


人が買うという行為をするのは、2つのハードルがあるという。二つを超えて
初めて購買行動が成り立つ。一つめは、「買いたいか、買いたくないか」のハ
ードルである。二つめが「買えるか買えないか」のハードル。
前者は情動により動き、後者は理性で決まる。
で、情動と理性。どっちが優勢かといえば、圧倒的に情動らしい。不況になっ
てサイフのひもが固くなると後者のハードルは高くなるが、一度前者の情動の
ハードルを超えるととんでもなく勢いがついてしまうらしい。

したがって、その情動に働きかける何かをすることが商売繁盛のコツになるの
だ。一脚10万円もするイスを買うのは、理性ではなく、情動なのだ。

こうした事例をふんだんに紹介しつつ、脳科学や心理学的な側面から、さまざ
まな「買うスイッチ」の秘密を紐解いている。

商売で何かを売りたいあなたにぴったりな一冊。
僕は、これをわくわくして読んだ。


<僕の思いつき>

確かに、人は何かを買いたいと思い行動に走るとき、あれこれと比較したり考
えたりするように思えるが、実は、もっと以前のある瞬間に買おうと密かに決
めている。(もうこれは理性ではなく情動)

今回、日本に帰ったときPCを買いたいなぁとなんとなく思っていた。このな
んとなく・・・というのはクセモノで、すでにあるPCを買うことに決めてい
たのが本音。たまたまネット広告でみた 指先でホールドしている薄ーいPC
が気になって仕方がない。AirMacみたいだし、なんだぁこれ・・・。
Sonyの出したXシリーズである。
  http://www.scs-uda.com/vaio/2009_aw/vaio_x_series.html

果たして、一時帰国の合間にアキバあたりをうろついて、買ってしまった。

人が買いたいと思う心のつぼを押すような仕掛けや仕組みをつくったら、売る
ほうも買う方も楽しいはず。

そういうのを、いっぱいやっていこう。っていうことで、この本は、あの方と
あの方にはプレゼントしておこう。うしうし・・。



オススメ度

★★★★★+あまりどこもやらないやり方で

読んで欲しい方

・売場を楽しくしたい方
・マーケティング部門の方
・売る楽しさを感じたい方

Posted by webook at 10:45 | Comments (0) | TrackBack

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