会計の本質は、・-・-・ なんですな!
最近、田中さんがめっきり痩せて引き締まったお顔になられたなぁーと、日経
新聞の特集記事を見て、そんなことを思っていたら、やっとそのなぞがどけた。
この本を書くために、ダイエットし5ヶ月でなんと10キロも体重を落とした
・・・というのがその真相。笑 (ほんとは違うよ)
さてさて、本書は、田中さんが最近取り組んでいる「違うものをまぜて危険な
ものを生み出す」(笑)という仕業から生まれた作品である。
今回は、ダイエットと会計の世界を対比させた「会計の超・入門書」である。
自身のダイエット体験の中で気づいたことは、「健康になる仕組みは、人間も
会社も似ている」ということだったという。
身体の「食べる、消費する、脂肪体質を改善する」というプロセスと
会社の「稼ぐ、使う、財務体質を改善する」というプロセスがそっくりだ
ということだ。
もう一つ、本書の特徴は、数字ではなく図解で理解できるといところ。これは
実に素晴らしい大発見(発明)であると思う。
まず、点と線が、会計の本質であるという。それは人口増減も、体重変動も、
会社の決算書の動きも同じ。つまり 「・-・-・」であるということだ。
点(・)は、ストックであり、結果である
線(-)は、フローであり、原因である
点(・)は、ある時点の体重、人口数、財産を示し、会計ではそれをB/S表
として示す。
線(-)は、点と点の間の増減を示す。会計ではそれをP/L表として示す。
というわけだ。ふむふむ。
決算書とダイエットは、ストック(・)の価値が逆である。決算書では貯め込
んだほうがいいが、ダイエットは痩せた方がいいから。
さらに、体質にも踏み込んでいく。ダイエットでは体重が問題というより、脂
肪体質かどうかという点がポイント。決算書では、財務体質ということになる。
B/Sで負債が多きすぎるとメタボになっちゃう・・・という具合だ。
さらに決算書のキャッシュフロー計算書(資金繰り)は、血液循環にたとえて
解説される。
ソニー、アップル、JAL、マクドナルド、モスバーガーなどなじみのある企
業がいっぱい登場し、クイズもあって、実に楽しく読める。かつためになる。
田中さんの新たなチャレンジは、実に楽しく、優しく、面白く、そして深い本
を生み出した。これ、超・おすすめだねー。
だいぶ前から、メールの署名にいくつかの名言を拝借して追加している。その
中のお気に入りに、井上ひさし氏の下記が言葉がある。
< 難しいことを易しく、易しいことを面白く、面白いことを深く >
今日の本は、まさにそのままあてはまる。楽しく面白く読めるけど、けっこう
深い会計のことが書いてあったりするのが、すごいところだ。
人は(会社にいると特にそうならる)、一度わかってしまうと、それを知らな
い人にいかに分かりやすく伝えるか・・ということを、すっかり忘れてしまう。
自分が苦労して理解してきた道を、人も同じように歩むのが当然・・・みたい
な思いを自然に抱いてしまうらしい。
また、それを権威の道具にしてしまう輩もいたりするから、困ったものだ。
易しく面白くする工夫のひとつは、メタファー(metaphor 比喩)である。
田中さんの本では、決算書をダイエットの世界と見比べながら、ナールホドの
世界へいざなってくれた。
こういうことを、いつも考えていると楽しいかもね。案外いろんなものは、つ
ながってるし、似ていたりするから。
さてさて、何に例えますかな・・・ ゴルフ?野球?健康?こどもの教育?
メタボじゃなくって、メタファーでまいりましょうぞ。
★★★★★+決算書だぁ、イェー!っと。
・物事を直感的に捉えたい方
・決算を説明する立場の方
・決算書を“感じたい”方