帰ってきたドラゴン桜!
ドラゴン桜。東大受験をテーマにしたユニークな漫画にはまったことがある。すべての号を買い、DVDまで購入したくらいだから、相当なハマリ様だったことは確か。TV番組もあったら、ご記憶の方も多いはず。
その後、ドラゴンイングリッシュなど様々なバリエーションが出たが、最近また新たな形で登場していた。ドラゴン桜流ビジネス突破塾、である。
これが仕事の教科書だ!ということで、成功の五角形について解説される。
五角形とは何か・・・
むふふ・・・それは、国数英社理の5科目のことである。(笑)
そこだけ聞くと、なんじゃそれぇ・・・となる。しかし学校の教科書にメタファーを得たこの本、なかなかあなどれないのである。深い!
学校の勉強なんて・・・とつぶやいたことが僕もあるけれど、あの勉強は、「知識」を学ぶためではなく、それよりもっと大切な「力」をつけるものだったという。生きる力やいく抜く力を学ぶのが学校であり、それを学ぶツールとして国数理社英の5教科があるという。具体的には
国語・・・読解力、コミュニケーション力
数学・・・ロジカルシンキング能力
理科・・・仮説力、検証能力
社会・・・ネットワーク力
英語・・・クソ度胸
だ。学校とリアルな社会をつなぐ展開がなんとも面白い。言い切り型のスタイルは、元祖ドラゴン桜と同じ。所々にドラゴン桜の登場人物の矢島や水野が登場したりするのも楽しい。
面白い定義がある。
国語は、「言葉というツールによって世界を表現し、物事を考える学問」
数学は、「数字というツールによって世界を表現し、物事を考える学問」
言葉や数式を覚える学問じゃないってことだね。
さらに社会は、ものごとのつながりを考える学問、理科は、仮説検証を鍛える学問、そして、英語は、クソ度胸をつける学問・・・とくる。
社会で必要な要素が、5教科で展開されるマンガのような面白さが魅力だ。
冒頭では、「会社は教師のいない学校である!」と宣言。
企業が体育系の学生を好む理由を考える。体力とか根性が決め手ではない。では何か・・・それは、彼らが身につけてきた「縦社会における対人スキル」、それこそが評価されているのだと分析する。
対人スキルとは先輩の言うことはなんでも従う・・といったものではない。
健全な体育系の縦社会には、実力重視な部分と、年長を敬うという、一見相反する仕組みが共存しているのである。1年生のエースがいる野球部でも、そのエースはちゃんと先輩を立てて行動する、3年生といえども実力のある一年生エースは認めて応援してあげる・・・こういった縦社会である。そこには、微妙な空気のやり取りがあり、それを身につけた体育系学生こそが「対人スキル」があるというわけだ。ふむ、なるほど、そういうことか・・・。
学校と社会。二つの世界は、面白いリンクと関係性があったことに気付く。
すこし深く考え、メタファーを機能させると、案外、みえないものがよく見えたりするのが面白い。
本書は、そんな気づきもいっしょについてくる。
さて本書には、メモっておきたい名言がいくつかある。
将来、有効となる能力とは、理解力、想像力、表現力の、3つである。
(鈴木光司、なぜ勉強するか? より)
仕事のモノサシは、時間、コスト、労力。
行動とはすべて、「最初の5メートル」がもっともエネルギーを使う。
注意すべきは「半径5メートルの人間関係」である。
しかし、誰もが知っている教科書と、社会とを結びつけ、新たな視点で整理するとこんなにも面白くなるのか・・・というのが最大の驚きかもね。
★★★★★+5教科!
・ドラゴン桜を読んだ方
・ドラゴン桜のTVを見た方
・東大卒以外の社会人の方