2009年10月12日

朝のカフェで鍛える実戦的マーケティング力 ~ 永井孝尚 + 露木さんと田坂さん

対物語でわくわく、解説でふむふむ・・・

書籍情報


本のひらめき

本書は、物語で読むマーケティング入門の書である。入門とはいえ、しっかり
と骨太なエッセンスが学べるのがうれしい。本書は、とくに法人向けのマーケ
ティングをテーマにしたもので、多くのマーケティング書籍が消費者向けであ
る中で、特異なポジションにあるものといえる。
さらに、物語仕掛けになっているため、とても面白く読めるのがいい。

著者は、IBMのマーケティングマネージャーとして活躍中であり、実践と理
論の両面から語れる強みは、物語をより面白くしている。

物語の舞台は、中堅会計ソフトの会社。主人公は、入社後10年ほどセールス
を経験し、最近商品企画部に異動したばかりの宮前久美。大手企業でマーケテ
ィングを担当し、退職後大学院でマーケティングを教える叔父の与田誠が久美
のメンターとして登場する。
朝、会社が始まる前のカフェーでうける与田からのコーチングは、久美を一人
前のマーケターに成長させていく。

事業ドメインの定義、競合比較と市場分析、顧客満足のとらえ方、顧客価値の
創造、プロダクトセリングとバリューセリングなど・・・マーケティングの基
本が、物語を読み進む中で理解できるのがいい。

3C、5つの力、バリュープロポジションなどを、単に教科書的に解説されて
もちっとも面白くないが、本書のような物語の中で体験的に説明されると、妙
に腑に落ちる。

とても読みやすく、また、ためになるマーケティング読本。超おすすめ!


僕の思いつき

久美と与田の間でかわされる会話にいくつかのマーケティングレッスンがあり
その中で僕の興味をくすぐったのを紹介しておこう。

家電量販店に押され気味な町の電気屋さんが、「フットワークのいいアフター
サービスを売りに、団塊世代の富裕層を狙って成功している」事例が登場する。
バリュ-プロポジションの解説事例だ。

バリュープロポジションとは
 1)顧客が望んでいて
 2)自社が提供でき
 3)競合他社が提供できない価値

のことである。

また、キシリトールガムが、虫歯予防のガムとして認知されるプロセスも面白
い。

 虫歯を治すこと・・というサービス中心で考えていた歯医者さんの価値を
 健康な歯を維持すること、というように顧客中心に変えた

 それにより、キシリトールが虫歯予防のガムとしてのポジションを獲得し、
 また、歯医者さんも虫歯治療以外の残り9割を顧客にできた・・・、という
 わけである。

世の中の現象をこんな風に眺めるのは楽しい。

マーケティング的目線でみる楽しさを本書は教えてくれるだろう。


オススメ度

★★★★★+理論と実践

読んで欲しい方

・マーケティングに興味ある方
・商品開発の部署の方
・世の中を面白く感じたい方

Posted by webook at 2009年10月12日 13:58 | TrackBack
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