空気に流されず、空気を拓く生き方
本書の冒頭は、こんな言葉で始まる。
KYって初めて聞いた時、なんのことだかわからなかった。
「空気が読めないヤツ」のことだと教えてもらった。
KYって言われたくなくて、
みんなが、空気にとらわれ始めた。
そうそう・・・と思えるクダリである。そしてこれに続く次の一文は僕の心に
ジュストミートした。
なんか、おかしい。
その通り!
まわりの雰囲気を気にして、迎合に走りがちな空気を、僕はあまり好きじゃな
い。だから、この「なんか、おかしい」は、ツボにまったのだ。
それでは、どうすればいいか。鎌田先生は、こう喝破する。
空気は読めるが、空気に流されないことが大切なのではないか。
本書は、空気に流されず、空気をかきまわし、空気を創りだすような新しい生
き方を鎌田節で説いている。随所に共感できる空気がある。
時には空気をあえて読まない行動や、考え方が大事な時がある。
「弁当の日の奇跡」というエピソードがある。四国のとある小学校の校長先生
竹下和男さんは、まったくもって空気を読まない試みを始めた。
“子供がつくる「弁当の日」を実施します”
とPTA総会で宣言したのだ。ブーイングする親たち、冷やかな先生たち・・
まさにその時の空気は、とっても冷たいものだったに違いない。
「子供が包丁や火を使って、事故でもおきたら一大事だ」
「共働きの母親の負担が増える」
「弁当作りのために子供が早起きなんて無理。勉強にも差し支える」
リアルにイメージできそうな場面だ。親も教師も、校長が面倒なことを言い出
したぞ・・・という顔と顔、そしてその間に充満する冷めた空気。
そのとき校長先生は、あえて空気を読まなかった。断固決行したのである。
結果は、大方の予想に反し、子供たちが思い思いの弁当をつくり、思いがけな
い発見や喜びを見出したという。
こんな大変ことを毎日やっているお母さんはすごい!と感謝した子、
失敗したヒジキごはんを「おいしい」といって食べてくれた両親の気持ち
が嬉しかった子、
旬の野菜に興味が増え、環境問題にも興味が広がり、食べることのありが
たさ、うれしさにも気づき・・・
など、素晴らしい変化がおきたのだ。
はじめに存在した空気に流されずに断行した校長先生はエライ。
このお弁当の話は、さらに続きがあり、感動の涙なしには読めない。
(内容はお楽しみ。あえて言わないどこっと。)
さらに・・
国家という巨大な空気が激動するなかで信念を通したチェリスト(コチさん)、
差別という空気を切り裂いた川田龍平さん、命の授業で荒れた学校の空気をか
きまわし生徒の心に命の大切さを植え付けた保健室のオバサン、などなど・・
空気に流されず、素敵な空気を生み出した人たちのエピソードがいっぱいだ。
出張の飛行機の中で読んで、けっこう泣けたなぁ。
そこにある空気を変えたいあなたに、超~お勧め!
会社の中にもさまざまな空気が流れている。はじめて訪問した会社でも、瞬間
にそれを感じることができる。言語外コミュニケーションというか、私たちは、
何か見えないものを肌で感じ取っている。
病院も学校も役所も同じ。
そこにいる人たちが醸し出している空気は、まさにその組織のカラーである。
空気を変えるのはどうしたらいいだろうか・・・
空気を暖める - ありがとうのいっぱいある職場
空気を沸騰させる - リーダーの決意が伝わる会議
空気を和ませる - 相互支援の温かさがあるしかけ
空気を際立たせる - 営業会議を盛り上げる役
空気を冷やす - 緊急対策会議で、冷静になれるひとこと
空気をかき回す - 新規事業のブレスト
空気を入れ替える - 沈んだ空気を一発で変えるひとこと
空気を拓く - そんな考え方があったのかと思えるアイデア
見えない空気を、変える工夫をいつもしていたい。
そういえば、スーザン・ボイルがTVの番組に登場したときの空気の変わりよ
うは、すごかった。冷→熱。感動的だったね。
もう一度見たいかたどうぞ。
→ http://bit.ly/susanBOYLEHD
4000万回以上の再生。HDでとってもキレイな画像!
僕は、空気を変えるコンサルタントになるか・・・。よどんだ空気を換気して
本気や元気に満ちた職場を創る、そんなコンサルタント。どうかなぁ・・。
★★★★★+空気と気
・空気を変えたい方
・空気の色を感じたい方
・よき空気を作り出したい方