一つ目のハードルこそ、大事。
営業やマーケティング部門にいる方は、本書のタイトルをみて、うーん、どん
な方法があるのかなぁと気になる。
この本は、はじめにのところで、まず「読みたい」のスイッチをバチンと押し
てくれる凄いエピソードが紹介されている。
へぇー、なんでなんで?と思うのだ。
そのエピソードは、一脚10万円もするイスの話。ちょっと長くなるが印用し
ておこう。(あなたも読みたいスイッチONになるから、気をつけてー。笑)
ある家具店でのこと。この店には一脚10万円以上もする椅子がある。一見
すると、デザインは普通のものとあまり変わらない。というか、メーカーの
方には失礼だが、少しおおぶりで武骨な外見である。高価の理由は人間工学
を駆使しているかららしく、長時間座っても疲れにくいなど、良い点はいろ
いろある。しかし反面うりにくくもあり、平均すると1年に1,2脚くらい
の売れ行きだった。
そこで店主はこの「モノはいいが売りにくい商品」を「あまりどこもやらな
いやり方」で売り方を考え、実際に売ってみた。すると、その月にいきなり
12脚が売れた。それまでのざっと10年分である。
もっと驚くことも起こるようになった。著名な観光スポットの至近にあるこ
の店では、店先に和風雑貨が置いてあることもあって、観光客がふらっと立
ち寄る。そんな彼らにまでこの椅子が売れているのである。
はたして、あなたは、遠方に来て、10万円もする(武骨な)椅子を買って
帰るだろうか。しかし、この店を訪れた観光客はそうしてしまう。もちろん
彼らとて、椅子を買おうと思ってらいてんしたわけではない。しかし、買っ
てしまうのである。
そうしてこの店では、遠く離れた他県へ椅子を発送することが、毎月のよう
に続いているのである。
この店の観光客にいったい何が起こったというのだろう・・・。
さて、これを読んだあなたも、気になり始めましたね・・うしし。
人が買うという行為をするのは、2つのハードルがあるという。二つを超えて
初めて購買行動が成り立つ。一つめは、「買いたいか、買いたくないか」のハ
ードルである。二つめが「買えるか買えないか」のハードル。
前者は情動により動き、後者は理性で決まる。
で、情動と理性。どっちが優勢かといえば、圧倒的に情動らしい。不況になっ
てサイフのひもが固くなると後者のハードルは高くなるが、一度前者の情動の
ハードルを超えるととんでもなく勢いがついてしまうらしい。
したがって、その情動に働きかける何かをすることが商売繁盛のコツになるの
だ。一脚10万円もするイスを買うのは、理性ではなく、情動なのだ。
こうした事例をふんだんに紹介しつつ、脳科学や心理学的な側面から、さまざ
まな「買うスイッチ」の秘密を紐解いている。
商売で何かを売りたいあなたにぴったりな一冊。
僕は、これをわくわくして読んだ。
確かに、人は何かを買いたいと思い行動に走るとき、あれこれと比較したり考
えたりするように思えるが、実は、もっと以前のある瞬間に買おうと密かに決
めている。(もうこれは理性ではなく情動)
今回、日本に帰ったときPCを買いたいなぁとなんとなく思っていた。このな
んとなく・・・というのはクセモノで、すでにあるPCを買うことに決めてい
たのが本音。たまたまネット広告でみた 指先でホールドしている薄ーいPC
が気になって仕方がない。AirMacみたいだし、なんだぁこれ・・・。
Sonyの出したXシリーズである。
http://www.scs-uda.com/vaio/2009_aw/vaio_x_series.html
果たして、一時帰国の合間にアキバあたりをうろついて、買ってしまった。
人が買いたいと思う心のつぼを押すような仕掛けや仕組みをつくったら、売る
ほうも買う方も楽しいはず。
そういうのを、いっぱいやっていこう。っていうことで、この本は、あの方と
あの方にはプレゼントしておこう。うしうし・・。
★★★★★+あまりどこもやらないやり方で
・売場を楽しくしたい方
・マーケティング部門の方
・売る楽しさを感じたい方