周りの環境を自らの手で変えることで・・・
サーチとコーチ。異なる分野の二人の社長が、企業と人を元気にする方法を展
開する。「変える」方法と「変わる」方法、韻を踏んだタイトルがいい。
前半は、リーダー自らが変化し、組織と人の変化を起こすケミストリーの話。
そのためのコーチングやファシリテーションについて黒田さんが担当。
後半は、エグゼクティブ・サーチというリーダー人材サーチについて、橘・フ
クシマ咲江さんが転職についての話を進める。
前半のコーチング、ファシリテーションでは、エグゼクティブコーチがどんな
アプローチをするのか、その概要がわかるだろう。
目を引いたはリーダー像の分類。5タイプがある。
牽引型リーダー(達成型):高い目標、邁進
牽引型リーダー(洞察型):鋭い洞察、将来の姿を構想
人格型リーダー :価値観の浸透
触媒型リーダー :協業活動、つなぎあわせ、シナジー
奉仕型リーダー :人々を下から支える、自ら奉仕
というものだ。リーダーというと、えてして強力なリーダーシップで、ぐいぐ
い仲間を引っ張っていくイメージが強いが、実は、いろんなタイプがあり、様
々なやり方があった。そのことに気づかせてくれる。
(僕は、どちらかといえば触媒型だから、ちょっとほっとした。笑)
リーダーシップに優劣はない。しかし問題は「周囲の環境にフィットしている
か」どうかだ、という。確かに。
リーダー自身が変わる、リーダーそのものが変わる・・・そういう変化で組織
が変わる。黒田さんは、コーチングで起きた変化の事例を紹介している。
後半のエグゼクティブ・サーチは、橘・フクシマ・咲江さんが執筆。
最近、日経新聞「人間発見」でシリーズ記事があったので読まれた方も多いと
思う。エグゼクティブサーチとは、企業が求める人材(エグゼクテイブクラス)
をサーチして提案する仕事だ。単なる人材紹介ではなくコンサルテーションが
付加価値のところ。
咲江さんがソニーの盛田さん(当時会長)にあったときのエピソードが興味深
い。
ソニーは社員の出入りが自由な会社です。ソニーから出ていく時は
「ソニーの人材を外部の市場が評価してくれた」と喜んで送り出し、
入ってくるときは「ソニーにないものを持ってきてくれた」と喜んで
受け入れる。さらに「出戻りはその両方をもっているからさらに歓迎」
です。
人材の流動化が言われて久しいが、こういう見方が90年代初めにあったのが
すごいかも。
転職、キャリアアップなど、人の流動性が高まっているが、エグゼクテイブレ
ベルの人の異動のしくみや、心がまえなどを知る上でとても参考になるだろう。
本の帯には、
転職で成功するか、組織開発で成功するか、選ぶのはあなたである。
だが、どちらを選んだとしても、会社を変えるほどの力のある人でないと
会社を変わっても成功などしない。
とある。最後は自分自身のことなのだ。
自分が転職するとして、自分がもつ資質、経験、能力などいろいろ棚卸してみ
るのもいいね。そして、なりたい自分のイメージを作り(書き)、もしこれか
らできることがあれば、計画して実行していく。
何事も、まず「思う」ところからスタート。
リストラや早期退職・・・自分のまわりの環境が予想もつかないものになって
きている人も多いこのごろ。
最後は自分次第。がんばりましょう。
★★★★★+サーチとコーチ
・転職時期を感じてる方
・トップの人事変更を考えてる方
・組織変革を模索中の方