2016年10月18日

これ、いったいどうやったら売れるんですか? 〜 永井 孝尚

マーケティングが楽しく学べる

書籍情報

この本のツボは?

ベストセラー「さあ、星を売ろう!」の作者、永井孝尚さんの最新刊です。 先日お会いしたら、全国から講演依頼がいっぱいで、かなりお忙しいご様子。 企業のコンサルもしておられて多望な毎日のようです。 IBMでマーケティングや人材育成に尽力された後、独立し、独自の活動で 企業や組織の活性化やビジネス興隆のためのサポートをされている方です。

今回は、マーケティングのエッセンスを、身近な事例を参照しながら解き明
かすとても読み易い本です。

女性の財布はなぜ太いのか?
ベンツを買った人は、なぜまたベンツのCMが気になるのか?
行列のできるレストランはなぜ赤字なのか?

など、卑近な事例と、そういえばどうしてだろう?という疑問から、マーケ
ティングのツボを押さえて展開します。楽しく勉強できるのが嬉しい。

さて、目に留まったのはこんな内容です:

▽バリュープロポジション

 最近、腕時計をしてない人をみかける。僕もここ数年、時計はやめました。
 スマホで十分だからです。かつて,正確な時を知らせるという機能で時代を
 リードしたクオーツやデジタルの時計は、もはやコモディティ化して、その
 提供価値をほかのものに奪われている。
 にもかかわらず、案外、町には時計のコマーシャルがいっぱい・・・そこに
 バリュープロポジションを考えるヒントがあったようです。
 
 腕時計業界は、お客さんが金を出す「理由」を新しく創造することで、スマホ
 や携帯ではまねできないものを創りだそうとしている。
 ジョギング専用ウオッチは、「体力を強化する」という価値を
 登山専用ウオッチは、「安全に登山する」という価値を
 創造している。

 バリュープロポジションを因数分解すると(笑)
 = お客様の望むもの x 他社が提供していないもの x 自分が提供できるもの
ということですね。

 バリュープロポジションやブルーオーシャン戦略を考えるためには、徹底して
 お客さんの立場で考える必要があります。


▽コスト戦略

 コストと価格は、まったく別物である。
 一言でいうと「コストは事実、価格は戦略」なのである。

 重要なのは、価格は戦略次第でいかようにも変えられるのだ。
 安値で売るのも戦略だし、逆に高値で売るのも戦略だ。
 価格戦略は、ビジネス戦略そのものだ。

 とても共感できる考え方で、僕もストリートアカデミーなどで、ちょっと遊び
 ながら勉強させていただいている。多くお人は、価格戦略で、ビビっていると
 思う。

その他、「なぜ、セブンの近くにセブンがあるのか?」から、チャンネル戦略、
ランチェスター戦略などを考えたり、
「人は、ベンツを買った後、なぜベンツの広告を見てしまうのか」から顧客と
ブランド戦略を学んだり・・・とにかく、とっても楽しく学べる本なのです。

物語とは違い、今回の本は、大学のマーケティング人気講座を聞くような感じ
で読める内容です。とっても、おすすめ!


おすすめ度は?

   ★★★★★+なるほど!

知りたい?

   ・マーケティングを学びたい方
   ・ものの売り方のヒントが欲しい方
   ・商売をはじめた方


■■今日のおまけ:( 言葉の因数分解7)

「言葉の因数分解」というひらめきをもとに言葉を見直しています。
 今回は、その7。今回は、電車でおもいつきの巻。

 その7(電車でGO)
  バカ=KY+余計なひと言+正直+可愛い
  親切=迷い+勇気+感謝+時々ドボン
  依頼=(相手の都合+相手の力量)x思いやり
  矛盾=定時退社+これ明日まで
  物語=難敵+弱虫+苦境+矛盾+解決ゾロリ

 その6 (テスト講座の作品から)
  食事= 食べる+しゃべる+かたづける
  食事= 自宅1+コンビニ2+居酒屋4
  飲み会=なぐさめ+はげまし+根回し+ぐだぐだ
  コミュニケーション=話すx100+聞くx3(10年前)
           =聞くx100+話すx3(いま)
  コミュニケーション=顔色+声色+言葉色
  など、その方のお人柄や経験などがにじみ出るとても楽しい作品が
  いっぱいでした。次回は、10/22
https://www.street-academy.com/myclass/14503


 過去の傑作
  電車 = 如何に座るか + いかに譲るか
  お土産 = お礼 + 金額/下心
  コンビニ = なんでも + いつでも
  自販機 = どこでも + いつでも
  ファミレス = 家族で + ふたりで + ひとりで
  出張 = 領収書+報告書+お土産   (座布団2枚!)
  謝罪 = 0.2(実利)+0.8(誠意)
  出番 = チャンス+根拠なき自信
  絵本 = 子どもが大人になる準備+大人が子どもに戻れる時
  真実=事実+解釈
  傲慢=自己中+高圧的
  夫婦=Short歓喜+Long我慢

 ★ 楽しい因数分解、募集中~  : webook@yahoo.co.jp まで

 ★ 仕事と人生を楽しくする「言葉の因数分解」講座 + Webook クーポン

  日時: 2016/10/22(土) 10:00-11:30
  詳細: https://www.street-academy.com/myclass/14503

  初めての方はついでに、お得なクーポンもどうぞ。
    → http://bit.ly/webookPRESENT

-------------------------------------------

Posted by webook at 21:10 | Comments (0) | TrackBack

2016年01月03日

「読むだけで売れる」魔法の物語 〜 西沢泰生 + 羽田フラッシュモブ

これは、凄い本です。下町ロケットどころではない・・・

書籍情報

「読むだけで売れる」魔法の物語~ダメ販売員が体験した奇跡の一週間~
西沢 泰生
産業編集センター
売り上げランキング: 141,915

この本のツボは?

本書は、物語形式で学ぶ「販売のプロフェッショナル、すご技」の本。読むだけ で・・というタイトルは、決しておおげさではない。

「完売王」と呼ばれているカリスマ販売員・河瀬和幸さんの販売のコツを、わく
わくしながら学べるとても素晴らしい物語だ。

主人公は、有馬明日香(25歳)、富士太陽堂の営業二課、新卒2年目の女子。
富士太陽堂は、化粧品の製造販売をする会社だ。
明日香の営業成績は、ダントツの“ビリ”。かんぺき行き詰まり状態だ。

ある日、かつて伝説の営業と呼ばれていた上司の飛島課長(40)呼ばれた明日香、
営業2課から商品開発部への異動を打診される。
「それって、戦力外ってことですか?」
思わず語気を強めて問い返す明日香。自分の営業成績がまったくふるわないこと
を気にしていたから無理もない。

異動の話は、1週間の夏休みのあとに、返事をすることにした。

その日の帰り、電球を買うためにたちよったホームセンター「丸忠」で、明日香
はとんでもない光景を目にする。わずか10分ほどで商品16万円近くも売って
しまった「オジサン店員」を目撃したのだ。

それから始まる一週間が、実は明日香にとっては人生をがらりと変える奇跡の一
週間となる。

「オジサン店員」こそが、カリスマ実演販売員の川淵源五郎だった。(オジサン
店員は、本書の監修役でもある河瀬さんがモデルだ)

勝手に弟子入りした明日香は、師匠の源五郎から販売の技(というより商売に
大切な真の心得)を学んでいく。

さまざまなビジネス書で学んできたコミュニケーション、マーケティング、対人
関係などの要諦がほどよく登場し、そういうことだったのか、という納得感がと
ても心地よい。そして、それだけではない“何か”を感じられるところが、本書
のものすごく素敵なところ。僕は、こういう物語が大好きだ。


心にフックする物語のセリフ・・・(明日香ノートのメモでもある)

  おねえさん、コミュニケーションの基本は観察ですよ。
  販売藻接客もデートも、相手を観察している人が勝つんです。

  「いらっしゃいませ」は要らない。心の無い挨拶は逆効果。

  POPは、パット(P)みて、おっと思わせて(O)、ピンと(P)きてもらう。

  人は手に取ったものは欲しくなる。自分の未来の姿を想像して欲しくなる。

  お客がお客を呼ぶんです。コレは体験すると鳥肌が立ちます。
  (てんびんの詩が紹介されるシーン)

  ちなみに、矢印ってすごい力をもっているんですよ。

  もし私がお客に何が欲しい?といいたら、<もっと早い馬が欲しい>と
  答えるだろう。つまり誰も車が欲しいとは答えない(ヘンリーフォード)

  人は形にしてみせてもらえるまで、自分が何が欲しいかわからないものだ。
  (スティーブジョブス)

  売ろうなんてこれっぽっちも考えていません。今、私はこの人とちゃんと
  コミュニケーションがとれているだろうか、それだけです。

最後のノムトデールを完売するシーンでは、いろんなものが重なってハラハラ
ドキドキしながら、感動の結末が待っている。

さぁ、ここから先は、本書のストーリーで存分に楽しんでいただきましょう。

物語の中に、てんびんの詩というビデオが登場する。僕は知らなかったんだけど、
なかなかいいビデオみたいだ。
  ビデオ

お正月、テレビに惚けるのはもったいない、代わりにこの本を絶対読むべし。


おすすめ度は?

   ★★★★★+怒濤の疑似体験

知りたい?

   ・販売の現場に近い方
   ・コミュニケーションにお悩みの方
   ・営業の方



■■今日のおまけ:( 奇跡の一瞬)

 12月25日、羽田空港でとっても素敵な奇跡がおきました。
 第九のフラッシュモブで、大勢の人が感動の一瞬を体験。
 あれは壮観でした。たくさんの応援団の皆様、ありがとうございました。
 お仕事でこられなかった方も、お気持ちを送っていただき、ありがとうございました。

 つるちゃんや香取さんやマグロ船の斉藤さんやクイールの石黒さんや
 ファシリテーターの吉岡さんや、ガイアックスの上田さんや、ココデシカのKさんや
 早稲田大学のT教授や・・、私が尊敬する素敵な方がいっぱい来てくださいました。
 それもまた奇跡の一瞬です。
 そしてO大学の教え子さんたちも・・・ありがとうね〜。
 メルマガのお仲間の皆さん、ジェイカレッジの仲間のみんな,同期・・・
 よのなかnetの藤原さんも応援していただきました。

 あ〜ほんとに臨機応援、ありがとうございました。涙;;;

 動画はこちらに →  Youtube

 (もし、見て感動された方は、Youtube のコメントに書き込んでね!)

----------------------------------------------------------------------

Posted by webook at 14:40 | Comments (0) | TrackBack

2010年08月31日

トレード・オフ ~ ケビン・メイニー + マイケル・サンデル教授

問いが決め手 ー 購買心理を二分法で考える・・・

書籍情報

トレードオフ―上質をとるか、手軽をとるか
ケビン・メイニー(著) ジム・コリンズ(序文) 内田和成(解説)
プレジデント社
売り上げランキング: 848


本のきらめき

消費者としての私たちは、様々な商品やサービスを買うとき、「上質をとるか
」あるいは「手軽をとるか」の二者択一(トレードオフ)で判断している。
簡単に本書のエッセンスいっちゃうと、こんな感じ。

ということは、上質も手軽も「両方狙う」とダメよっていうことでもある。
あるいは、どちらでもない「中途半端」はダメよっていうことでもある。

本書には、上質ねらいとして iPhone や、テスラ・モーターズのロードスター
、有名私立大学(ハーバードとか)で学ぶこと、高いチケットで観戦するNF
Lゲームなどが紹介される。一方では、ウォルマートやマクドナルドなどの手
軽さ狙いのサービス、製品がある。

いずれも上質か、手軽さかだけを追求している。(両方ではない)

上質とは、経験+オーラ+個性。つまり、商品やサービスだけでなくそれに付
随する素敵な経験、そして、それが放つオーラと他にはない個性。これらが合
わさって上質を形成する。

手軽さとは、入手しやすさ+安さ。安くても、どこでも入手できないと手軽と
はいえない。

どちらか一方の極を狙えばいいのだが、手軽でかつ上質・・といった欲張った
考えをついしたがるのも常である。
その先には不毛地帯という目指してはいけない土地があるという。

その具体例として、スターバックスがあげられている。

スタバといえば、独特の空間、そこにいる上質さ、あのカップを持っている優
雅さ・・といった雰囲気が売り。ところが、一時拡大路線に走ったスタバは、
その上質さに、手軽さという危険因子を入れかけたことがあった。

20年目の迷走とも呼ばれた失敗は、多数の店舗閉鎖という苦い経験をへて回
復した。スタバが多くの店舗を閉鎖するというニュースは、大きく取り上げら
れていたが、その裏の背景にある「上質と手軽のトレードオフ」は指摘されて
いなかったような・・・。

また、同じように、廉価な製品を出して失敗したCOACHや、NYCに出店
をしかけたウォルマートなど、なるほどそれはいかんね・・・という事例もあ
る。

本書は、上質か手軽かというトレード・オフの実態を豊富な事例で示してくれ
る刺激的な本である。


僕のつぶやき

二者択一(二分法)の、面白いところは、分かりやすいところ。本書のように
多くの事例で示されると納得感が増す。

このときの最も重要なことは、“何を問いかけるか”というところ。

上質か手軽さか、贅沢か実用か、日常か非日常か、いろんな分け方がある。
大事なことは、そういう問いの設定(よのなかの人は、上質か手軽さかで、物
事を判断しているのではないか?)の的確さと、それを追求する探究心(検証
)ってことだろうか。

本書にでてこない日本の事例、たとえばダイソーは手軽さ、マクドナルドも手
軽さ、一方でモスは上質ねらいだね。僕が本屋さんをやるなら上質ねらいだね
、きっと。

ところで、ついさっき、一冊の本を注文した。
「奇跡は自分で起こす?幸せになる一ミリの法則」鈴木秀子著
 http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4759309756/weboooftheday-22 

"「魂が震える話」" というメルマガで紹介されていたもの。本の中から、短
いストーリーが紹介されていて、それがとっても感動的。テキストで読んだら
もう十分なのに、それでもやっぱり本として持っていたいという思いからアマ
ゾンに注文した。正直、ちょっとおバカな行為だが、トレードオフの概念から
いえば、これは、ちょっとした上質を求める行為といえる。プチ上質?

僕たちは、様々な場面で、上質か手軽かを選んでいるねぇ。しかもそれは、ち
ょっと非合理的だったりもする。笑

二者択一の切り口・・・いろいろ考えてみるのも楽しそう。



オススメ度

★★★★★+無意識の選択

読んで欲しい方

・消費の心理を考えたい方
・二者択一が大好な方
・日常の選択を感じたい方

Posted by webook at 21:29 | Comments (0) | TrackBack

2009年12月07日

「買いたい!」のスイッチを押す方法 ~ 小阪裕司 + ドリプラ


一つ目のハードルこそ、大事。

書籍情報

「買いたい!」のスイッチを押す方法  消費者の心と行動を読み解く (角川oneテーマ21)
小阪 裕司
角川書店(角川グループパブリッシング)
売り上げランキング: 367

本のひらめき

営業やマーケティング部門にいる方は、本書のタイトルをみて、うーん、どん
な方法があるのかなぁと気になる。

この本は、はじめにのところで、まず「読みたい」のスイッチをバチンと押し
てくれる凄いエピソードが紹介されている。
へぇー、なんでなんで?と思うのだ。

そのエピソードは、一脚10万円もするイスの話。ちょっと長くなるが印用し
ておこう。(あなたも読みたいスイッチONになるから、気をつけてー。笑)

 ある家具店でのこと。この店には一脚10万円以上もする椅子がある。一見
 すると、デザインは普通のものとあまり変わらない。というか、メーカーの
 方には失礼だが、少しおおぶりで武骨な外見である。高価の理由は人間工学
 を駆使しているかららしく、長時間座っても疲れにくいなど、良い点はいろ
 いろある。しかし反面うりにくくもあり、平均すると1年に1,2脚くらい
 の売れ行きだった。
 そこで店主はこの「モノはいいが売りにくい商品」を「あまりどこもやらな
 いやり方」で売り方を考え、実際に売ってみた。すると、その月にいきなり
 12脚が売れた。それまでのざっと10年分である。

 もっと驚くことも起こるようになった。著名な観光スポットの至近にあるこ
 の店では、店先に和風雑貨が置いてあることもあって、観光客がふらっと立
 ち寄る。そんな彼らにまでこの椅子が売れているのである。

 はたして、あなたは、遠方に来て、10万円もする(武骨な)椅子を買って
 帰るだろうか。しかし、この店を訪れた観光客はそうしてしまう。もちろん
 彼らとて、椅子を買おうと思ってらいてんしたわけではない。しかし、買っ
 てしまうのである。

 そうしてこの店では、遠く離れた他県へ椅子を発送することが、毎月のよう
 に続いているのである。

 この店の観光客にいったい何が起こったというのだろう・・・。

さて、これを読んだあなたも、気になり始めましたね・・うしし。


人が買うという行為をするのは、2つのハードルがあるという。二つを超えて
初めて購買行動が成り立つ。一つめは、「買いたいか、買いたくないか」のハ
ードルである。二つめが「買えるか買えないか」のハードル。
前者は情動により動き、後者は理性で決まる。
で、情動と理性。どっちが優勢かといえば、圧倒的に情動らしい。不況になっ
てサイフのひもが固くなると後者のハードルは高くなるが、一度前者の情動の
ハードルを超えるととんでもなく勢いがついてしまうらしい。

したがって、その情動に働きかける何かをすることが商売繁盛のコツになるの
だ。一脚10万円もするイスを買うのは、理性ではなく、情動なのだ。

こうした事例をふんだんに紹介しつつ、脳科学や心理学的な側面から、さまざ
まな「買うスイッチ」の秘密を紐解いている。

商売で何かを売りたいあなたにぴったりな一冊。
僕は、これをわくわくして読んだ。


<僕の思いつき>

確かに、人は何かを買いたいと思い行動に走るとき、あれこれと比較したり考
えたりするように思えるが、実は、もっと以前のある瞬間に買おうと密かに決
めている。(もうこれは理性ではなく情動)

今回、日本に帰ったときPCを買いたいなぁとなんとなく思っていた。このな
んとなく・・・というのはクセモノで、すでにあるPCを買うことに決めてい
たのが本音。たまたまネット広告でみた 指先でホールドしている薄ーいPC
が気になって仕方がない。AirMacみたいだし、なんだぁこれ・・・。
Sonyの出したXシリーズである。
  http://www.scs-uda.com/vaio/2009_aw/vaio_x_series.html

果たして、一時帰国の合間にアキバあたりをうろついて、買ってしまった。

人が買いたいと思う心のつぼを押すような仕掛けや仕組みをつくったら、売る
ほうも買う方も楽しいはず。

そういうのを、いっぱいやっていこう。っていうことで、この本は、あの方と
あの方にはプレゼントしておこう。うしうし・・。



オススメ度

★★★★★+あまりどこもやらないやり方で

読んで欲しい方

・売場を楽しくしたい方
・マーケティング部門の方
・売る楽しさを感じたい方

Posted by webook at 10:45 | Comments (0) | TrackBack

2009年11月16日

「1回きりのお客様」を「100回客」に育てなさい! ~ 高田靖久 + なりたい自分

これは、ちょっと試してみたいよね。

書籍情報

1回きりのお客様を100回客に育てなさい (DO BOOKS)
高田 靖久
同文館出版
売り上げランキング: 1819


本のひらめき

私達は普段の生活で、看板を目にし、チラシをもらい、中づり広告を眺め、T
Vコマーシャルを見ている。さらにメール広告やウエブ広告ときりがない。
そんな中で、本書は、目からウロコの販促術を紹介している。
とってもアナログなのだが、なるほどと思わせてくれるのがうれしい。

どんな業態の商売でもリピーターほどありがたいお客様はいない。だから多く
のビジネスは、一回きりの新規顧客を集めるより、固定客を増やすことに力を
入れようとしている。

著者の経験知から、ほとんどのお店の場合、「一回きりのお客様」の比率はな
んと70%を超えているという。売上を上げるために、その一回客の比率をほ
んの10%程度下げる(つまりリピーターをふやす)だけで、いいという。

手書きのサンクスメール、口コミ、顧客情報の管理など・・・様々な方法がこ
の分野(販売促進)には、世の中で推奨されているが、本書には、とても興味
深く、かつ試してみたくなる方法が紹介されている。

中でも非常に面白いと思ったのは、店員さんスター戦略(アナログブログの活
用)だ。お店の前に黒板を立てて、働く店員の人がその黒板に日常のエピソー
ドを書いておくのだ。まさにアナログブログ。

なーんだ・・・なんだけれど、これが非常に効果的らしい。結果的に、商品を
売る前に、人をアピールする、気持ちを伝える、という人間的な営みが生まれ
るというわけである。ここで生まれる心のケミストリーは、安売りのチラシの
ように一回きりのお客さんを呼びこむものではなく、もっと深いものらしい。

価値観、物語、感情、人のぬくもり・・・こういうものが、これからのキーワ
ードなのだ。

不況の時代にも、売り方はまだまだこんなにもあったのか・・・と思える楽し
さと驚きのある本だ。


<僕の思いつき>

実は著者は、顧客管理のITツールを販売するのが本職。美容院や飲食系が顧
客という。そこにITのツールだけを売っていてもおそらくあまり商売繁盛と
はいかなかったかもしれない。

著者は、ITツールを売るときに(あるいは前に)、そのお店の売上がどうし
たら上がるかというソフトな部分(提案)をお勧めしたことであろう。
ITソフトを売る前に、商売繁盛のノウハウを提供する。うまくいったお客様
は、虜になっちゃう・・きっと。(これは僕の想像だけど)

本書は、その余禄の作品・・ということなのかもしれないが、それ自体素晴ら
しいことだと思う。

わが社の商品をどうしたら買ってもらうかに腐心する前に、お客様の立場にた
ってほんとうに考えるところから、ビジネスは回り出すのかもしれない。

今日の本は、そんなこともふと考えさせてくれた本である。



オススメ度

★★★★★+100回客

読んで欲しい方

・売り方を変えたい方

書籍情報

margin-left:30px
・営業不振を脱却したい方
・売り方の面白さを感じたい方

Posted by webook at 10:49 | Comments (0) | TrackBack

2009年10月26日

顧客の信頼を勝ちとる18の法則 ~ 山岡隆志 + スリルザワールド

   マーケティング2.0 キーワードは、ドボカシー

書籍情報

顧客の信頼を勝ちとる18の法則-アドボカシー・マーケティング-
山岡 隆志
日本経済新聞出版社
売り上げランキング: 2452

本のひらめき

WEB2.0など、インターネットの進化は生活やビジネスなど様々なところ
に大きな変化を与え続けている。マーケティングの世界もしかり。
本書は、4Pに代表される企業主導の時代から、顧客主導の時代にパラダイム
シフトする中で、企業が目指すべきマーケティングの方向性を「アドボカシー
(advocacy)」という新たな概念で説明するものである。

まだ耳慣れないこの言葉( advocacy)は、支援、擁護、代弁といった意味があ
る。「アドボカシー・マーケティング」とは、「徹底的に顧客の立場に立って
物事を考え実行する信頼ベースのマーケティング」と定義されている。

こうした新しい概念が登場した背景には、ネット時代になり企業より顧客が力
をもつようになってきた事情がある。20世紀後半のテレビのCMなど「プッ
シュプル」戦略から「リレーションシップ」を経て、今は「アドボカシー」の
時代になるつつあるという。

これをロイアルティのレベル進化で表現すると

  見込み客→ 顧客→ 得意客 →支持者 →擁護者
Prospect Customer Client supporter Adovocate

という階段になる。それを実現するために企業がとるべき方法として18の法
則が紹介されいてる。

顧客に焦点をあわせるのではなく顧客の立場で見ること、ありのままを伝える
透明性の法則、TQMを追求すること、売るのではなくさりげない関係を築く
こと・・・など18の法則がある。これらはは、いわゆるマーケティングとい
う狭義の世界にとどまらない全社的なテーマとして捉える必要がある。

こうした理論的な展開に、非常に豊富な事例があるのがうれしい。たとえば、
MKタクシー、宅急便のヤマト、ジョンソン&ジョンソン、モスバーガー、サ
ウスウエスト航空、信越工業、GE、ネスカフェなどなど。豊富な事例の中で
へぇーと感心しながら、アドボカシーの理論になるほど、と納得できる。

マーケティング部門だけでなく、さまざまな立場の企業人に読んでほしい一冊。

<僕の思いつき>

たくさんの事例の中で、印象的だったのがMKタクシー。東京にいたときは、
MKタクシーを選んで乗っていた。実に気持ちいいのである。ニュースなどで
も紹介されているのでご存じの方も多いと思う。ドライバーが車から降りてド
アを開ける、きちんと挨拶する、室内温度がいいか聞いてくれる、もちろん禁
煙である。MKタクシーは、タクシー会社に対する固定概念を覆してくれてい
る。採用は、業界経験よりその人がもつ資質を厳しく見るという。技術ややり
方は教育や研修でなんとでもなるが、資質(笑顔やホスピタリティ)は、なか
なかそうはいかないからである。

ドライバーの社会的地位向上も図っている。制服も森英江さんを4年もかかっ
て口説きデザインしてもらったり、ヘルパーや観光ドライバーなどの資格をと
らせたり、英国留学制度もあるという。

過去、何十年か・・・タクシ―運転手という職業に持っていた固定観念を打ち
破るなんて、とっても素敵だ。はじめは、まさにMosoだったに違いない。

このMKからさらに進化したicinqs (アイサンクス)というリムジン企業もあ
る。 http://www.icinqs.com/ こちらも素晴らしい。

一冊の本から、素晴らしい企業を知るというのも、実に楽しい出会いである。


オススメ度

★★★★★+顧客と一緒

読んで欲しい方

・お客さまと一緒に考えたい方
・マーケティング部門の方
・BtoFを感じたい方

Posted by webook at 10:55 | Comments (0) | TrackBack

2009年10月12日

朝のカフェで鍛える実戦的マーケティング力 ~ 永井孝尚 + 露木さんと田坂さん

対物語でわくわく、解説でふむふむ・・・

書籍情報


本のひらめき

本書は、物語で読むマーケティング入門の書である。入門とはいえ、しっかり
と骨太なエッセンスが学べるのがうれしい。本書は、とくに法人向けのマーケ
ティングをテーマにしたもので、多くのマーケティング書籍が消費者向けであ
る中で、特異なポジションにあるものといえる。
さらに、物語仕掛けになっているため、とても面白く読めるのがいい。

著者は、IBMのマーケティングマネージャーとして活躍中であり、実践と理
論の両面から語れる強みは、物語をより面白くしている。

物語の舞台は、中堅会計ソフトの会社。主人公は、入社後10年ほどセールス
を経験し、最近商品企画部に異動したばかりの宮前久美。大手企業でマーケテ
ィングを担当し、退職後大学院でマーケティングを教える叔父の与田誠が久美
のメンターとして登場する。
朝、会社が始まる前のカフェーでうける与田からのコーチングは、久美を一人
前のマーケターに成長させていく。

事業ドメインの定義、競合比較と市場分析、顧客満足のとらえ方、顧客価値の
創造、プロダクトセリングとバリューセリングなど・・・マーケティングの基
本が、物語を読み進む中で理解できるのがいい。

3C、5つの力、バリュープロポジションなどを、単に教科書的に解説されて
もちっとも面白くないが、本書のような物語の中で体験的に説明されると、妙
に腑に落ちる。

とても読みやすく、また、ためになるマーケティング読本。超おすすめ!


僕の思いつき

久美と与田の間でかわされる会話にいくつかのマーケティングレッスンがあり
その中で僕の興味をくすぐったのを紹介しておこう。

家電量販店に押され気味な町の電気屋さんが、「フットワークのいいアフター
サービスを売りに、団塊世代の富裕層を狙って成功している」事例が登場する。
バリュ-プロポジションの解説事例だ。

バリュープロポジションとは
 1)顧客が望んでいて
 2)自社が提供でき
 3)競合他社が提供できない価値

のことである。

また、キシリトールガムが、虫歯予防のガムとして認知されるプロセスも面白
い。

 虫歯を治すこと・・というサービス中心で考えていた歯医者さんの価値を
 健康な歯を維持すること、というように顧客中心に変えた

 それにより、キシリトールが虫歯予防のガムとしてのポジションを獲得し、
 また、歯医者さんも虫歯治療以外の残り9割を顧客にできた・・・、という
 わけである。

世の中の現象をこんな風に眺めるのは楽しい。

マーケティング的目線でみる楽しさを本書は教えてくれるだろう。


オススメ度

★★★★★+理論と実践

読んで欲しい方

・マーケティングに興味ある方
・商品開発の部署の方
・世の中を面白く感じたい方

Posted by webook at 13:58 | Comments (0) | TrackBack

2009年07月05日

「0円販促」を成功させる5つの法則 ~ 米満和彦 + 現在進行形の伝説

智恵は出し放題!

書籍情報

0円販促を成功させる5つの法則 (DO BOOKS)
米満 和彦
同文館出版
売り上げランキング: 6498

本のひらめき

本書は、小さなお店やスタートアップした会社のための「0円販促」のノウハ
ウ本である。莫大な資金をつぎ込んだり有名人や大じかけな広告を打つことが
できない中小の企業がどのように自社のビジネスをアピールしたらいいか・・
その発想を大いに刺激してくれる本である。

ほぉー!とか、そんな手があったのか!など感嘆符が頭に浮かぶのが楽しい。
いずれも0円またはそれに近いコストだから、やろうと思えば誰にもできる。
業種は違っても、ひとつ試してみようかと思うところから、何かが始まる。
本書は、知恵をしぼって試してみるきっかけをくれるだろう。

例えばこんな事例がある。

 あるパン屋さん。すべての購入客に「血液型占い」を手渡すというシンプル
 なしかけで、人気を博している。
 朝、昼に来るお客さんには「本日のあなたの血液占い」
 夕方来店するお客様には「明日のあなたの血液型占い」を手渡す。
 内容は、無料の占いサイトから入手して、コピペするだけ。

 クチコミを発生させるために「スゴイこと」があるとよい。
 たとえば、あるタクシー会社で車体を「金色」に塗った金色タクシーを
 1台だけ走らせている。これが、話題になり、結婚式や、会社の記念
 行事で利用したいという予約があいついているとか。そして知名度も
 上がり、売上も上がる・・・

 居酒屋さんにある100円ノート。お客さんと店主の交換日記のような
 やり取りがあり、お店のメニューを誉めてくれたお客さんには、その人
 あての特別「クーポン券」がセロテープで張り付けてある。意見を書いて
 くれたお客さん専用(たとえばユウコさん専用)なので、他人は使えない。

など、面白い!と思う事例がいっぱいあり、それらに共通する5つの法則がま
とめられている。5つの法則は

 法則1:素人でもできるインターネット販促で商売繁盛
 法則2:集客が半永久的に継続するツールで商売繁盛
 法則3:店の個性(コンセプトやテーマカラー)で商売繁盛
 法則4:考えて!考えて!考えて!商売繁盛
 法則5:人と情熱を付加した最強クチコミで商売繁盛

である。それぞれに登場する事例とその不思議な効果に、思わず手をたたきた
くなる。

カネじゃなく、汗じゃなく、知恵で勝負する時代に、楽しい刺激をくれる一冊。
商売繁盛を願っているあなたにお勧め。


<僕の思いつき>

著者は、大手企業に勤め広告関係の仕事をしたあとと独立。最初は、まったく
ビジネスにならなかったらしい。「小さな店」の販促推進を支援するビジネス
で起業した著者は、信用も実績も資金もない中、必至で「0円販促」に関する
情報を集め続けた。そこにある共通性を発見して、まとめた本が本書である。

おそらくどんな仕事でも、3日間ぶっ通しに集中して探究すれば、部署の中で
一番になれる。3か月やれば、会社のNo1に。そして3年やれば業界で注目
される人になれる。

本書の著者は、そんなイメージだろう。それは運や才能や能力の違いではなく
思いの強さとあきらめない粘りによるのではないかと思う。

これから就職する人にも読んでほしい一冊かな。

世の中でうまくいっている店とか商売があったら、それを取材させてもらった
り、注目して観察したりするのもいいねー。やろうと思えばこれも「0円」で
できることだし・・。



オススメ度

★★★★★+その手があったか

読んで欲しい方

・コストをかけずに販促したい方
・お店を任されている立場の方
・わくわくを継続したい方

Posted by webook at 15:40 | Comments (0) | TrackBack

2008年06月09日

招客招福の法則2 ~ 小阪裕司 + ジェイカレッジ特別編

いい話の裏には深い商いの心がある。

書籍情報

招客招福の法則 2 (2)
招客招福の法則 2 (2)
posted with amazlet at 08.06.09
小阪 裕司
日本経済新聞出版社
売り上げランキング: 1844

本のひらめき

本書は、著者が連載している「招客招福の法則」という日経MJの人気コラムを書籍化したもの。その第二弾である。

商売の楽しい「発想」とユニークな「視点」が毎回展開されて実に面白い。
それが、地方のクリーニング店だったり、電気屋さんだったり、ブティックだったりする。その物語の清々しさは、商売のヒントだけでなく、私たちが何をみつめながら仕事をするのか、商売をするのか・・・といった哲学的思索の入り口を示してくれるのがいい。

第二弾にもちょっと登場するが、第一弾にある最も印象深いエピソードは、耳の欠けた猫の貯金箱の話。聞き覚えのある方もいるかもしれないが、ちょっと再掲しておこう。あんまり素敵な話だから・・・(前巻、法則69に登場する)

 店長がうっかり落として耳が掛けてしまった猫の貯金箱。普通ならキズもの
 として処分する。しかし、店長は「耳が欠けているからこそほしいと思わせ
 よう」と考え、心のなごむPOPを考えた。
 「私は耳をケガした猫です。おかげ様で元気になりました。
  誰かかわいがって下さる方を探しています」
 というPOPを書いたのだ。
 すると、それは、実際にすぐ売れた・・・・。

というお話。売った人と買った人の間に流れたものは、してやったり・・といった勝ち負けのビジネススタイルではなく、なにか暖かいものだったに違いな
い。

こうした売り手と顧客の関係がともて心温まるデピソードがいっぱいある。

本書で印象深かったのは、とれたボタンを見つけようと奮闘したクリーニング店主の話。お客様と店主、そしてメーカーをも巻き込んだとても素敵な心の交流が紹介されている。清々しい気持ちになれる。

商売は、ものやサービスとお金の交換・・・という定義では語りきれない。そこにはもっと素敵なものが交わされているはずだから。
どんなビジネスシーンでも、どんな業務においても、それができる・・・と思う人こそ、ほんとうに仕事を楽しむ心のある人かもしれない。

商売に限らず様々な仕事をしている人に読んでほしい一冊。

最後には招客招福の特製シールもあって、また楽しからずや!である。
あなたの仕事デスクに一冊おいておくべき本、ですね。


僕の思いつき

もうひとついいお話をつけておこう。
映画のDVDを売るクリーニング店のお話。しかも正価。さらに驚くのはなんと映画の題名を教えない・・・(笑)
その商品は中身が見えないように包装され、お店に並んでいる。POPがとてもしゃれている。

 「あなたのためにとっておきの映画をご用意いたしました。
  ご夫婦で見れば、長いこと二人で歩んできたなーと、お互いを思いやる
  心がよみがえります。。。」

と続くが題名がない。

 「タイトルは秘密」なのだそうだ。

それでも、正価でしっかり売れているという。

この背景には、店主とお客さんの間の日頃の関係性がある。信頼があるからこそできる話。お客さんは、すでに(この店主の勧めるものなら間違いない)というレベルになっており、万が一外した場合でも、なんとかリカバーできる工夫と余地があるのだろう。

商売をするなら、こうした楽しいことをやりたいものだ。

この関係性をつくるには・・・情報発信というコントリビューション(貢献)を地道にやっていくのが何よりだね。



オススメ度

★★★★★+あきないは楽し!

読んで欲しい方

・お店を楽しい場所にしたい方
・お客さんともっとつながりたい方
・商売の醍醐味を感じたい方

Posted by webook at 12:46 | Comments (0) | TrackBack

2008年05月12日

気づいた人はうまくいく! ~ 阪本啓一 + YouTube デビュー

気づく楽しみがいっぱい・・・


書籍情報

気づいた人はうまくいく!―ビジネス・チャンスの見つけ方57
阪本 啓一
日本経済新聞出版社
売り上げランキング: 39398


本のひらめき

またまた折り目いっぱい、線引きいっぱいの本と遭遇。阪本啓一さんの最新刊である。本書は、アメリカの日本語情報誌「ライトハウス」に寄稿していたコラムが本になったもの。

コラムといっても阪本さんのこと、毎回、面白い視点でものごとを捉え、なるほどぉーという気づきを与えてくれる。本書は、そのベスト57が選りすぐられている。いわば、気づき力レッスン講座というわけだ。

いくつか書き留めておきたいトピックスがあった。

まずは、広島のもみじ饅頭の老舗、藤い屋。保存料を一切使わず、おいしさにこだわっていることに加え、物語をつけて売っている。物語をつけて、というのが「ネタ目」のつけどころ。阪本さんいわく「カタチのあるものはカタチのないもので売る。カタチのないものはカタチのあるもので売る」のがコツとか。

島根県益田市(人口5万人の小さな地方都市)に、ユニークな自動車学校があるという。年間6000人もの卒業生をコンスタントに出し、全国各地から教習生がくるという不思議な教習学校である。
 http://www.menkyo-toru.net/school/07105/
 http://www.masuda-ds.com/
ここの面白いところは、卒業生が変わる、成長するところだ。運転の技術だけではなく、心も磨ける楽しいしかけがいっぱいなのが素敵だ。

未来は“予測”からは生まれません。“実行”と“自分を信じきる勇気”が創り出すものです・・・・という阪本さんの言葉は、多いに僕たちを勇気づけてくれる。

阪本さんが日ごろから主張しているのは、戦略、囲い込み、勝ち組といった20世紀型のビジネススタイルではない。もっと、深く、そして楽しい思想がある。JOYWOWという会社(現会長)は、まさにその集積地。WINWINではなくJOYJOYでいこうというもの。そしてその先には感動(WOW)がある。なんだか素敵だ。

「経営者は、自社におけるJOY含有率を由一の経営指標にしてください。」というフレーズが、僕にはとっても響いた。読んだ人に一番きづいてほしいメッセージかもね。

思想を感じさせるマーケター、それが阪本さん。
またジェイカレッジに来てほしいなー。


僕の思いつき

阪本さんは、2003年からほぼ毎日ブログ(日記)を書き続けてきたという。書く練習は、学生のころから30年以上も続けてきたといか。撮る練習、書く練習の蓄積は、お金では買えない。

その中で醸成された「気付く力」こそが、コンサルタント阪本啓一さんの知的資産といってもいいだろう。

ただ書くのではない、そこにはネタ目(ものごとをネタとしてとらえようとする姿勢)、理由を考える思考実験、現場を確認して確かめる探究心・・そういうものがあったのだ。

本書にあるさまざまな事象や会社、製品の背後にある思いや思想をも見通すような洞察力は、こうして磨かれたんですなぁー。

続ける力は、気づく力も高めるということだね。

ブログを書いてる人は(僕も含め)、阪本さんの目線を参考にしたい。



オススメ度

★★★★★+ネタ目

読んで欲しい方

・世の中のためにビジネスを考えたい方
・面白い会社にしたい方
・とんがる企画を考えたい方

Posted by webook at 10:32 | Comments (0) | TrackBack

2008年01月21日

なぜ消防署で住宅ローンがバカ売れするのか? ~ 杉村晶孝  + iTouch

 くちコミ・マーケティングの汗と知恵と情熱

書籍情報

なぜ消防署で住宅ローンがバカ売れするのか?―お役所系集団に口コミで売り込む方法
杉村 晶孝
ダイヤモンド社 (2007/10/19)
売り上げランキング: 36444


本のひらめき

この長いタイトルの本は、ものすごい宝物(商売の秘密)がいっぱい隠されている。しかも、物語を読んでるようなところがあって、めちゃ面白い!

書いてある内容もワクワク、ドキドキするような内容なら、書いてる人は、これまた桁外れにユニークな方である。(なにしろ、かつては国際証券ビジネスの超エリートだった人が、どん底の窓際族に左遷されたという経歴なのだ)

ちょっと気が早すぎるかもしれないけれど、マーケティングというジャンルを設定したら、今年一番のオススメ本になるのは間違いなし。

読後の興奮はさておき、本書は、消防署、お役所、官庁といったお堅い職場の不思議な集団心理をみごとに活用し、お役所計集団の新規顧客で900億円のダントツ売上を記録した著者の、汗と知恵のマーケティング物語である。

かっこいい理論とかのご高説ではなく、汗とど根性で切り開いてきた著者独自の知恵が披露されている。著者の言葉を借りれば「アホ丸出しの試行錯誤」の結果、地べたをはいずりまわり売上0から917億円もの売上をたたきたした秘密の開示である。文句なしに面白い!

本書が気づかせてくれた最大のポイントは次の2つ。

  お役所という巨大な眠れるマーケットがあるという事実。
  著者独自の「クモの子ばらまき型DM」というスタイル。

そして、アホに徹すれば何でもできる!という事実も、本書で面白ろ可笑しく語る著者のもうひとつのメッセージである。

お役所がなぜ巨大なマーケットなのか?
それは、単に全国組織があるとか、形だけの問題ではもちろんない。そこにある微妙な心理(本省でも採用されたとかいった権威に脆い。責任を追及されたくないという安全思考・・・など)こそが、著者の実験から浮き出てきたツボなのだ。

さらにクモの子ばらまき型DMという、聞けばなるほど!というスタイルも面
白い。詳しいやり方も書かれているので詳細は本書で・・・となるが、従来の
DMの常識をかえるすごいやり方があった。

かつて「県庁の星」という本が映画化されたように、本書もマーケティングの実践を映画にしてもらいたい・・・そんな魅力と実戦的内容に満ちた本である。


僕の思いつき

人の心にフックする(Stick=くっつく)ためには、いいことばかりいってもなかなかうまくいかない。むしろ、どこかに陰や失敗や壁があってこそ、光が輝きを増すことが多い。物語とはそういうものなのだろう。

本書を魅力的にしているのは、著者が超エリートから超窓際へと左遷されたこと、そして、そこではじめたのが、スマートなビジネスモデルとか発明ではなく、じつに泥臭いビジネススタイルだったことだろう。映画にしたい要素がいっぱいある。

もちろん私たちのビジネスで応用してみたいヒントが具体的に紹介されていることもおいしいところだ。

今、アメリカにいるから、本書の事例やスタイルはそのままでは応用できないけれど、応用編で試してみたい・・・そんな気持ちがムラムラと湧き上がるのを抑えきれなかった。アドレナリン指数の高い本である。


  個別通信:(マーケティング部のあべちゃん、10冊くらい会社で
        買ってもいいくらいだねー。まじ!)



オススメ度

★★★★★+事前承諾はいらない!

読んで欲しい方

・商品売り上げを爆増したい方
・この商品をなんとか売りたいって方
・商売の醍醐味を感じたい方

Posted by webook at 14:29 | Comments (0) | TrackBack

2007年07月12日

そうそう、これが欲しかった ~ 小阪祐司 + 香りがあったJL61便!

書籍情報

そうそう、これが欲しかった!―感性価値を創るマーケティング
小阪 裕司
東洋経済新報社 (2007/07)
売り上げランキング: 89


本のひらめき

本書には「感性価値」という言葉が何度も登場する。感性価値とは何か・・・。

それは、「何かの方法で、お客さんの感性に響き、お客さんの心をつかむことで生まれる価値」のこと。これを、計画的に戦略的に作り出せれば、売上げは期待を超えるものになる・・・。

そのためのマーケティングの実践的方法を本書は、実に小気味よく紹介している。

感性価値が生まれた瞬間。私たちも日常でふとそんな瞬間を体験している。たとえば、スーパーに並んだりんご。りんごと値段表だけあれば、「あ、そうか」で終わるが、そこに生産者の写真や思いのメッセージがあり、ふと読んでみたら、なんだか買ってみたくなった・・・。そんな時である。

大事なことは
 1)人の感性と行動に着目すること
 2)お客さんの心の中に新たな価値を生み出すこと
 3)売り手の領域全体、つまりサプライチェーン全体で取り組むこと

である。ただ、キャッチーなPOPを作ればOKというわけではない。

面白い事例にゼリア新薬の便秘薬がある。ウィズワンという商品で、ずっと売上げが3億円だったのが、99年に導入した感性マーケティングで売上げが5倍に跳ね上がる。それまで「植物性便秘薬」というコピーで売っていたのを、大阪支店で「うんちどっさり」というやや過激なコピーを使った。うんちのキャラクターも用意した。そこからどんどん売上げが伸び・・・それこそドッサリ売上げとなったのである。この状況は他社のシェアを奪ったのではなく、ダイエットにもいいかしら・・・という新たな市場を生み出していたという。

お客さんが、ある情報を知ったとき、そこに「そうだったのか!」とか「それいいね」が生まれるとき、感性に響いた価値が生まれる。そんな工夫と実践が本書には、これでもか・・・というほとたくさん登場する。

エモーション・ド・テロワールというワイン、ある居酒屋での「すごいビール」、耳の欠けたネコの貯金箱、おむすびの十石・・・などなど。

お客さんの心に何か新たな価値の発見を生むこと、お客さんとの関係性という新たな資本を構築すること、お客さんの感性を育成すること、お客さんの感性に関するナレッジの共有など・・・たくさんの気づきに満ちた内容がある。

感性ナレッジマネジメントでは、リッツ・カールトンの事例が登場する。お客さまの感性プロファイリングをしておくといろんなアイデアや提案ができる。そんな事例だ。

本書を読むと、自分の心の中に弾けるものがいっぱいあるのが感じられる。
超オススメ!


僕の思いつき

商品の価値の伝え方はいろいろだ。多くのいい商品があるにもかかわらず、あーモッタイナイ・・というのがたくさんある。

自社のそういう商品を本書の提唱する感性マーケティングで、ブレークさせるMoso会議をやってみよう!

それをきっかけに、社内で本格的に感性マーケティング活動を進めるときの留意点も本書には書かれている。つまり、社内の巻き込み方、である。

実は、ここが微妙に難しいことが多い。浮いてしまったり、ついてくる人がいなかったり・・・。そうなると、「うちの連中は頭が固いから・・・」とかの愚痴になる。

「やや公式な形で活動」とか「社内のノリはS字カーブと心得る」など、いいヒントがある。

Mosoから、Kosoへ、KosoからKodoへ・・・
あー・・・仕事が楽しくなって気だぞ~



オススメ度

★★★★★+うん○どっさり!

読んで欲しい方

・あ、これが欲しかった!という体験がある方
・うちの商品、もっと売れないかなーという方
・感性という言葉にピンときた方

Posted by webook at 13:51 | Comments (0) | TrackBack

過去の記事
カテゴリー別