2010年01月25日

「ビジネス脳」の磨き方 ~ 仲山進也 + リバースエンジニアリング

カッコいい大人をたくさん創るために・・・僕は進むのだ。

書籍情報

楽天大学学長が教える「ビジネス頭」の磨き方
仲山進也
サンマーク出版
売り上げランキング: 9331


本のきらめき

仲山さんは、楽天市場というECサイトをフィールドに、たくさんの人の成長
を応援しまくってきた方である。楽天市場がスタートして間もなく、楽天大学
という出店者むけの教育をおこなう機関ができた。その学長として活躍してき
た仲山さんが、10年の間に得られた知見を惜しみなく開示したのが本書であ
る。どうしたらECサイトの商売がうまくいくか・・・だけに留まらない深い
洞察が素晴らしい。

成長の4つのステージ、それを登るための視点が、軽快な語りで展開される。
楽天大学や、現在仲山さんが主宰する私塾ゼミを受けているような雰囲気も楽
しい。

さてポイントとなる“視点”とはどんなものがあるのか。
次のような10の視点がある。

スタート
 【視点1】気づき力をアップする「視点」という視点
ステージ1(価値伝達)
 【視点2】伝達力がアップする「わかりやすさ」の視点
 【視点3】人が思わず動きたくなる「ベネフィット」の視点
 【視点4】相手の吸収力を高める「設問」の視点
ステ0ジ2(価値創造)
 【視点5】アイデアが溢れ出てくる「発想」の視点
 【視点6】強みを活かして価値を生み出す「とんがり」の視点
ステージ3(チーム化)
 【視点7】自分も相手も強くなる「1・1」の視点
 【視点8】自走型の姿勢を育む「アシスト」の視点
ステージ4(志・理念)
 【視点9】変化の激しい時代を楽しむ「予見」の視点
 【視点10】思わずクチコミしたくなる「感動」の視点

視点という視点、これが最初にくる。つまり物事を観察したり、考えたりする
ときどんな視点をもつかという意識が、まず重要だということだ。ふむふむ。

ここで視点、視野、視座の違いが、グーグルマップの比喩をつかってとても分
かり易く解説されている。

 視点は、どこを見るか
 視野は、どこまで見えるか
 視座は、どこから見るか

である。こうした、考える道具だてを、もっていることは、様々な場面で役に
たつ。

ステージ3での「強いチームの作り方」に、<1.1の視点>(いってんいち
の視点)というのが登場する。これがなかなか面白くて使える。

ふつうの状態を1.0として、ちょっとテンション低いのを0.9、ちょっと
ポジティブな状態を1.1とする。
さて、これらを何乗かすると・・・
   0.9の30乗=0.04
   1.1の30乗=17
実に400倍以上の大きな差になる。1をはさんでほんの僅かな差も、続けて
いくと大きな差になるっていうお話だ。30乗を30日と考えると驚愕する。

そのほか、オリジナルの法則で「砂山の法則」とか、「ほめなくてもいい技術」
など、とても楽しくて深い内容がいっぱいだ。

すごくお勧め!


僕のつぶやき

ちなみに、本書に登場する事例のムービーがある。(これとっても感動的)

 http://bit.ly/rakutenKANDO
 

仲山さんは、「子供が憧れる、夢中で仕事をする大人を増やしたい」という志
のもと、2008年に自身の会社“仲山考材株式会社”を設立、私塾を主催す
る人を養成する活動をスタートしている。(日本中に、吉田松蔭をいっぱいつ
くろうという感じかな。すばらしい。)

カッコいい大人をいっぱいつくる・・・そんな理想を掲げ、仲山さんは行く。
あー、かっこいいなぁ。

本書を読めば、自分もカッコいい大人になりたい・・と思えてくる。そこが、
とっても素晴らしい。



オススメ度

★★★★★+カッコいい大人

読んで欲しい方

・カッコいい大人になりたい方
・理想を掲げたい方
・成長の楽しさを感じられる方

Posted by webook at 15:47 | Comments (0) | TrackBack

2010年01月18日

プレゼンテーション Zen ~ ガー・レイノルズ + 機械と機会の国、アメリカ


   プレゼンテーションをアートに高める・・

書籍情報

プレゼンテーション Zen
Garr Reynolds ガー・レイノルズ
ピアソンエデュケーション
売り上げランキング: 99

本のきらめき

パワーポイントでのプレゼンは、これまで何度やってきたことだろう。手元の
USBメモリーには、ごろごろファイルがはいっている。研修や講演、大学で
の講義などこれなしにはありえなかった・・・。

本書は、そんな僕のいつものプレゼンスタイルに、大きな「?」と「!」を与
えてくれた。

「?」は、そのステレオタイプなやり方って、ほんとにいいの?

っていうもの。45分間のプレゼンは、聞く人に“苦痛と忍耐”を強いていた
んじゃないのってことだ。いやいや、僕に限って、そんなことは・・・と思い
たいが、いくつか思い当たることがなきにしもあらず・・・。汗

「!」は、たくさんあるのだが、印象的なメッセージは

 * あなたのことばを、そのままなぞったものではなく、その言葉を効果的
   に演出するものがいい。プレゼンテーションは、感情を伝えることであ
   る。一枚のスライドには6語まで。絶対厳守である。
   安っぽい画像はだめ。プロがとった写真素材をつかうこと。
   回転などの画面遷移の変化は無用。シンプルに。
   文書による配布資料をつくれ。終了後それを配布しますといっておく。
                        (セス・ゴーディン)

 * 厳しい制約のなかで仕事をすることを強いられる時、
   創造力は、最大限に引き伸ばされる。 (T.S.エリオット)
   → http://www.pecha-kucha.org/ ペチャクチャという面白い
     活動がある。20枚x20秒=6分40秒という制約の中で
     すばらしい創造性が発揮されているらしい。    

 * 心に残るメッセージは次の特徴がある
     単純明快である(Simplicity)
     意外性がある (Unexpectedness)
     具体的である (Concreteness)
     信頼性がある (Credibility)
     感情に訴える (Emotions)
     物語性がある (Stories) --> SUCCESs

 * デジタル・ストーリーテリングは、2つの世界の最も良いものを組み
   合わせている。デジタル化されたビデオ、写真、アートなどの「新し
   い世界」と、物語という「古い世界」である。
   PowePointのスライドを箇条書きで埋めるような古いやり方は、刺激的
   な画像や音声をともなった物語によって実例を示す新しいやり方に取
   って変わるだろう。(デイナ・チアリー)

judou,zen などの思想もひもときながら、方法論ではなく、思想、
考え方に重きをおいた展開になっている。準備段階、デザイン、プレゼンの
実施の3つのプロセスを追って、なかなか深い考察が展開されていく。
準備では「抑制」を、デザインは「シンプルさ」を、そして実施では「自然さ
」を心がけるべしという。

ついつい、プレゼン資料は、何十枚ものこってりものになりがち。気合を入れ
て、あれもこれも・・・と太っていきがちだ。

極力シンプルにするのは、なぜか? それは、パワーポイントに従ってプレゼ
ンするのではなく、パワーポイントを印象的な道具として使うためである。
いくつかの対比事例は、とても説得力がある。
また、Appleのスティーブ・ジョブスとMSのビル・ゲイツの対比も面白
い。

実は、この本、試してみたいたくさんのテクニックもある。しかし、本当のメ
ッセージは、技術ではなく、プレゼンテーションの心得である。

新しいプレゼンに挑戦してみたくなった。


僕のつぶやき

本書には、プレゼンのパワーポイント写真の注意書きに iStockphoto.com とい
うのが登場する。有料の材料サイトである。写真、イラスト、動画など著作権
フリーで安全な素材が購入できる。かなり格安。安いのは1ドル。販売も可能。

 http://nihongo.istockphoto.com  ← ここ、結構遊べる。

金魚が小さいハチから大きいハチへジャンプするリアルな画像など、こういう
ところでゲットしてもいいね。

本題とちょっとはなれてしまうようだけど、プレゼンに使う素材を、PCので
きあいの画像ですませるというのは、プロじゃななと思った次第。

単純明快である一方、素材はこだわってもいいかな。

次の芸大講義は、ちょっと進化してみようかな。



オススメ度

★★★★★+常識を覆す

読んで欲しい方

・パワーポイント大好きな方
・パワーポイントの限界を突き抜けたい方
・素敵なプレゼンのアードを感じたい方

Posted by webook at 10:59 | Comments (0) | TrackBack

2010年01月15日

「ビジネス脳」の磨き方 ~ 仲山進也さん、応援POP

書店用応援POP

楽天中山進也応援POP.jpg

応援しちゃうぞ

仲山さんの応援POPができました。書店でみてねー。

Posted by webook at 15:54 | Comments (0) | TrackBack

2010年01月11日

「社長力」養成講座 ~ 小宮一慶 + 素晴らしき哉、人生 

苦しいときにこそ、原理原則が問われる。

書籍情報

どんな時代もサバイバルする会社の「社長力」養成講座 (ディスカヴァー携書)
小宮 一慶
ディスカヴァー・トゥエンティワン (2009-03-15)
売り上げランキング: 2856

本のきらめき

小宮一慶さんの養成講座シリーズ。先般、帰国した折、買い求めてきた。

この不況は、100年の一度の大チャンス?!というように、やばい時は同時
にチャンスでもある。こんな時こそ、経営に大切な軸、ぶれない軸をもってい
ることが大事だ。

本書は、そんな軸について、経営戦略、マーェティング、会計、人事マネジメ
ント、リーダーシップと人間力に関する“大切なこと”を説いている。読みや
すく、心に落ちやすいのがうれしい。

心にのこるメッセージをひろっておこう。

  人は通常のときには給料についてくる。
  しかし、しんどいときにはビジョンや志についてくる。

  会社が従業員に提供できる幸せは
  1)働く幸せ
  2)経済的幸せ
  働く幸せとは、働きがいのこと。働きがいとは、働くことの意義を見出す
  ことで、そのもっともよいのは「他の人に頼られている」とか「他の人に
  喜ばれている」こと。

  技をもち、人より少し仕事ができると「居場所」ができ、働きがいが高まる。
  居場所とは、言いかえると、「自分の存在意義」です。居場所が必要条件で
  十分条件は、「人(お客様、同僚)から評価されること」です。

など、これらは“見えない価値”に類するところ。こうした深いところは、常
に心のどこかで追及し続けなくてはいけないなぁ。

マーケティング面でも、様々なナルホドがある。

日本で一番高い山は?それでは、二番目は? という質問は、「一番じゃない
と記憶に残らない・」というエピソードとしてよく語られる。(僕もセミナー
で使ったことがある)
著者は、さらに、その次の質問を投げかける。

 日本で一番の百貨店はどこですか?と。

関西の人は、高島屋、東京の年配の人は三越、若い人は伊勢丹・・・・。

これは何を意味するか。

山の高さは客観的事実に基づいた質問だから誰もが富士山と答えるが、百貨店
は、一番の基準を回答者にゆだねている。つまり主観的基準だということだ。
そこで、マーケティングの重要なポイントとして

  お客様は、それぞれどの会社や商品を一番だと思うかを
  自分の「主観的基準」で決めている。

だから、

  メインターゲットとするお客様に主観的に「おたくが一番」といってもらえ
  るQ(品質)P(値段)S(サービス)の組み合わせを提供すること

が大事だという。ふむふむ。

このほか、人事マネジメント、会計、人間力など素敵なメッセージがいっぱい
ある。

社長だけでなく、多くのマネジャーの人にお勧め!


僕のつぶやき

ツイッターでもつぶやいたんだけど(笑)お客様に「あなたは特別」って思っ
てもらうのは、とても大事。お客様第一とは、そういうことの積み重ねにほか
ならない。

では、「あなたは特別」って具体的には。

 なまえを呼ぶ、
 誕生日にカードを送る、
 ちょっとした一言をかける・・・
 お店の外まで送りにでる・・・

こうしたちいさな積み重ねが特別につながる。

「あなたは特別」、社内でもある。年頭や年度末に、“みなさんよく頑張って
くれました。みなさんのおかげです”と、社長があいさつしても、嬉しさもほ
どほどだ。やはり、個別に具体的なところをいいタイミングでほめてもらった
ほうがより嬉しい。

逆に「わたしは特別(あなたにとって)」という作戦もいい。「かばんはハン
カチの上に置きなさい」を書いた川田修さんは、今すぐできる“ちょっと違う”
ことを重ねてトップセールスマンになった。

“○○はTOKUBETSU”をいろいろ考えてみよう。



オススメ度

★★★★★+原理原則

読んで欲しい方

・高い視点でもの考えたい方
・経営者の立場の方
・働くことの意味を創造したい方

Posted by webook at 10:42 | Comments (0) | TrackBack

2010年01月05日

リアル仕事力 ~ 小阪裕司 + New Year Resolutions

やっぱ、利己的じゃなくって利他的がいいみたいだねー。

書籍情報

リアル仕事力 (PHP文庫)
小阪 裕司
PHP研究所
売り上げランキング: 22134

本のきらめき

世の中には、ハウツーものがいろいろ溢れていて、楽して物事をうまくこなせ
るような気になる。それはそれでいいのだけれど、本書は、もう少し深い仕事
の極意を教示している。大切な仕事の力・・である。
著者の経験、映画、本などのエピソードを交えており、「知る楽しさ」という
調味料が効いてるところがうれしい。

「かぶく力」「なりきる力」「積み重ねる力」など、21の力が解説されてい
る。いくつか、サワリを・・・

◎ 利己的ではなく、利他的に「かぶく力」・・・が大切。

かぶくとは、ちょっと変わった振る舞いをすること、古い常識を変えていく奇
行のことだ。組織内でかぶくことは、なかなかむつかしいが、それは、自分の
毎日と世の中を静かに、確実に変えていく。(ちょいとかぶいてみる?)
しかし、それは利己的なものであってはならず、利他的でこそ生きる。

◎ なにごともやり始める力が大切

「・・・たいして将来性のない、マイナーな作家だ。この作品は、一般読者に
 は面白くなく、科学的知識のある者には物足りない。」
これは、SF作家のH/G/ウエルズが小説「タイムマシン」の原稿を没にさ
れたとき出版社に言われた言葉だそうだ。
なんでも、初めは周りに認められないことはままある。しかし、それをやる力
あるいは、やり始める力、それが大切だという。無名だった人が著名になった
のは、有名だからでもなく、資本があったからでもなく、地位があったからで
もない、やり始めたからやれたのだ・・・。(ふむふむ)

◎ 積み重ねる力がとてつもない高みへ -イチロー選手&外科医の須磨先生

才能という言い訳をつかいたくなるときがある。そんなときはイチローの言葉
を噛みしめることにしよう。「小さなことを積み重ねることが、とんでもない
ところにいく唯一つの道」だと。

スリッパを揃えて金メダルを獲得した柔道の滝本選手(←これ、ものすごい飛
躍がある:笑 ので、詳細は本書で)、ハリウッド女優(シャロン・ストーン)
の一声がダボス会議中のわずか5分で1億円の寄付につながった話、など、読
んで楽しいエピソードが満載。そして、そこから見える仕事力のエッセンスが
役にたつ・・・。

勉強熱心なビジネスパーソンにお勧め。


僕のつぶやき

シャロン・ストーンのダボス会議事件(?)が気になり、Youtubeで調
べてみた。ちょっと探すのに苦労したが(いや、結構面白かったが)見つけた。
ダボス会議のそのセッションは1時間くらいあったのだが、50分ほどのパネ
ルディスカッションのあと、Q&Aのところに、このシーンが登場する。
さわりだけをご案内しておこう。

あ、その前に、これは何の力のことか?。文字通り「立ち上がる力」である。

タンザニアの大統領の訴え(マラリアを防ぐカヤが今必要だ!)を受け、シャ
ロン・ストーンはまさに立ちあがって、私達も今ここで寄付しましょう・・と
訴えた。しかし、同調者が少ない。司会者も次に進もうとさえぎる。しかし、
彼女はひるまず、訴え続けた。・・・すると、セキを切ったように次々と大勢
の参加者が立ち上がり始める。こんな動画である。

では、どうぞ: http://splicd.com/R8CF4EoXjD0/3110/3262

人前で立ち上がるのは、ちょっと気恥ずかしい瞬間がある。電車で席をゆずる
なんてのもその一つ。そんな場面に遭遇したら、この話を思い出そう。

本で読み、何かを感じたら行動してみる・・っていうのも、いいね。  

ちなみに、本書は【一歩先のシゴト力】の文庫化されたもの。
2006年1月に読んだときの印象はこちら:
  http://www.webook.tv/bn/2006/01/post_998.html

この時も“かぶく力”に反応した自分がいたんだなぁー。笑 



オススメ度

★★★★★+一歩先へ

読んで欲しい方

・仕事を面白くしたい方
・勇気を出したい方
・大人のホンキを出したい方

Posted by webook at 08:08 | Comments (0) | TrackBack

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