だれかに話したくなる小さな会社 ~ 浜口隆則&村尾隆介 + まいど!
やっぱり、話したくなる・・・
ブランドのある企業・・・と聞くと、コカコーラ、GE、IBM、トヨタなど
名だたる企業を思い浮かべるかもしれない。コカコーラのバランスシートには、
その価値が7兆円と計上されているらしい。
http://www.interbrand.com/best_global_brands.aspx?year=2008&langid=1000
ブランドという目に見えない価値は、本書では「価値ある会社の空気」のよう
なものと表現されている。それは企業が大きければいいというものではない。
名も知られてはいないけれど、お客様がファンであり、多くの人に応援される
ような素敵な会社が、実はたくさん存在する。
本書は、誰かに話したくなるような小さくても、空気のいい会社の事例がいく
つも登場する。
例えば、コーヒー豆の卸業「珈琲工房HORIGUCHI」、九州の企業だけを応援する
プロモーション映像の「カウテレビジョン」、アウトドア用品の「パタゴニア」
離婚を扱う法律事務所「離婚ファーム」などなど・・・
( http://www.small-but-brand.com/ のリンクあり)
そして、そんな会社を目指すことの意味と価値、そしてその具体的な方法を教
えてくれるのが本書だ。
いくつかのメッセージを拾っておこう。
たとえ利用者が100人しかいなくても、そのお客様たちが「大満足!」と
いう会社は、その後も飛躍をします。100人を100%喜ばすというのは
簡単なようで、ものすごくたいへんなことです。それができれば1万人
だって喜ばすことができます。
ブランド構築の近道は、「新しいカテゴリー」を作ることです。
「ちょっとした不便」を解消してあげる商品やサービスを開発すれば、
それは立派な新しいカテゴリーになります。
ポジショニングマップを作るのは、慣れです。お昼にカレーを食べるなら
カレーが出てくるまでの5分間にナプキンの裏に書いてみるとか・・・
マップ上の「空きポジション」は「新カテゴリー」とほぼ同義語です。
ブランド会社は、自分で価格を決めます。
価格設定には、「どんなお客様と付き合いたいか?」という売り手側の
メッセージも含まれています。
成功条件のひとつに「応援してくれる人が、たくさんいること」が大切。
人が応援したくなるのは、愚直なまでに自分の仕事を愛し、使命感を
持っている「一生懸命な会社」です。
会社を「チアフルな職場」にするためにお勧めしているのが「気配り屋」
の採用です。そのために面接はオフィスではなく、セルフ系のカフェが
最適です。
どんな仕事だって、その紐をたどっていけば、誰かしらの幸せや、ラブ
&ピースに何かしらの形でつながっています。
そういう意味では、世の中の経営者は社会起業家です。
など、たくさんの心に響くメッセージがあった。
誰かに話したくなる本。今日の一冊はそんな本である。
本書は、「戦わない経営」の著者、浜口さんと、小さな会社のブランド戦略を
手がけるスターブランド社の村尾さんの共著である。
どうやら、作品を生み出す過程もJOYとWOWに満ちていたようだ。
映画にもメイキングフィルムという制作過程を紹介するものがある。本にだっ
てそれがあってもいい。本書の場合は、これ:
http://www.small-but-brand.com/making.html (なかなか楽しい)
ひとつの作品が生まれるとき、そこには反映できなかった内容や、面白いエピ
ソードなどいろんな物語がある。そういうものを、サブの作品として残すのも
また楽しいものだ。
日々の仕事も「作品」だと思えば、そのメイキング○○を残すのも楽しい。
デジカメ写真でもいい。ちょっとした気づきのメモでもいい。
消防士さん応援カレンダーも、ひそかにそんなものを準備しようと思っている。
失敗も成功も、ありふれた日々も、すべて「成長」という見えないプロセスの
ネタに満ち満ちている。
楽しいじゃぁ、ございやせんか!
★★★★★+無邪気
・仕事の価値を考えたい方
・ブランドを作りたい方
・ファンに応援される会社にしたい方