2010年08月15日

人生が変わる哲学の教室 ~ 小川仁志 + 成長縁大学

夏の夜、古典の哲学者に出会えるかも・・


書籍情報


人生が変わる哲学の教室
小川 仁志
中経出版
売り上げランキング: 8069

本のきらめき

実は、僕は本屋さんが嫌いだった。学生時代の話。そう、あの頃、自由書房
っていうのが大学のある町にあって、そこに行くといつも目が回るようで嫌
だった。本屋さん特有のにおいも肌にあわなかった。だから、いつも早々に
退散するのが落ちだった。

本の虫のようになった今では、考えられないことだが、あのころはなぜか、
本から縁遠かった。当然、哲学書などが並んだコーナーなどは吐き気を催す
ほどだった。笑

したがって、プラトン=恋愛、マルクス=経済、ニーチェ=永遠回帰説、く
らいの関係性は知識としてもっていたが、中身はさっぱり・・・。

そんな僕に、本書は、実によいタイミングでやってきた。

本書は、私立久我伝高校(くがってこうこう)を舞台に、著名な哲学者が、
夜な夜な深夜に特別講義をしてくれるというストーリー仕立ての哲学入門書。

カント、ハイデガー、ヘーゲル、サルトルなど著名な哲学者が何を考え、何
を悩んだのか・・・そんなあたりをサクっと教えてくれる。しかも、現代人
の悩みにも結びつけて展開するのがうれしい。

深夜3時、久我伝高校の2年生3人に加え、仕事に悩めるサラリーマン、家
庭に疲れた主婦も混じった教室へ、一人の哲学者が登場する。

ガラガラと教室の戸をあけて、最初に登場するのはハイデガー先生だ。

 皆さんはじめまして、ハイデアガーです。倫理とかの教科書でみたことが
 あるでしょうか・・・・

そんな挨拶から始まる。(そうか、倫理の教科書なんてあったなぁ)

ハイデガーは生と死について語る。「死は生のためにある」「死を思い、懸
命に生きよ」などのメッセージを生徒とのやりとりの中で披露するのだ。

映画好きのサラリーマン平田のつっこみもなかなか親しみを覚える。

心の壁を取り払い、哲学に触れるとても楽しい本。この夏にぜひ!


僕のつぶやき

Webookでも過去、何冊か哲学書をご紹介してきた。

ポール・ストラザーンの「90分でわかるプラトン」
 http://www.webook.tv/bn/1999/05/90_paul_strathern.html

佐藤雅彦さんの「プチ哲学」
 http://www.webook.tv/bn/2000/06/post_170.html

など。

しかし僕にとって一番の哲学書は、田坂広志さんの著作の数々・・・
なかでも「使える弁証法」はお勧め。ヘーゲルの弁証法が、時代をまたいで、
分かりやすく解説される。

 http://www.webook.tv/bn/2005/11/_121.html

物事を本質にまで掘り下げて考えるのが哲学とすれば、日常の様々な出来事か
ら、思いを巡らせ、自問自答してみると、僕らもちょっとした哲学者に。

お盆に合わせ、僕らはなぜ、ここにいるのか・・・なんて、考えてみてもいい
ねー。田舎の夜空を眺めながら・・・



オススメ度

★★★★★+哲学者との邂逅

読んで欲しい方

・哲学に触れたいか方
・著名な哲学者の考えをサクっと知りたい方
・哲学の楽しみを感じたい方

Posted by webook at 2010年08月15日 21:24 | TrackBack
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