くちコミ・マーケティングの汗と知恵と情熱
この長いタイトルの本は、ものすごい宝物(商売の秘密)がいっぱい隠されている。しかも、物語を読んでるようなところがあって、めちゃ面白い!
書いてある内容もワクワク、ドキドキするような内容なら、書いてる人は、これまた桁外れにユニークな方である。(なにしろ、かつては国際証券ビジネスの超エリートだった人が、どん底の窓際族に左遷されたという経歴なのだ)
ちょっと気が早すぎるかもしれないけれど、マーケティングというジャンルを設定したら、今年一番のオススメ本になるのは間違いなし。
読後の興奮はさておき、本書は、消防署、お役所、官庁といったお堅い職場の不思議な集団心理をみごとに活用し、お役所計集団の新規顧客で900億円のダントツ売上を記録した著者の、汗と知恵のマーケティング物語である。
かっこいい理論とかのご高説ではなく、汗とど根性で切り開いてきた著者独自の知恵が披露されている。著者の言葉を借りれば「アホ丸出しの試行錯誤」の結果、地べたをはいずりまわり売上0から917億円もの売上をたたきたした秘密の開示である。文句なしに面白い!
本書が気づかせてくれた最大のポイントは次の2つ。
お役所という巨大な眠れるマーケットがあるという事実。
著者独自の「クモの子ばらまき型DM」というスタイル。
そして、アホに徹すれば何でもできる!という事実も、本書で面白ろ可笑しく語る著者のもうひとつのメッセージである。
お役所がなぜ巨大なマーケットなのか?
それは、単に全国組織があるとか、形だけの問題ではもちろんない。そこにある微妙な心理(本省でも採用されたとかいった権威に脆い。責任を追及されたくないという安全思考・・・など)こそが、著者の実験から浮き出てきたツボなのだ。
さらにクモの子ばらまき型DMという、聞けばなるほど!というスタイルも面
白い。詳しいやり方も書かれているので詳細は本書で・・・となるが、従来の
DMの常識をかえるすごいやり方があった。
かつて「県庁の星」という本が映画化されたように、本書もマーケティングの実践を映画にしてもらいたい・・・そんな魅力と実戦的内容に満ちた本である。
人の心にフックする(Stick=くっつく)ためには、いいことばかりいってもなかなかうまくいかない。むしろ、どこかに陰や失敗や壁があってこそ、光が輝きを増すことが多い。物語とはそういうものなのだろう。
本書を魅力的にしているのは、著者が超エリートから超窓際へと左遷されたこと、そして、そこではじめたのが、スマートなビジネスモデルとか発明ではなく、じつに泥臭いビジネススタイルだったことだろう。映画にしたい要素がいっぱいある。
もちろん私たちのビジネスで応用してみたいヒントが具体的に紹介されていることもおいしいところだ。
今、アメリカにいるから、本書の事例やスタイルはそのままでは応用できないけれど、応用編で試してみたい・・・そんな気持ちがムラムラと湧き上がるのを抑えきれなかった。アドレナリン指数の高い本である。
個別通信:(マーケティング部のあべちゃん、10冊くらい会社で
買ってもいいくらいだねー。まじ!)
★★★★★+事前承諾はいらない!
・商品売り上げを爆増したい方
・この商品をなんとか売りたいって方
・商売の醍醐味を感じたい方