2010年04月26日

会社を変える 会社を変わる ~ 黒田由貴子&橘・フクシマ・咲江 + 応援力

周りの環境を自らの手で変えることで・・・

書籍情報

会社を変える 会社を変わる
黒田 由貴子 橘・フクシマ・咲江
ファーストプレス
売り上げランキング: 58903

<本のメッセージ>

サーチとコーチ。異なる分野の二人の社長が、企業と人を元気にする方法を展
開する。「変える」方法と「変わる」方法、韻を踏んだタイトルがいい。

前半は、リーダー自らが変化し、組織と人の変化を起こすケミストリーの話。
そのためのコーチングやファシリテーションについて黒田さんが担当。
後半は、エグゼクティブ・サーチというリーダー人材サーチについて、橘・フ
クシマ咲江さんが転職についての話を進める。

前半のコーチング、ファシリテーションでは、エグゼクティブコーチがどんな
アプローチをするのか、その概要がわかるだろう。

目を引いたはリーダー像の分類。5タイプがある。
 牽引型リーダー(達成型):高い目標、邁進
 牽引型リーダー(洞察型):鋭い洞察、将来の姿を構想
 人格型リーダー     :価値観の浸透
 触媒型リーダー     :協業活動、つなぎあわせ、シナジー
 奉仕型リーダー     :人々を下から支える、自ら奉仕
というものだ。リーダーというと、えてして強力なリーダーシップで、ぐいぐ
い仲間を引っ張っていくイメージが強いが、実は、いろんなタイプがあり、様
々なやり方があった。そのことに気づかせてくれる。
(僕は、どちらかといえば触媒型だから、ちょっとほっとした。笑)

リーダーシップに優劣はない。しかし問題は「周囲の環境にフィットしている
か」どうかだ、という。確かに。

リーダー自身が変わる、リーダーそのものが変わる・・・そういう変化で組織
が変わる。黒田さんは、コーチングで起きた変化の事例を紹介している。

後半のエグゼクティブ・サーチは、橘・フクシマ・咲江さんが執筆。
最近、日経新聞「人間発見」でシリーズ記事があったので読まれた方も多いと
思う。エグゼクティブサーチとは、企業が求める人材(エグゼクテイブクラス)
をサーチして提案する仕事だ。単なる人材紹介ではなくコンサルテーションが
付加価値のところ。

咲江さんがソニーの盛田さん(当時会長)にあったときのエピソードが興味深
い。

  ソニーは社員の出入りが自由な会社です。ソニーから出ていく時は
  「ソニーの人材を外部の市場が評価してくれた」と喜んで送り出し、
  入ってくるときは「ソニーにないものを持ってきてくれた」と喜んで
  受け入れる。さらに「出戻りはその両方をもっているからさらに歓迎」
  です。

人材の流動化が言われて久しいが、こういう見方が90年代初めにあったのが
すごいかも。

転職、キャリアアップなど、人の流動性が高まっているが、エグゼクテイブレ
ベルの人の異動のしくみや、心がまえなどを知る上でとても参考になるだろう。

<僕のレッスン>

本の帯には、

 転職で成功するか、組織開発で成功するか、選ぶのはあなたである。
 だが、どちらを選んだとしても、会社を変えるほどの力のある人でないと
 会社を変わっても成功などしない。

とある。最後は自分自身のことなのだ。

自分が転職するとして、自分がもつ資質、経験、能力などいろいろ棚卸してみ
るのもいいね。そして、なりたい自分のイメージを作り(書き)、もしこれか
らできることがあれば、計画して実行していく。

何事も、まず「思う」ところからスタート。

リストラや早期退職・・・自分のまわりの環境が予想もつかないものになって
きている人も多いこのごろ。

最後は自分次第。がんばりましょう。



オススメ度

★★★★★+サーチとコーチ

読んで欲しい方

・転職時期を感じてる方
・トップの人事変更を考えてる方
・組織変革を模索中の方

Posted by webook at 22:03 | Comments (0) | TrackBack

2010年04月19日

父が残したメッセージ 7日間の人生レッスン ~ 米山公啓 + Field Science

見えなかったものが見えるとき。そこに大切な時間が蘇る。


書籍情報


父が残したメッセージ 7日間の人生レッスン
米山 公啓
マガジンハウス
売り上げランキング: 377488

<本のメッセージ>

久しぶりに米山さんの本を読んだ。米山さんはお医者様作家である。 この本は、不思議な時の繋がりを感じさせてくれる人生の物語。

ある日突然、知らない人から米山さんに電話がかかる。また売り込みか・・・
そんなためらいの気持ちを振り払ったのは一種のインスピレーション。不思議
な感覚で受話器を取る。

電話の主は、館林と名乗る男。父親の世話になったという老齢の紳士だった。
父親が亡くなってから数ヶ月目、館林は、オヤジの遺言だといってあちこちに
主人公(キミヒロ)を連れていく。7日間の人生レッスンである。
築地にある喫茶店を皮切りに、札幌、香川、など各地へ旅することに・・・。

とても印象的なレッスンは、時間を共有することの価値の話。

 同じ時間を一緒に過ごした人こそが、自分にとって最も大切な人になってき
 ます。昔の記憶、それは正に時間の共有をした人がいるということの証です。
 家族、親子であれば、そのとき同じ時間を過ごしたこと、まさにそれが時間
 の共有です。同窓生のとの会話がはずむのも、青春時代に同じ時間を共有し
 てきたということなのです。

何気ないひと時も、かけがえのない時間の共有なのだ。それを思うと、心を許
せる人との時間は、どんなたわいもない時でも素敵に思える。そして、すべて
のことに感謝の気持ちが湧いてくる。不思議だ。

ちょっとしたミステリー仕立てのようなところもあり、また深い人生の理(こ
とわり)を感じさえる素敵な展開もあり・・・読み応えのある物語だ。

医師でもある著者のリアルな生活と虚構の世界が入り混じり、不思議な感覚の
中で物語は進む。架空のようでもあり、米山さんの半生記のようでもある。

本書に登場する場所は、おそらく著者が実際に行って様々なインスピレーショ
ンを得たところなのだろう。日本橋千疋屋、札幌モエレ沼公園、軍艦島、香川
県の直島、リッツカールトン東京のラウンジ(45F)など、本書を手にしな
がら行ってみるのもオツですなぁ。

  モエレ沼公園 http://www.sapporo-park.or.jp/moere/index.php
  軍艦島 : http://www.gunkanjima-wh.com/
  香川の直島 : http://www.naoshima-is.co.jp/

オグ・マンディーノみたいなインスピレーションが好きな方、ぜひ!


<僕のレッスン>

3年ほど前、僕の父母も、他界した。
本書のように親が伝えたかったであろう“見えない大切なこと”を物語にする
のも素敵だと思う。
自分の両親が、口癖にしていた言葉、ちょっとした問題を解決する姿、そして
なにより普段の何気ない生活の中で、ごく自然に遺してくれた大切なもの・・
そういうものを、整理してみるのもいい。改めて親のありがたさを感じたり、
今ここにある悩みの糸口見つかったりするかもしれない。
この構図は、「過去→今」の繋がり。

もう一つの繋がりは、「今→未来」への繋がり。

僕にも2人の子供がいる。成長の過程はまさに自分自身の成長の一里塚でもあ
る。この世に生まれた大切な存在だ。

彼らに伝えたいことはいっぱいある。普段の生活でも、ああしたら・・こうし
たら・・・と伝えたい瞬間がある。そのたびに思うのは、親がお説教がましく
言葉にした瞬間、なぜか伝わりにくくなってしまうような、なんともいえない
ジレンマが襲うということだ。

妻とのコミュニケーションもそうだが、親子の会話もまた難しい。

本書のような物語を作っておくのもいいねぇ。子どもにだけ贈るための本とし
て・・・。

何やら、2冊の本を書いてみたくなった。1冊は親への感謝をこめて、もう一
冊は、子供たちへ同じく感謝をこめて。

このメルマガもいつかは、遺書代わりに読んでもらえるときがくるかもしれな
いなぁ・・・。(このページを読む時は、何歳になったときだろうか・・)

もし読んでくれるなら、ひとこと言いたい。「どんな偶然が作用したのかは、
知らないが、とにかく、ここまできてくれて ありがとう!」と。



オススメ度

★★★★★+共有する時間

読んで欲しい方

・親への感謝の気持ちを感じたい方
・時間を共有する意味を知りたい方
・縁の不思議を感じたい方

Posted by webook at 22:00 | Comments (0) | TrackBack

2010年04月05日

マエストロ、それはムリですよ・・・ ~ 飯森範親 + ゲゲゲの女房

“本気”の周りには“応援団”が集まる・・・

書籍情報

「マエストロ、それは、ムリですよ・・・」 -飯森範親と山形交響楽団の挑戦-

ヤマハミュージックメディア
売り上げランキング: 39250

<本の響き>

「最近の山響が面白い」そんな噂がここ数年クラシックファンの間で広がって
いたらしい。山響とは山形交響楽団のこと。地方の一オーケストラに過ぎなか
った山響が、画期的に変貌したのは、2004年に飯森さんが常任指揮者に就
任してからだった。

それまでは、楽団の高い音楽性にもかかわらず、集客も経営もぎりぎりの状況
で、よくある地方オーケストラの悲哀と苦悩がただよっていた。
しかし、新進気鋭の指揮者、飯森さんがきてからとんでもない変貌を遂げてい
った。

本書は、松井信幸さんの取材記事の形で、山響の変貌ぶりを紹介するドキュメ
ンタリーである。オーケストラの話だから音楽好き向けの本かというと、そう
でもない。ビジネスや生き方にも通じる様々なヒントが隠されている。

楽団員を大切にし、感謝の気持ちでいつも接する飯森さんは、熱い信頼の絆で
結ばれている。飯森さんは、コンサートが終わった後、舞台のそで口で楽団員
たちを「お疲れ様でした」と出迎える。指揮者も重労働で、本番が終われば、
さっさと楽屋に引き上げて、燕尾服を脱ぎ、汗だくになったシャツを着替えた
いところだが、そうはしないで、最後の楽団員が引き上げてくるまで立ち続け
ているのだ。

「音楽家はサービス業である」そんなことを大っぴらに掲げる飯森さんは、次
次と新しい試みを実行していく。プレトーク(プレ・コンサート・トーク)と
いうのもその一つ。コンサートが始まる前に、指揮者が観客にその日の演目の
エピソードや曲のポイントなどをユーモアを交えて話すのである。非常に好評
らしい。

「今は、山形の“東国原”って言われてます(笑)」というくらい、山形や山
響のPRにも奔走する。

山響ファンクラブ「YFC」会長の加藤さんの言葉が、飯森さんを見事に言い
表している

  高い音楽性、明確なビジョン、優れた統率力、類い希なカリスマ性に
  加えて、抜群の金銭感覚と経営能力・・・

後段にある私的インタービューでは、ご両親から受けた「人の悪口はいわない
こと、感謝の気持ちで接すること」なども、読み応え十分。

爽やかな気持ちになれるお勧め本。


<僕の共振>

映画「おくりびと」を見た方は多いことだろう。実はその中に山響と指揮者飯
森さんが登場する。本書を読んで僕はDVDを見直した。うん、このシーンか
・・・と別の感慨が浮かぶ。

そのシーンは、最初台本にはなかった。映画の滝田監督がどうしてもオーケス
トラの演奏シーンが必要だということで、急遽、撮影の話がきたという。
事務局の斉藤さんは、「つぶれるオーケストラ」や「納棺士」といった暗いイ
メージから断るつもりだったという。

そこに指揮者の飯森さんが登場し、ぜひやるべきと主張、しかもその指揮を自
らかって出る。のちにアカデミー賞につながるなどとは知る由もない段階でで
ある。

機を見て、飯森さんが動いたのは、滝田監督の「壬生義士伝」に強いシンパシ
ーを感じていたからという。さまざまなものが横糸縦糸となって繋がっている
のが不思議だ。

すべては、よきこと。感謝の気持ちで物事に対峙する生き方は、とても爽やか
で美しい。

山形に行ってみたいな。

山形新幹線で斉藤泉さんに会えるかもしれないし、
 http://bit.ly/yamagatasinkansen
早川運転手のタクシーに乗れるかもしれないし(あれは岩手中央タクシー?)
 http://www.entre.co.jp/novel/index.html

山形ファンになっちゃったなぁ


オススメ度

★★★★★+本気と共感

読んで欲しい方

・それはムリですをやり遂げたい方
・のためカンタービレが好きな方
・1%の可能性をあきらめない方

Posted by webook at 21:56 | Comments (0) | TrackBack

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