2016年11月17日

品格を磨く 〜 高野 登

品格はワインのように・・・

書籍情報

品格を磨く
品格を磨く
posted with amazlet at 17.01.02
高野 登
ディスカヴァー・トゥエンティワン (2016-11-11)
売り上げランキング: 20,370


この本のツボは?

高野さんから、多くのファンのみなさん(私も含め)に素敵なギフトが届きました。
組織、リーダー、社会などにそなわる品格のお話です。

どんなに目を見張る業績をあげていても、どんなに大きな組織を率いていても、その
リーダーに品格が感じられないときは、とても尊敬する気にはなれません。
どんなに優秀でも、どんなに高い地位でも、その人の品格は、にじみ出てしまいます。

これまで多くのご縁をいただいてきましたが、お世話になった人、組織、会社、さま
ざまな場面で、素敵な品格を感じたことが幾度もありました。
いったいあれは何なのか、どこからくるのか・・・いつもぼんやり考えておりました。
今回、高野さんの著書を読んで、なるほどと腑に落ちることがいっぱいありました。

本書では、組織の品格、リーダーの品格、社会の品格などについて、素敵なヒントを
たくさんいただけます。

▼「言葉と行動が品格をつくる」とあります。その意味を引いておきましょう。
 
 組織の一体感は、その構成員がどんな言葉を習慣的に使っているかで決まります。
 善い言葉を使っている組織では、「善の循環」が起きます。 
 悪しき言葉を使っている組織では、「悪の循環」が生まれます。なぜか。
 それは、言葉が行動を決定づけるからです。
 聖書には、「まず言葉ありき」と書かれています。

人は、言葉、表情、態度、行動・・さまざまなものでコミュニケーションをとっています。
リーダーにとって、言葉は、とても大きな意味を持ちます。もちろん態度や行動もそうなの
ですが、リーダーは、人の心に響く言葉をもたなければなりません。

▼ 本書で紹介されているリーダーの言葉で、最も印象深いのは、リーマンショックの後に
語られたリッツ・カールトンホテル二代目社長、サイモン・クーパー氏の言葉です。
リーマンショックの後、業績のがた落ちが見ている状況下、クーパー氏が語った言葉
は当事者でない私にも勇気を与えてくれました。
フロリダに世界中から集められた支社長ほか47名のキーパーソンに語られたのは、
「99度と100度の違い」でした。

 水を熱して行くと、だんだん熱くなる、やがて99度になる。手を入れるとやけどする
 ほど熱いけれど、まだ液体であることにかわりはない。ところが、100度になると
 沸騰する。沸騰した水は蒸気となり、機関車をも動かす力を持つ。
 たった1度の違いだけれど、その力、働き方はまったく違う。
 来年は業績が60%減、あるいはもっと酷い事になるかもしれない。だからこそ、我々自身
 を磨くこれ以上の好機はない。
 この間に、これまでできなかったことをやろう。一人一人が摂氏100度で仕事ができる
 処方箋を今から書こうではないか!

支店閉鎖も覚悟し、戦々恐々としていた47名の心に火がついたのはいうまでもない。
高野さんがそのときの光景を実にビビッドに描いていらっしゃいます。(上記の引用では
温度が5度くらい下がってしまうので、ぜひ、本書を読んで、感じて欲しいものです)


▼ 本書の中で、私の心にパラダイムシフトを起こしたのは次の一文でした。

 自分とは、周りの人にとって何なのでしょうか。
 それは「環境」であるということです。
 自分の存在とは、周りの人から見たら環境そのものです
 であるならば、リーダーたる物、自分の環境整備に最大の関心を払うべきです。
 リーダーは、組織にとってもっとも影響力のある「環境」そのものだからです。
 自分は、周囲にとってでんな環境を生み出しているのか?
 心がわくわくする環境、背筋が伸びるような環境、勇気がわいてくる環境、
 それとも心が閉じてしまうような環境・・・。

仮に組織を束ねるリーダーの立場でなくても、仲間の間で、家族の間で、職場の
間で、自分という環境がどうなのか・・・深くささる言葉でした。

▼ リーダーという「環境」が手放してはいけないただ一つのこと、何でしょうか。
高野さんはこう述べていらっしゃいます。

 スタッフを信頼し、そして、最終責任をとる覚悟。

覚悟は、英語ではコミットメントと呼ばれます。スタッフに火をつける言葉を紡ぎ
スタッフを信頼し、任せる。そして責任はとる。リーダーとは、かっこいいものです。

▼ もうひとつ、私にとってのパラダイムシフトは、リーダーが気配を消す・・と
いうくだりでした。リーダーはいやがおうにも目立ちます。ときに晴れがましく、
ときに痛々しく。部下のスタッフを成長させ、組織を自律的にいきいきとさせて
いくために必要な一つが”気配を消す”でした。

 リダーが目指すべき在り方とは、あの人は優秀なリーダーだった、ではなく
 あの人のもとから多くの優秀な人材が育っていった、と記憶されることだと
 思います。

自分自身の優秀さを消して、大切なスタッフの資質を伸ばしていくことがリーダー
の任務なのですね。僕は、霞のような存在になりたい・・・なんて思ったことが
ありますが、M・ist なリーダーを目指してみようかな・・・w


▼ 品格を語れる方は、それほど多くはないでしょう。高野さんのようにつねに
頭(かしら)でありながら、つねに頭(こうべ)を低くしてこられた方でなければ、
その言葉は、虚ろなものになってしまうからです。

本書は、高野さんの温かい空気の中で、素敵な香りを感じることができるでしょう。
まさに、それを品格というのではないかと。本の品格、そんな味わいがある本です。

あなたとあなたの大事な人に贈れる今年一番のギフトです。とっても、おすすめ!


▼ 最後に扉にある詩のような数行が素敵すぎるのでこれもメモしておきましょう。

    人生の師匠たちに

  ひとは本物のおとなとの出会いで磨かれる。
  では、本物のおとなとは、いかなるひとか。?
  それは、心から他人の成功を祈ることができるひと。
  そして、過ちを厳しく指摘し、正しき道を示すひと。
  さらに、宇宙のような大きな愛でひとを包み込むひと。

  苦しいとき、悲しいときには、心の伴走者として、
  嬉しい時には、喜びを分かち合える朋として、
  本物の在り方を示してくれる。
  人生の師匠とはなんと有り難いことでしょうか。

本物の本、ここにあり。

おすすめ度は?

   ★★★★★+品格の意味

知りたい?

   ・誇れる組織をつくりたい方
   ・我が在り方に悩んでいるリーダーの方
   ・品格を磨きたい方


■■今日のおまけ:( 言葉の因数分解)

  ひさびさに・・・

  品格 =(良き言葉+美しい行動+ぶれない軸)x思い遣り+ 余韻

  みなさんが感じる、品格はどんな感じの因数分解になるでしょう?
  よかったら、教えて下さいね。

Posted by webook at 20:59 | Comments (0) | TrackBack

2010年01月05日

リアル仕事力 ~ 小阪裕司 + New Year Resolutions

やっぱ、利己的じゃなくって利他的がいいみたいだねー。

書籍情報

リアル仕事力 (PHP文庫)
小阪 裕司
PHP研究所
売り上げランキング: 22134

本のきらめき

世の中には、ハウツーものがいろいろ溢れていて、楽して物事をうまくこなせ
るような気になる。それはそれでいいのだけれど、本書は、もう少し深い仕事
の極意を教示している。大切な仕事の力・・である。
著者の経験、映画、本などのエピソードを交えており、「知る楽しさ」という
調味料が効いてるところがうれしい。

「かぶく力」「なりきる力」「積み重ねる力」など、21の力が解説されてい
る。いくつか、サワリを・・・

◎ 利己的ではなく、利他的に「かぶく力」・・・が大切。

かぶくとは、ちょっと変わった振る舞いをすること、古い常識を変えていく奇
行のことだ。組織内でかぶくことは、なかなかむつかしいが、それは、自分の
毎日と世の中を静かに、確実に変えていく。(ちょいとかぶいてみる?)
しかし、それは利己的なものであってはならず、利他的でこそ生きる。

◎ なにごともやり始める力が大切

「・・・たいして将来性のない、マイナーな作家だ。この作品は、一般読者に
 は面白くなく、科学的知識のある者には物足りない。」
これは、SF作家のH/G/ウエルズが小説「タイムマシン」の原稿を没にさ
れたとき出版社に言われた言葉だそうだ。
なんでも、初めは周りに認められないことはままある。しかし、それをやる力
あるいは、やり始める力、それが大切だという。無名だった人が著名になった
のは、有名だからでもなく、資本があったからでもなく、地位があったからで
もない、やり始めたからやれたのだ・・・。(ふむふむ)

◎ 積み重ねる力がとてつもない高みへ -イチロー選手&外科医の須磨先生

才能という言い訳をつかいたくなるときがある。そんなときはイチローの言葉
を噛みしめることにしよう。「小さなことを積み重ねることが、とんでもない
ところにいく唯一つの道」だと。

スリッパを揃えて金メダルを獲得した柔道の滝本選手(←これ、ものすごい飛
躍がある:笑 ので、詳細は本書で)、ハリウッド女優(シャロン・ストーン)
の一声がダボス会議中のわずか5分で1億円の寄付につながった話、など、読
んで楽しいエピソードが満載。そして、そこから見える仕事力のエッセンスが
役にたつ・・・。

勉強熱心なビジネスパーソンにお勧め。


僕のつぶやき

シャロン・ストーンのダボス会議事件(?)が気になり、Youtubeで調
べてみた。ちょっと探すのに苦労したが(いや、結構面白かったが)見つけた。
ダボス会議のそのセッションは1時間くらいあったのだが、50分ほどのパネ
ルディスカッションのあと、Q&Aのところに、このシーンが登場する。
さわりだけをご案内しておこう。

あ、その前に、これは何の力のことか?。文字通り「立ち上がる力」である。

タンザニアの大統領の訴え(マラリアを防ぐカヤが今必要だ!)を受け、シャ
ロン・ストーンはまさに立ちあがって、私達も今ここで寄付しましょう・・と
訴えた。しかし、同調者が少ない。司会者も次に進もうとさえぎる。しかし、
彼女はひるまず、訴え続けた。・・・すると、セキを切ったように次々と大勢
の参加者が立ち上がり始める。こんな動画である。

では、どうぞ: http://splicd.com/R8CF4EoXjD0/3110/3262

人前で立ち上がるのは、ちょっと気恥ずかしい瞬間がある。電車で席をゆずる
なんてのもその一つ。そんな場面に遭遇したら、この話を思い出そう。

本で読み、何かを感じたら行動してみる・・っていうのも、いいね。  

ちなみに、本書は【一歩先のシゴト力】の文庫化されたもの。
2006年1月に読んだときの印象はこちら:
  http://www.webook.tv/bn/2006/01/post_998.html

この時も“かぶく力”に反応した自分がいたんだなぁー。笑 



オススメ度

★★★★★+一歩先へ

読んで欲しい方

・仕事を面白くしたい方
・勇気を出したい方
・大人のホンキを出したい方

Posted by webook at 08:08 | Comments (0) | TrackBack

過去の記事
カテゴリー別