プレゼンテーションをアートに高める・・
パワーポイントでのプレゼンは、これまで何度やってきたことだろう。手元の
USBメモリーには、ごろごろファイルがはいっている。研修や講演、大学で
の講義などこれなしにはありえなかった・・・。
本書は、そんな僕のいつものプレゼンスタイルに、大きな「?」と「!」を与
えてくれた。
「?」は、そのステレオタイプなやり方って、ほんとにいいの?
っていうもの。45分間のプレゼンは、聞く人に“苦痛と忍耐”を強いていた
んじゃないのってことだ。いやいや、僕に限って、そんなことは・・・と思い
たいが、いくつか思い当たることがなきにしもあらず・・・。汗
「!」は、たくさんあるのだが、印象的なメッセージは
* あなたのことばを、そのままなぞったものではなく、その言葉を効果的
に演出するものがいい。プレゼンテーションは、感情を伝えることであ
る。一枚のスライドには6語まで。絶対厳守である。
安っぽい画像はだめ。プロがとった写真素材をつかうこと。
回転などの画面遷移の変化は無用。シンプルに。
文書による配布資料をつくれ。終了後それを配布しますといっておく。
(セス・ゴーディン)
* 厳しい制約のなかで仕事をすることを強いられる時、
創造力は、最大限に引き伸ばされる。 (T.S.エリオット)
→ http://www.pecha-kucha.org/ ペチャクチャという面白い
活動がある。20枚x20秒=6分40秒という制約の中で
すばらしい創造性が発揮されているらしい。
* 心に残るメッセージは次の特徴がある
単純明快である(Simplicity)
意外性がある (Unexpectedness)
具体的である (Concreteness)
信頼性がある (Credibility)
感情に訴える (Emotions)
物語性がある (Stories) --> SUCCESs
* デジタル・ストーリーテリングは、2つの世界の最も良いものを組み
合わせている。デジタル化されたビデオ、写真、アートなどの「新し
い世界」と、物語という「古い世界」である。
PowePointのスライドを箇条書きで埋めるような古いやり方は、刺激的
な画像や音声をともなった物語によって実例を示す新しいやり方に取
って変わるだろう。(デイナ・チアリー)
judou,zen などの思想もひもときながら、方法論ではなく、思想、
考え方に重きをおいた展開になっている。準備段階、デザイン、プレゼンの
実施の3つのプロセスを追って、なかなか深い考察が展開されていく。
準備では「抑制」を、デザインは「シンプルさ」を、そして実施では「自然さ
」を心がけるべしという。
ついつい、プレゼン資料は、何十枚ものこってりものになりがち。気合を入れ
て、あれもこれも・・・と太っていきがちだ。
極力シンプルにするのは、なぜか? それは、パワーポイントに従ってプレゼ
ンするのではなく、パワーポイントを印象的な道具として使うためである。
いくつかの対比事例は、とても説得力がある。
また、Appleのスティーブ・ジョブスとMSのビル・ゲイツの対比も面白
い。
実は、この本、試してみたいたくさんのテクニックもある。しかし、本当のメ
ッセージは、技術ではなく、プレゼンテーションの心得である。
新しいプレゼンに挑戦してみたくなった。
本書には、プレゼンのパワーポイント写真の注意書きに iStockphoto.com とい
うのが登場する。有料の材料サイトである。写真、イラスト、動画など著作権
フリーで安全な素材が購入できる。かなり格安。安いのは1ドル。販売も可能。
http://nihongo.istockphoto.com ← ここ、結構遊べる。
金魚が小さいハチから大きいハチへジャンプするリアルな画像など、こういう
ところでゲットしてもいいね。
本題とちょっとはなれてしまうようだけど、プレゼンに使う素材を、PCので
きあいの画像ですませるというのは、プロじゃななと思った次第。
単純明快である一方、素材はこだわってもいいかな。
次の芸大講義は、ちょっと進化してみようかな。
★★★★★+常識を覆す
・パワーポイント大好きな方
・パワーポイントの限界を突き抜けたい方
・素敵なプレゼンのアードを感じたい方