時間の扉をこじ開けた晴天の霹靂・・・
きょうは読書の秋にふさわしい一冊をご紹介。
テレビは見るな・・・なんて、時々言ってるのですが、最近、よくドラマを見
たりしている私。(汗)
注目の番組は、「日本人の知らない日本語」と「10年先も君に恋して」。
前者は、先日紹介した同名の本をドラマ化したもの。
そして後者は、きょうの本の著者、劇団ひとりが登場するTVドラマ。「10
年先も君に恋して」は、10年後の未来から舞い戻った夫が、結婚する前の女
性に恋人(自分)と別れるよう説得を試みるというタイムスリップ物語。
そのドラマの中で、劇団ひとりは、小説家として登場する。
さて、今日の本。「晴天の霹靂」も、実はタイムスリップの構図が組み込まれ
ている。
学歴もない、金もない、そして恋人もいない35歳の晴夫。彼は、売れないマ
ジシャンだ。「俺はいったいなんで生きてんだ・・」と17年も場末のマジッ
クバーから抜け出せない自分をはかなむ。生きることに腐りかけていたとき、
あることで昭和48年へとタイムスリップしてしまうのだ。
そこで見聞きするものは、自らの出生に係わる秘密。
懸命に生きる若き日の父親や周りに人々との不思議な交流の中で、生きていく
意味を見つけていく・・・そんな物語。
主人公の晴夫には、著者自身の生い立ちや心境も投影されているらしい。
たくみに張られた伏線がほどけていく過程の面白さと、親子の愛情や生きる
意味を感じさせてくれる“しんみり感”が素晴らしい。
じんわり心にしみる物語。親子で読んでみてはいかが?
(ちなみに、この本、娘に勧められてよんだもの。図らずも、そこに生まれた
共感という空気を、父親としては密に大事にしていたり・・・笑)
ドラマや物語を盛り上げるのに必要な要素は3つ。
ちょっと頼りなさげな主人公。そして彼(彼女)が陥るピンチ。さらに、そこ
に発生する必然的偶然。
またまたTV番組で恐縮だけど、夏休みにハマったのが「パパとムスメの7日
間」(TBS系、再放送) http://www.tbs.co.jp/papa-musume7/
舘ひろしと新垣結衣の共演で、パパと娘が突然入れ替わるという想定の中に、
父親や娘の心の機微が現れていてとてもよかった。このドラマにもまさに3つ
の要素が組み込まれていた。
タイムスリップや入れ替わりなど、奇想天外な構図は、3つめの必然的偶然。
読者や視聴者がちょっと予想もつかない展開ができるから楽しい。
それから、ピンチや苦境は、ドラマの必需品・・、もし、今がやばい時なら、
それはネタにできる大チャンス・・・。
(と思いこで)がんばってまいろうぞ。
★★★★★+青い靴下
・家族の愛を思い出したい方
・自分を取り戻したい方
・秋に読む本を探してる方