それは、私たちに内包されている素晴らしい力なのです。
続ける関連の本がいくつか出版されている。昔から「継続は力なり」と言われ、続けることの大切さはいつの時代も変わらないテーマであるらしい。逆にいえば、続けることはなかなか大変だ・・・ということでもある。
著者は、東大法学部を出て弁護士となり、司法試験の受験指導を27年にもわたって続けてきた方である。司法試験ときいただけで、腰がひけてしまうが、世の中にはこの最難関の試験に挑む人がたくさんいる。合格までの平均受験回数は5,6回とか。年一回の試験だから数年の年月がいるわけである。
さてこの最難関の試験の合格不合格を分ける決定的な能力・・・それは、記憶力でも忍耐力でも集中力でもなく・・・「続ける力」だ、と著者はいう。そうは言っても・・・と言いたくなるが、本書を読めばナルホドと納得がいく。
法律も語学もスポーツもダイエットも・・・この「続ける力」が重要だというのは共通らしい。それは僕らも直感的に「うん!」と言える世界がある。
どうしたら続けられるか・・・その技術を知りたい。
なんでも「わかっちゃいるけどやめてしまう」原因は、「つらく苦しいこと」があること以上に「退屈で単純なこと」があるからだ。
本書には、ゴールから発想しよう、ゆっくり急げ、他人と比べても意味がない遅れは取り戻すのではなくリセットする、講義のあと、家に帰って復習する前に、その場で5分でもいいからノートを見直す、成功も失敗も等価値である、などなどたくさんのヒントがある。
しかし、最も大切なのは
新しく始めることを、毎日の歯磨きのように自然なこととして
受け入れられるようにすることが最もおおきなポイントである。
というところ。なるほど!である。
習慣にするには、攻略したり、克服したりするものではなく、自分の仲間にひきいれちゃうくらいのすこし脱力系の姿勢のほうがいいという。ふむふむ。
本書は、著者の経験に基づいたいろんなヒントは、なるほどがいっぱい。
そして、後半。司法の世界にどっぷりつかった著者は、憲法の思想の中で、個人の尊重、個人の尊厳の価値を世の中に広めようとしている。
続けることは力、続けることは人生、そして続けることは命・・・そんな著者の思想の部分が、本書から素敵な香りを感じるところではないだろうか。
ジェイカレッジにお招きしなければ・・・。
GW後半にお勧めの一冊。
本書の最後に、17年もの歳月を費やし司法試験に合格した主婦の方の物語が登場する。伊藤塾の教え子さんのおひとりだ。
マザー・テレサの本を読んで感動し、自分は弁護士になって弱い人のために働きたい・・・その思いが17年の続ける力の源だった。
子育て、家庭・・いろんなハンディの中で、続けてきた結果、50歳ちょっと前に素敵な一歩を踏み出したのである。なんて素敵なお話。
17年を司法試験の勉強に・・・人生のムダ使い・・という人もいるかもしれない。でも、マザーテレサのように生きたいと願い、コツコツと勉強を続けてきたこの方のことを「スピート」や「効率」というモノサシではかれるだろうか・・・・。
そう問いかける著者の言葉に、僕たちは大切なものを再発見する。
なんとかハックスなど、効率、スピードの世界と
コツコツ続ける世界と
僕たちはどちらも意識しながら、人生を楽しく、そして螺旋階段を上るように生きてまいりましょう。
★★★★★+歯磨きのように
・自分の夢を実現したい方
・最近ちょっとくじけそうな方
・生きる力を感じたい方