素直で正直、器が大きなアホであれ!
村上さんの本は、どことなく素敵な香りがある。生きること、この世に存在す
ることの意味や価値を感じながら、愚直に前に進む勇気がもらえる。
ウサギがカメを追い抜くように、バカは利口を超えるところがあります。
利口とは、ある範囲において限界まで届く知性のことですが、
バカやアホというのは、その限界をあっさり超えてしまうことが
しばしばあるからです。
木村さんは、小利口に浅く生きるより、大きな愚かさをもつ深い生き方を勧め
ている。
エジソンもアインシュタインも、小利口に生きるのではなく、器の大きなバカ
を生きた人らしい。最近ではスティーブ・ジョブスもその一人だ。
日本でもノーベル賞の湯川博士も、自分の凡才ぶりに悩んでいたとか。島津製
作所の田中耕一さんも、目立たない地味な存在だった。
どうやら神様は、器の大きなアホに微笑んでくれるらしい。先日の「奇跡のリ
ンゴ」の木村秋則さんもそんなアホの一人に違いない。
スティーブジョブス(Apple)のスタンフォードでの卒業祝賀スピーチは、感動
的な内容としてネットで広がった。その中にも
Stay hungry, stay foolish. (ハングリーであれ、愚かであれ)
という言葉がある。常識なんかはみ出してしまう器の大きなバカになれという
メッセージだ。
バカは、常識にこだわらない。ときに人からMosoもいいかげんにしろとバ
カにされる。しかし、そこに一途な思いや深い思想があれば、神は微笑んでく
れるらしい。
アホに必要な要素、それは熱意、楽観、軽さ、覚悟、それに息抜きだという。
遺伝子工学の世界的権威が語る、自然と生命の法則。そこに登場する重要なキ
ーワードが、「バカ」というところが、また面白く不思議なところでもある。
深い洞察に、心が震える本である。
生命がもっている「生きすぎない」という節度の話は、ちょっと衝撃的だった。
だいぶ昔、つくば万博があり、そこで巨大トマト(一本の木から1万個も実を
つけたトマト)が紹介されていた。単にトマトがたくさんなってすごいという
だけではなく、生命の力は、阻害要因を取り除いてやれば無限の力を発揮でき
るんだ・・・というメッセージを多くの人が受け取った。
木村さんは、さらにそのあと、深い問いを続ける。
では、なぜ自然界には、そういうトマトがないのか?と
それは、生きすぎないという「つつしみ」の意志のようなものが自然界にはあ
り、自然と生命のすごさもそこにあるのではないかと・・・。
なるほど。
ドーキンスが言った利己的遺伝子のことを知ったとき、とても新鮮に思った。
そして、木村さんの本で、利他的遺伝子という言葉で、さらにその先の深みを
知ることができた。
モアモア病やジブンガ菌に犯されてきた20世紀の発展は、ここにきて地球か
らのメッセージを受け取る新たなパラダイムシフトの世紀に入った。臨機応援
、利他的・・・これらの言葉に、パラダイムシフトのヒントがあるのではない
だろうか。
「無限の可能性」と、「生きすぎないというつつしみ」
自然のもつ不思議な矛盾、深い理(ことわり)に、資本主義社会が追い求めて
きた傲慢さを反省するときかも・・・と思った。
★★★★★+Stay Honest, Stay Stupid
・科学と宗教の交差点に立ってみたい方
・生きる意味を考えたい方
・宇宙の理(ことわり)を感じたい方