キツネやタヌキであるまいし・・・葉っぱはオカネに化けん!
徳島県の小さな町、上勝町(かみかつちょう)。この名前を聞いて、おっと思われた方は、なかなかツーの方。この町は、彩【いろどり】という葉っぱをビジネスに変えた、すばらしい町おこしの舞台である。
http://www.irodori.co.jp/
本書は、その立役者である横石さんの物語。過疎の街の再生ストーリーだ。
上勝町の「彩」の取り組みは企業フィランソロピー大賞やにはソフト化大賞など数々の受賞をえている。ニューズウィーク日本版「世界を変える社会企業家100人」にも選ばれている。「彩」はその後もTVなどメディアに注目されるようになった。この本では、その舞台裏を、著者自らが、厳しい町の現実や自身の経歴をおりまぜながら語る感動の再生ストーリーだ。
冷害で地域のメイン事業である農業が大打撃をうけ、どん底に陥った田舎町がどうして再生したのか・・・、UターンやIターンがおき、高齢者が多いのに寝たきりの人はわずか数人という奇跡の町に変貌したのか・・・その秘密が語りつくされている。
今では、70代80代のおばあちゃんたちが、売上2億8000万円のビジネスを支え、人口の二倍もの視察者が訪れる町になっている。
過疎の村再生には20数年かかっている。昔は、男衆は、朝っぱらから大酒をあおり、女は影で他人をそしり・・そんな町だったという。それが大きく変貌したのは、たくさんの失敗も含め試行錯誤の連続と、あきらめない情熱だった。
おばあちゃんが奇しくも言ったという次の言葉が僕たちに何かを感じさせてくれる。
やってみるって、大事やな
自分が踏み出る勇気やな
田舎はとかく保守的、変わるには大きな勇気ときっかけがいる。表紙にのってるおばあちゃんの満面の笑顔の裏に、様々な人生模様がにじみでている。
いろどりの成功は、単に過疎の町の再生ということにとどまらず、福祉の問題高齢社会の問題、ビジネスの要諦など、さまざまなヒントをもらえる。
本書をよんで、元気なおばあちゃんに負けない明るさを取り戻そう!
横石さん(地元のおばあちゃんには、敬意をこめてヨコさまと呼ばれたりしている)は、上勝町の農協に就職するとき勉強のつもりだった。父親の勧めて県庁職員に転進する想定があったからだ。しかし、就職2年目、上勝町を異常寒波が遅い町の事業のミカンが全滅。なんとかせにゃ・・・ということになった。横石さんは、これを「天の啓示」だったかもしれない・・と述懐している。
人には、それぞれこの星に生まれて、何かの使命をもっていると思う。それをなんとなく感じている方は、この本を読むととても共感するものがあるはず。(そういえば、僕も立石さんと同じ年に社会人になってたなぁ)
彩の成功の秘密がいくつかまとめられている。その中からいくつか・・・
■気を育てる
現場ではっぱをかけたり。ラブレターガックスを送ったりしている。
手書きメッセージのサンプルが載っているが、絵入りで思わず
読みたくなる。
あるおばあちゃんの言葉:
病は気からと昔から言うだろう。ほらみんなからだのどこかは痛い
ところがある、ほんでも朝起きて、今日はこれやりたいと思うこと
があったら、からだの痛さはいけて、苦にならんでよ。なにもせん
でええって言われんが一番つらい。
まさに気のタネを植えていたのが横石さんである。
■的を射る、場面をつくる、渦をまく。
問題の的をいることや、成功体験の場面をつくることはわかる。
渦を巻くとは・・・?
波紋を投げかける(そしていつの間にか消える)のとは違い、
鳴門の渦のようにエネルギーを増すこと。最初はものすごい抵抗がある
けれど、渦になると勢いがつく。
何かが変わっている。何かがそこにある。
大きな変化のタネをまき、育て、動かし続けている横石さんを注目していきたいね。
ジェイカレッジにもきてくれるかな・・・。(うしうし)
★★★★★+葉っぱの奇跡
・みんなが元気になることを考えている方
・苦境を乗り越えなければならない立場の方
・そこに気を感じたい方