2011年04月08日

英語社内公用語化の傾向と対策 ~ 森山進 + まさに臨機応援

 英語格差社会に生き残るために・・・今行動することが大事。

書籍情報



  <逆境下でも笑いを忘れないユダヤ人のジョーク(人間の一生)>

  1歳は、王様。周りのだれもが、かしづくように機嫌をとってくれる。
  2歳は、豚。泥の中を走り回る。
  10歳は、子ヤギ。元気よく駆け回る。
  18歳は、馬。背伸びして自分を大きく見せたがる。
  結婚すると、ロバ。家族という重荷を背負って、とぼとぼと歩き続ける。
  中年になると、犬。家族を養うために人々の関心を買ったり、憐みを
  誘おうと、ひたむきな努力と忍耐が必要。
  老年は、サル。再び子供っぽくなるが、もはや誰からも相手にされない。
  「ユダヤ人成功者たちにひそかに伝わる魔法のコトバ」(森山進著)より。

  森山さんはこの話を「馬」だったころに聞いたそうです。
  ぼくは犬のとき初めて知ったな・・・笑


この本のツボは?


昨年、楽天とファーストリテイリング(ユニクロ)が社内の公用語を英語にす
るという方針を明らかにしたことは、私たちの記憶に新しい。日産はカルロス
・ゴーン氏の登場以来、英語公用語化の道を走っている。これから、こうした
動きは、グローバルにビジネスを展開している企業で広がるかもしれない。

そんな中、本書では、英語社内公用語化の流れに中で、我々は何を考えなけれ
ばならないかを幅広い視点から論じている。
単に、どうしたら英語がうまくなるのかといった狭いものではなく、異文化コ
ミュニケーションの本質や多様な価値観のありようなど、とても刺激的な内容
がいっぱいある。(本書からあと3冊くらい別カテゴリーの本が生まれてもい
いと思う程、濃い内容がつめこまれている)

本書は、3部構成になっており、第1章で、世論調査などを踏まえながら、英
語による異文化コミュニケーションの本質に迫る。
第2章では、ユニクロの柳井正氏やベルリッツの内永ゆか子氏など7人の「コ
ミュニケーションの達人」との対談から、著者の考えを浮き立たせている。
第3章では、「7つの鉄則」という形で英語格差社会の生き延び方を伝授して
いる。

第二章で登場する柳井さんの言葉が興味深い。

 英語なんて、しょせんツールですよね。意思疎通を図るための共有ツールで
 あって、それ以上でも、それ以下でもない。

ただし、それぞれの言語のもとで、人は大切な「根っこ」を持っている。それ
は、文化だったり、思想、DNAだったりする。人間性ともいえる根っこの部
分を意識し(忘れず)なおかつ、その先に行くためには、異文化コミュニケー
ション力が大事だという。そこに英語という公用語ツールがあるのだ。

グローバル時代に、英語は、ただ単にビジネスを効率よく成功させるためだけ
ではなく、もっと深いものを追及したいという思いが本書には流れている。

深い思いとは、言葉(英語)を通じた多様性(diversity)の理解であり、受容
性(inclusiveness)や寛容の精神である。そして、西欧的な二項対立ではなく、
正反合できる力をもった日本のよき文化を元に、異文化コミュニケーションを
進めようという考えである。そこが本書の、本当の魅力なのかもしれない。

多くのビジネスパーソンが直面している悩みを、深く掘りさげた洞察は、大い
に共感を得られるのではないだろうか。各所にちりばめられた著者のエッセイ
も必読の価値あり。(文明論、文化論など、別の本として出版してほしい程)
特に、英語を公用語としているシンガポールに対する考察はおすすめだ。

著者の森山さんは、欧州の首都ブリュッセルに在住の会計士の方。数年前にお
会いして以来、不思議なご縁が続いている。

(冒頭にあるユダヤの笑い話の)イヌやサルの方も、あきらめず「好奇心と行
動力と根気」で、がんばろう。
また、馬や若いロバの方には、「意欲+時間=成功」という方程式に注目され
たい。

英語公用語化の波の中にいる方も、そうでない方も、お勧めの一冊。

おすすめ度は?

   ★★★★★+公用語は英語!

知りたい?

  ・勅許会計士ってなーに?
  ・議論のDNAと沈黙のDNAとは?
  ・外国語習得に王道はない。ただし効率的な方法はある。なーに?


知りたい?


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■■今日のおまけ:( まさに臨機応援です! )

 東日本大震災からもうすぐ1か月。私たちにできることは、共感の心を
 持ち続けること、風化させないこと、応援し続けること。
 復興はたぶん長丁場になりますね。まだ日常生活もままならない人たちが
 いることを心のどこかに留めながら、日常のありがたさを感じたい。

 様々な形で支援を続けている人たちがいます、始めたり、協力したり、応援
 したり。それはまさに臨機応援の世界。

 我が家だけは水を確保して・・というちょっとエゴな自分も許しつつ、
 あの人たちをなんとか支援したいという無償の愛をもつ自分を発見しながら、
 私たちは新しい世界を創るのでしょう。

 よき社会を作るために、私たちはみんな試されている。

 臨機応援の微妙なバランス(自己と他者)を意識しながら、日々の生活を
 進めるのでしょうね。

 下記に、この先に計画されている臨機応援活動のリストをまとめてみました。

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★「田中靖浩・御立資尚・ジェイカレッジ企画 ビジネスx落語 公演 4/28 」

  まぜるな危険!番外編~ 復興支援チャリティ
   日時:2011/4/28 18:45-20:30
場所:草月ホール
   費用:4,000円
   人数:520 人
  ジェイカレッジも全面支援しています!


★「浜口さんほか豪華講師陣による復興支援チャリティセミナー 5/14」

鶴ちゃん、高野登さん、山拓さん、帆帆子さんなど・・・
  http://www.kigyokashien.com/seminar/detail/20110514.html
   日時:2011年5月14日(土) 10時00分~19時00分
   会場:ニッショーホール
   費用:10,000円
   定員:742人


★「HOPE100、復興支援チャリティ講演シリーズ 」
  http://hope100.jimdo.com/

  2011年4/21(水)1930- は小林正弥教授の白熱教室がある。
  「大震災がつきつけるもの:自粛問題をめぐって」

  2011年4月16日(土)16:30-18:00 は
  『題名のない音楽会』にも出演する外資系企業の事業部長が語る働き方


★「アウトドア義援隊 by モンベル」
  個人が細々としたものを送っても、現地の自治体やNPOはその仕訳に
  困る・・・だから控えてほしい、というじれったい事情がある。一方で、
  とにかくモノがない、待ったなしなんだ、という切迫した状況もある。
  そこで、民間企業が自社の流通などを使い、市民の支援の想いを実現させ
  ている。(NHKでも放送してたねー) 個人→石川に集約→現地へ。
  http://bit.ly/h1wMz7
  ロスで、知り合った翔陽くんを通じてしったこの活動。応援したい。


★「JustGiving 100冊倶楽部の募金活動」
  112万円を目標にしています。100冊倶楽部の皆さん、Webook
読者のみなさん、よかったら・・・
  http://justgiving.jp/c/3384


★「田舎の実家を移住先に提供できないかとMoso中」

  田舎の実家を移住先に提供できないものか考えています。家、田畑、山。
  被災された農家の人で、他県に移住して再出発したい希望者はどうしたら
  みつかるでしょうか。
  一方で提供したいという人はいるでしょうか。
  そういうのをつなぐ情報/仕組みはあるのでしょうか。
  それを支援する行政の支援は考えられているでしょうか。

★「100冊倶楽部チャリティMoso会議 (本の紹介と 支援のMoso)」
   4月22日(金)1900- @HRIビジョンハウスー山小屋風のイイ所
   http://bit.ly/fXz7fc

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2010年12月01日

なぜ「そうじ」をすると人生が変わるのか? ~ 志賀内泰弘 + なぞかけ 

読後はきっと、誰かのために、そうじをしたくなります。

書籍情報

なぜ「そうじ」をすると人生が変わるのか?
志賀内 泰弘
ダイヤモンド社
売り上げランキング: 477


この本のツボは?

きょうは心が爽やかになるおそうじの本を紹介。
イエローハットの創業者鍵山秀三郎さん、カレーハウスCoCo壱番屋創業者
の宗次徳二さん、ビジネス書をたくさんお書きの小山一慶さんなど、そうじの
中に仕事の思想をみつけていらっしゃる人は多い。

本書は、「そうじ」がもつ不思議な力を物語形式で感じさせてくれる本である。
ガスの配管工事などを行う会社の営業兼工事マネジャーをする山村圭介、彼が
そうじを通じて成長していく姿を描く物語。

軽快なテンポと意外な顛末に、引き込み力の高い小説になっている。
小説を読む愉しさと、そうじというごく単純なことが持つ深い意味への気づき
で、読後は、とっても爽やかな気分になれる。

・第一話は、序章。主人公の山村圭介とメンターの老紳士の出会いの場面。
 ある朝、公園でゴミ拾いをする老紳士に出会う。やがてその老人と話をする
 ようになった山村圭介は、老人から様々な気づきを与えられる。

  拾った人だけがわかるんじゃよ。

  拾うと何かが自分の中で起こる。何かが変わる。
  その何かは拾った人だけがわかる。

 など、禅問答のような会話だったが、圭介は、何かを感じ取っていく。

・第二話は、老紳士の回想物語だ。
 この老紳士は、実はホテルグループの創業者で香取謙吾といった。ビジネス
 界では有名な人だった。彼の若い頃の物語(回想)は、とても面白い。
 どんでん返しの展開は、恐れ入りました!である。
 セス・ゴーディンの話に登場するような展開が素晴らしい。

・第三話は、地域も巻き込んだドブ川クリーンアップ作戦の話。圭介もまわり
 の人たちも、そうじで、何か大切なものをつかんでいく。

 物語のあとの解説(気づきのキーワード解説)も心に響く。

僕の琴線に響いたのは・・・

 一事が万事。あなたが行っている一つの行動を見るだけで、あなたの
 すべての行動がわかるのです。

 1憶から1を引けば9999万9999になる。一歩一歩積み重ねていけば
 やがて頂上につく。

人は、意識するしないにかかわらず、損得で行動することが多い。
ゴミ拾いも、やがて得がめぐってくると思って、利己的に始めてもいい。それ
が人間だもの。行動するのが大事。
得するのを期待して始めても、やがてそれが無心(バカになって)でできるよ
うになると、得がめぐってくる。この微妙な変換点が面白い。

本書のそうじは、自分の家やデスクの掃除ではなく、公共やみんなの場所のそ
うじである。ベクトルが外向き(利他)ってところに注目したい。

たかが掃除、されどそうじ。なにか奥深いものを見たような気分になれる。

おすすめ度は?

   ★★★★★+一つ拾えば

知りたい?

   ・欲、願い、夢・・・何が違うんだろうね
   ・損か得か、好きか嫌いか、そのどちらでもない・・か。
   ・信用もお金で買える。しかしその信用は・・・・ると一緒に消える。


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■■今日のおまけ:( なぞかけ )

 毎週、土曜日は楽しみな番組があって、録画しています。
「笑点」のお時間です。司会の桂歌丸です・・・大喜利コーナーが楽しいね。

 なぞかけは、瞬間の芸ですが、これぞ!という作品にあうと感動します。
 今朝、読売新聞の編集手帳のコーナーに、なぞかけの話題がありました。

  「新聞」とかけて「お坊さん」と解く。
   そのこころは
  「今朝(袈裟)きて、今日(経)読む」

 うひゃー、これすごい。故・二代目春風亭梅橋さんの作らしい。
  → http://amba.to/Nazokake12022010


 こういうの僕も作ってみたいな・・・と時々思う。
 
 ネットで、探すとねずっちの本がみつかった。(ねずっちも“編集手帳”で
 引用されている)ちょっと、頭使ってみよう・・・笑
  → http://amzn.to/Nezucchi   (今度Webookで紹介予定です)

 お笑いのヒント:http://owa-writer.com/2010/04/post_1.html
 に習い、初心者バージョンで私も作ってみました。

 老人 とかけて、職人技と解く
 そのこころは
 みがいてイレバ 大丈夫!

 改札 とかけて バッターと解く
 そのこころは
 早くホームにたどり着きたい。
 
 田舎 とかけて お役所の仕事 と解く
 そのこころは
 規制(帰省)すると泣く人がいる。

 お後がよろしくないようで・・・・汗

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2009年06月08日

スローシンキング ~ 安藤雅彦 + セミナー道(その2)

回り道も決して無駄ではない・・・・

書籍情報

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本のひらめき

ニュートンが万有引力を発見したのは、「リンゴが落ちるのを見て」ひらめい
と、どこかで習った(読んだ)。リンゴのエピソードは、学校で習った引力の
知識とともに、万有引力の法則を分かった気にさせるのに十分な効用があった。

しかし、ニュートンが万有引力の法則を発見したとき、彼が目にしていたもの
はリンゴだけではなかったという。おぉー。
では、彼の目に映っていたもうひとつの“あるもの”とは何か・・・・。
(これは、言っちゃうと読む楽しみが減るので内緒にしておこう:笑)
そこには、ニュートンが必死に考えたヒントがある。

私達は、GooogleやWikipediaなど、ネットで調べれば何でも
分かってしまう(気になれる)便利な時代に生きている。学校や塾では、質問
に対する答えを知識として覚え、答えることが求められる速効性の時代でもあ
る。著者は、そこに潜む落とし穴に注目し、私達が失いかけたものにフォーカ
スする。

クリックひとつで様々な知識や情報が手に入る時代は、同時に「思考の近眼化
」や「自ら考える力の喪失」をもたらしているのではないか・・・・著者の眼
に映る現代社会の問題点である。

私達が陥っている「ある知識を簡単に得ると考えなくなってしまう」危険性に
警鐘をならす本書は、興味深い地学的なエピソードを披露しながら、自ら考え
る大切さについて再認識させてくれる。

自ら考える力を育むためには、
  ・好奇心をもって「種々雑多な物事」に触れる
  ・新しく得た知識と自分の知識との間に「違和感」をみつける
  ・生まれてくる疑問をどんどん「疑問の箱」に放り込んでいく
  ・疑問の中から基準を見つけられたものを「関連づけ」ていく
  ・関連づけられた情報を「情報の棚」に整理する
ことが大切だという。

地球温暖化に対する別の視点、地球の大きさを測ったエラトステネス、テレビ
に映る137億年前の光・・・・など、興味深い地学のエピソードをまじえて
展開される内容はとても楽しく読める。

テレビのクイズ番組のように「広く」「早く」「浅く」知ることにメリットを
感じる今日、「深く」考えることの大切さを感じさせてくれるとてもお勧めの
本である。


<僕の思いつき>

僕たちは子供の頃、質問の天才だった。
 どうしてお月は痩せたり太ったりするの?
 どうして空は青いの?
 どうして海は青いの?
 どうしてテレビは映るの?
大人になるにつれ、そうした疑問や質問は、「そういうもんだ、学校で習った
だろ」という免疫が増えるとともに、本質を掘り下げる努力をしなくなる。
考えることより、覚えることに重点を置いたいまの教育のしくみは、それを加
速している。

高校時代、「地学」というのがあった。なんだか興味をそそる授業をしてくれ
た先生は、一風かわった雰囲気の方だった。どことなく不思議な魅力をその講
義に感じていた。それは先生のもつ魅力でもあり、同時に悠久の時間と壮大な
宇宙を感じさせてくれたからだった。その先生は、子供のようなきれいな目で
受験を勝ち抜いてきた生徒たちに、簡単だけど深い質問を投げかけてきた。
それは、かなり新鮮な問いかけであった。

今日読んだ本は、そんななつかしい昔を思い出させてくれる素敵な本である。

著者は、河合塾(名古屋が基盤)の地学の講師。ちょっとかわった教え方は塾
生たちに人気らしい。

著者の安藤さんも、じつは安近短の受験対策の仕組みの中で、安勅に答えを覚
える効率性と、もっと深く考える力を養おうという、矛盾の中で塾講師という
役がらを演じている。どちらかに割り切るのではなく、その矛盾に対峙しなが
らなんとかそれを解決する方策を模索している・・・そんな姿勢が好感だ。

仙台と名古屋の往復の途中、東京で途中下車していただき、ジェイカレッジで
ぜひ、講演していただきたい。


オススメ度

★★★★★+思考の近眼化

読んで欲しい方

・ものごとを深く考えたい方
・教える立場の方
・考える楽しさを感じたい方

Posted by webook at 15:22 | Comments (0) | TrackBack

2008年06月02日

成功の五角形で勝利をつかめ! ~ 三田紀房 + ジェイカレッジLA

帰ってきたドラゴン桜!

書籍情報

成功の五角形で勝利をつかめ!
三田 紀房
大和書房
売り上げランキング: 2099


本のひらめき

ドラゴン桜。東大受験をテーマにしたユニークな漫画にはまったことがある。すべての号を買い、DVDまで購入したくらいだから、相当なハマリ様だったことは確か。TV番組もあったら、ご記憶の方も多いはず。

その後、ドラゴンイングリッシュなど様々なバリエーションが出たが、最近また新たな形で登場していた。ドラゴン桜流ビジネス突破塾、である。

これが仕事の教科書だ!ということで、成功の五角形について解説される。
五角形とは何か・・・

むふふ・・・それは、国数英社理の5科目のことである。(笑)

そこだけ聞くと、なんじゃそれぇ・・・となる。しかし学校の教科書にメタファーを得たこの本、なかなかあなどれないのである。深い!

学校の勉強なんて・・・とつぶやいたことが僕もあるけれど、あの勉強は、「知識」を学ぶためではなく、それよりもっと大切な「力」をつけるものだったという。生きる力やいく抜く力を学ぶのが学校であり、それを学ぶツールとして国数理社英の5教科があるという。具体的には

 国語・・・読解力、コミュニケーション力
 数学・・・ロジカルシンキング能力
 理科・・・仮説力、検証能力
 社会・・・ネットワーク力
 英語・・・クソ度胸

だ。学校とリアルな社会をつなぐ展開がなんとも面白い。言い切り型のスタイルは、元祖ドラゴン桜と同じ。所々にドラゴン桜の登場人物の矢島や水野が登場したりするのも楽しい。

面白い定義がある。

 国語は、「言葉というツールによって世界を表現し、物事を考える学問」
 数学は、「数字というツールによって世界を表現し、物事を考える学問」

言葉や数式を覚える学問じゃないってことだね。

さらに社会は、ものごとのつながりを考える学問、理科は、仮説検証を鍛える学問、そして、英語は、クソ度胸をつける学問・・・とくる。

社会で必要な要素が、5教科で展開されるマンガのような面白さが魅力だ。


僕の思いつき

冒頭では、「会社は教師のいない学校である!」と宣言。
企業が体育系の学生を好む理由を考える。体力とか根性が決め手ではない。では何か・・・それは、彼らが身につけてきた「縦社会における対人スキル」、それこそが評価されているのだと分析する。

対人スキルとは先輩の言うことはなんでも従う・・といったものではない。
健全な体育系の縦社会には、実力重視な部分と、年長を敬うという、一見相反する仕組みが共存しているのである。1年生のエースがいる野球部でも、そのエースはちゃんと先輩を立てて行動する、3年生といえども実力のある一年生エースは認めて応援してあげる・・・こういった縦社会である。そこには、微妙な空気のやり取りがあり、それを身につけた体育系学生こそが「対人スキル」があるというわけだ。ふむ、なるほど、そういうことか・・・。

学校と社会。二つの世界は、面白いリンクと関係性があったことに気付く。

すこし深く考え、メタファーを機能させると、案外、みえないものがよく見えたりするのが面白い。

本書は、そんな気づきもいっしょについてくる。

さて本書には、メモっておきたい名言がいくつかある。


 将来、有効となる能力とは、理解力、想像力、表現力の、3つである。
 (鈴木光司、なぜ勉強するか? より)

 仕事のモノサシは、時間、コスト、労力。

 行動とはすべて、「最初の5メートル」がもっともエネルギーを使う。

 注意すべきは「半径5メートルの人間関係」である。

しかし、誰もが知っている教科書と、社会とを結びつけ、新たな視点で整理するとこんなにも面白くなるのか・・・というのが最大の驚きかもね。



オススメ度

★★★★★+5教科!

読んで欲しい方

・ドラゴン桜を読んだ方
・ドラゴン桜のTVを見た方
・東大卒以外の社会人の方

Posted by webook at 10:26 | Comments (0) | TrackBack

2007年10月29日

翻訳者はウソをつく! ~ 福光潤 + 素敵な出会い@LA

へぇ~、そうだったの!?

書籍情報

翻訳者はウソをつく! (青春新書INTELLIGENCE 184)
福光 潤
青春出版社 (2007/10/02)
売り上げランキング: 6061

本のひらめき

人類が生まれ、様々な言語が生まれ、文化が花開き・・・地球には多様性という奇跡がある。翻訳という仕事はその多様性をつなぐ素敵で面白い仕事。

プロフェッショナルな翻訳家、福光さんがその面白さ、意外さ(トリビア)、楽しさを、時間と場所を縦横無尽にかけめぐって紹介する。そんな本が、今日の一冊。

ものすごく面白い!

例えば、99%の汗・・と聞けばすぐに思い浮かべるエジソンのあの言葉。

 Genius is one per cent inspiration, ninety-nine per cent perspiraition.

そう、天才とは1%のひらめきと99%の努力の賜物である、っていうあれ。電球のフィラメントを見つけるために途方もない失敗を繰り返し、最後に孟宗竹で成功したっていうあのエピソード。この言葉を僕たちは、成功するためにはひらめきも大事だけどあきらめない努力が必要なんだ・・・と理解している。1より99に焦点があたっているよね。

しかし、どうやらご本人(エジソン)によれば、あの言葉の意味は、そうじゃなかったらしい。

本当は「1%のひらめきがなければ、99%の努力も意味がない」というもの。

えぇぇ!だよね。当時の記者が、一般うけをねらい「努力は美徳」というニュアンスで捏造してしまったんだとか。エジソンは、後年のインタビューでそう語ったそうだ。うーむ。言葉は、翻訳の仕方によってずいぶん違うものになる。

英語や翻訳の紹介をするだけでなく、そこに福光さんらしい洞察とユニークさがあるのが本書のすばらしさ。たとえば、上記の1%99%の訳を福光さんは韻を踏んでこんな訳を紹介している。

   天才とは1%の霊感と99%の発汗。

英語と同じく、翻訳にも韻を踏んじゃってるところがすごいね。

こんなエピソードをたくさん交えながら、本書は、とっても興味深い翻訳の世界へといざなってくれる。

正岡子規と野球(baseball) の話、単位の話、タイトルの話・・・など、知的な刺激がいっぱいの本である。

超~おすすめ!
 

僕の思いつき

福光さんとは、ご縁があってお付き合いいただいている。福光さん、行縄さん、そして僕とで本を出そうって話もあった。(いやまだ、継続中~)

記念すべき福光さんの処女作は、きっと翻訳の世界でも長く読まれる記念碑になると思う。

翻訳という仕事の歴史を感じさせてくれるのは、ハムレットの名台詞。
 「生か死か、それが問題だ」っていうあれ。
 To be ,or not to be, that is the question.

これが日本で翻訳された最初は明治7年。そのときの訳はこれだ・・

  アリマス、アリマセン、アレハナンデスカ。

笑っちゃうけど、最初はこうだったんだぁ・・・、きっとジョンマンジロウだって、こんなレベルからスタートしたのかもしれないね。

その後100年以上かかって、いろんな訳が世に出され今にいたる。坪内逍遥なんかも訳している(明治42年)から、なんだか歴史の流れを感じることができる。

この本にある不思議なテイストは、あなたの好奇心をいっぱい刺激してくれるはず。

仕事のプロになるプロセスでうまれたさまざまなトリビアを、自分なりにまとめてみるのもいいかもね。それは自分の歴史でもあり、仕事の楽しみでもある。

なにか始めてみない?


<おまけ>

   アマゾンでは、最近カスタマーイメージっていうのを掲載している。
   http://tinyurl.com/3cjhmo
   ページの左下に、小さな画像があるので、クリックすると楽しい。
   僕もやってみよっかなー。→ http://tinyurl.com/vhljw



オススメ度

★★★★★+そうだったのか!

読んで欲しい方

・翻訳に興味をもっている方
・英語でいつか・・と思ってる方
・言葉の不思議を感じたい方

Posted by webook at 03:06 | Comments (0) | TrackBack

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