一体どうなってんだぁ?この会社!
セムコ社。その名を初めて知ったのは、「奇跡の経営」という本だった。
http://www.webook.tv/bn/2006/04/post_1073.html
神戸空港のラウンジで目に付いた本だった。なんだかすごい会社がある!、そんな興奮を覚えながら読んだのは2年前。
コムコ社は、ブラジル・サンパウロにあるコングロマリット企業で、リカルドセムラー氏が父親から経営を譲られた会社。当時は倒産の恐れもある小さな会社だったという。そこでかなり大胆(非常識?)な改革を行い、大成功。今では、世界の名だたる企業幹部が視察にくるという。IBM,GE,京セラ、ベンツ・・・などなど。
なにしろこの会社は、とても不思議な会社で、組織図がない、人事部もない、サラリーも社員が自主的に決める・・・といった非常識な会社なのだ。
本書は、セムコ社が、世界が注目するセムコ社になっていく過程を、著者の一人称の語りですすめていく。父から会社を引き継いだときの様子、主要な幹部の首を言い渡す様子、ストライキがなくなる過程、ピラミッド組織から同心円組織への変更、、サラリーを社員が自主的に決定する制度の導入・・・などなど、私たちが今、当然(常識)だと思っていることが、覆されていく様子がリアルに語られている。
そして、読者はだんだんこんな思いに沈んでいく。
確かに、ものすごい会社だ、しかし、うちではちょっと無理だ・・・・
ごもっとも! 著者も最後にこう述べている。
セムコ社は、モデル企業でもなんでもなく、また、
すぐに効果のあるプログラムを提供できるものでもない・・・
ただ、読者の会社が、自社の経営や職場生活の在り方を考え直す
契機になれば幸いだ。
大いに刺激をうけられる本である。
ただ、詳細な記述は読むのが大変。サクっと知りたい方は、「奇跡の経営」のほうをまずはお勧めしたい。
http://www.webook.tv/bn/2006/04/post_1073.html
http://webook.seesaa.net/article/18602508.html (PodCast webook)
そのあと、本書でじっくりがいいかも。
最近、日本でもJSOXとやらで、やたら業務規程をしっかりまとめましょうとか、業務フローやリスク管理をテーブルにしておこう・・・なんて、やっている。エンロン事件などのあおりで、会計がらみの社内のしくみを不正がないようにがっちり規定をきめて運用しましょう・・という流れだ。
時の流れとしては、現在は、セムコ社の経営とは逆方向に世の中が進んでいる。
自由、自主、自律 <---> 規定、規則、権限
という相関があるとすれば、思いっきり右に振れている状況だ。
(僕は、これがどうにも肌に合わない)
著者は、ルールや規則は(一部の例外を除けば)次の目的に役立つだけだと喝破している。
1.会社の本来の目的の注意が留守になる
2.幹部社員に空虚な安心感を提供する。
3.非生産的で不要な業務をうみ出す。
4.もう役にも立たない古いやり方に固執する。
セムコ社が由っているのは、「常識」というややあいまいなものだ。
そういうものをきっちり管理するよりも、ビジネスをがっちりやるほうに重心を置こう・・というのが彼らのやり方。
何かと何かのバランスをうまくとる・・そういうことが求められる時代かもね。
ルールを決め、それを100%実施することで安心してしまう風土が会社の中に、もしあるのなら、それは進化をあきらめた状態だと思ったほうがいいかもしれない。
現実世界は、割り切れないグレーな世界でいとまなれており、100%うまく規定できるものはないけれど、大切なことはだいたいにおいていい感じにいっている、という煮え切れない世界(笑)を寛容できる「大人社会」こそが、私たちに求められているのかなぁ・・・
などと、煮え切らないことを思いつつ、今日はこれでおしまい。笑
★★★★☆+管理を放棄した会社
・面白い会社にしたい方
・経営を担っている方
・仕事って何?を感じたい方