夏の夜、古典の哲学者に出会えるかも・・
実は、僕は本屋さんが嫌いだった。学生時代の話。そう、あの頃、自由書房
っていうのが大学のある町にあって、そこに行くといつも目が回るようで嫌
だった。本屋さん特有のにおいも肌にあわなかった。だから、いつも早々に
退散するのが落ちだった。
本の虫のようになった今では、考えられないことだが、あのころはなぜか、
本から縁遠かった。当然、哲学書などが並んだコーナーなどは吐き気を催す
ほどだった。笑
したがって、プラトン=恋愛、マルクス=経済、ニーチェ=永遠回帰説、く
らいの関係性は知識としてもっていたが、中身はさっぱり・・・。
そんな僕に、本書は、実によいタイミングでやってきた。
本書は、私立久我伝高校(くがってこうこう)を舞台に、著名な哲学者が、
夜な夜な深夜に特別講義をしてくれるというストーリー仕立ての哲学入門書。
カント、ハイデガー、ヘーゲル、サルトルなど著名な哲学者が何を考え、何
を悩んだのか・・・そんなあたりをサクっと教えてくれる。しかも、現代人
の悩みにも結びつけて展開するのがうれしい。
深夜3時、久我伝高校の2年生3人に加え、仕事に悩めるサラリーマン、家
庭に疲れた主婦も混じった教室へ、一人の哲学者が登場する。
ガラガラと教室の戸をあけて、最初に登場するのはハイデガー先生だ。
皆さんはじめまして、ハイデアガーです。倫理とかの教科書でみたことが
あるでしょうか・・・・
そんな挨拶から始まる。(そうか、倫理の教科書なんてあったなぁ)
ハイデガーは生と死について語る。「死は生のためにある」「死を思い、懸
命に生きよ」などのメッセージを生徒とのやりとりの中で披露するのだ。
映画好きのサラリーマン平田のつっこみもなかなか親しみを覚える。
心の壁を取り払い、哲学に触れるとても楽しい本。この夏にぜひ!
Webookでも過去、何冊か哲学書をご紹介してきた。
ポール・ストラザーンの「90分でわかるプラトン」
http://www.webook.tv/bn/1999/05/90_paul_strathern.html
佐藤雅彦さんの「プチ哲学」
http://www.webook.tv/bn/2000/06/post_170.html
など。
しかし僕にとって一番の哲学書は、田坂広志さんの著作の数々・・・
なかでも「使える弁証法」はお勧め。ヘーゲルの弁証法が、時代をまたいで、
分かりやすく解説される。
http://www.webook.tv/bn/2005/11/_121.html
物事を本質にまで掘り下げて考えるのが哲学とすれば、日常の様々な出来事か
ら、思いを巡らせ、自問自答してみると、僕らもちょっとした哲学者に。
お盆に合わせ、僕らはなぜ、ここにいるのか・・・なんて、考えてみてもいい
ねー。田舎の夜空を眺めながら・・・
★★★★★+哲学者との邂逅
・哲学に触れたいか方
・著名な哲学者の考えをサクっと知りたい方
・哲学の楽しみを感じたい方