2011年03月08日

心晴日和 ~ 喜多川泰 + おせっかい道

   コハルビヨリ = 心が晴れる記念日 = 心晴日和

書籍情報

心晴日和
心晴日和
posted with amazlet at 11.04.08
喜多川 泰
幻冬舎
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この本のツボは?

本書は、人生の辛い出来事をどのようにとらえるかで未来が大きく違って行く
ことを体験していくある女性の物語。14歳の美輝と、28歳の美輝の物語が
、オムニバス的に展開される。

 14歳の美輝は、いじめにあっていた。仲間の女子からこそこそと陰口をた
 たかれ、あからさまな嫌がらせも続いていた。美輝は、精神的に追い込まれ
 学校に行こうとすると頭痛やお腹の調子が悪くなってしまう。

 病院で検査をした日、美輝は、屋上で溜息まじりに景色を見ていた。そこに
 現れた治療中の老人が転倒して倒れる。点滴のポールが倒れる音に驚いた美
 輝は、老人にかけよって声をかけた。どうやら大丈夫だったらしい。

 「お前さんのほうが心配じゃな」

 と、美輝の心を見透かしたように老人がいった。老人は井之尾と名乗った。

 不思議な出会いとなった老人と美輝は、やがて心の交流を深めていく。井之
 尾は、どうやら終末介護のような状況でこの病院にいるらしい。

 美輝は、老人からポラロイドカメラで、春を感じされるものを見つけて写真
 をとってくるように頼まれる。美輝はさっそくカメラをもって、華や猫など
 日常のありふれたシーンをたくさん撮って病室に向かった。井之尾は、それ
 をみていたく感激し、同室の老人たちもたいそう喜んでくれた。

 「もう自分の目で見ることを諦めていた春を感じることができたよ。
  本当にありがとう。」

 そんな老人たちの声に、美輝の心は緩んでいく。

 やがて、井之尾と美輝の人生レッスンが始まる。

 ・周りが変わるのを期待するのではなく、自分が変わることによって
  自分の人生は大きくかわるということを知らなければならん。

 ・すべてのことは自分に原因があるということじゃ。

 ・人間関係には、自分を自分らしく保つために必要な大切な経験がしっかり
  組み込まれておる。それは、誰かから認められること、そして、誰かから
  感謝されることじゃ。

 そんなことを気づかせてもらいながら、やがて、冷たい灰色だった学校が少
 しづつ変わっていくのを美輝は感じていた。

28歳の美輝。彼女は、大手建築会社に働いていたが、あるとき出会った材
木店の社長から、働くことの意味、自立することの意味を気づくヒントをも
らうことになる。このストーリーも素敵だ。


人は将来どうなるかわからない未来の空白を二通りのもので埋める。ある人
は「不安」で、ある人は「希望」で。不安で埋める人は「安定」を求めて行
動し、希望で埋める人は「挑戦」しようとする。

行動の結果、どちらも同じ結果に終わる。失敗である。

前者は、それを人のせいにし、後者は、自分の責任ととらえ前に進もうとす
る。(失敗と成功ではなく、果実と種 の考え方だね)

そんなことを、さりげなく気づかせてくれる二つのストーリーは、心に響く
素敵な味わいがある。

本書を読めば、小春日和が心晴日和になるかも。

おすすめ度は?

   ★★★★★+自立

知りたい?

   ・金子材木店って横浜にあるらしい?
   ・日本熊森協会って?
   ・いじめが起きるきっかけは?


■■今日のおまけ:( おせっかい道 )

 茶道、華道、書道、剣道、・・・・と日本人は、さまざまなことを
 道の世界まで昇華してきました。ここにもう一つ楽しい道があります。
 
 おせっかい道。

 まさにこれを究めたような方がいらっしゃいます。仮にMさんとして
 おきましょう。

 Mさんは、書店で知り合いの本をみつけると、そっと目立つように
 棚から引き出しておくのです。1cmくらい。
 これくらいならきっと本屋さんも目くじら立てませんね。

 でも、本を求めてやってきた人には、十分な効果があるかも。
 もし、その本が求める本なら、「あー、僕のためにちょっと飛び出して
 待っててくれたのね」と、妙な感動があるかも。

 「1cmのおせっかい」・・なんだか素敵ですね。
 こんな素敵なおせっかいをする人、他にもいるかなー。


■■虹色の本棚

(高橋さん紹介)「生きているだけでいいんだよ」
   
 今、本のバトンは、爽やかな風にのって、今こんなふうにわたっています。
 しんのすけ→おやじむしさん→高橋ナコさん→勝俣さん→??

 今日は、高橋ナコさんからご紹介いただいた素敵な本です。


----- 本の紹介 -------------------------------------------
 書 名 :「生きているだけでいいんだよ」―臨済録自由訳によるー
 著 者 :町田宗鳳
 出版社 :集英社
 ISBN:9784420310369
 アマゾン:http://amzn.to/ikiteirudakede

 臨済和尚(867年没)という中国、唐の時代の禅僧の言葉を町田宗鳳さんが
 現代語に訳したものです。
 まえがきに、「坊さんらしい殊勝な言葉など彼からまったく期待できません。
 だからこそ彼の言葉はハチャメチャな時代に生きている私たちにとって、大
 いにタメになるのです」 とあります。
 お経のことを「ただのトイレットペーパーだ」などと、教義や経典を有難が
 る姿勢を痛烈に批判するなど、型破りで破天荒なお坊さんだったようです。
 「タダの人が一番」という言葉が繰り返し出てきます。
 「幸せになりたいと思っているなら、とにかくジブンに帰りなさい。立派な
 先生方の口車になんか乗っちゃダメだ。タダの人でいることほど、ありがた
 いことはない。ただただ、フツーでいればいいのだ。
 「どうしてもっとジブンらしく振る舞わないのだ。もともとすべてが備わっ
 ているジブンを信じずに、どうして外に向かって、あれこれ探し回るのか?」

 町田さんの解説も ユニークです。
 『朝が来たら目がさめる。これが霊感です。そして、颯爽と会社に行って、
  バリバリと仕事をする。お腹が空いたら、おいしいものを少しだけ食べて、
  夜が来たら風呂にでも入って、ぐっすりと眠る。
  これが真の超能力です。』

 町田さんは14歳で出家。20年間禅寺で修行を積み、その後アメリカにわたり、
 神学や東洋学を修め、現在は広島大学の教授をなさっています。
 どの言葉も簡潔でユーモアにあふれています。

 「小さな問題にせよ大きな問題にせよ、原因はジブンにしかありません。
 すべてジブンのせいです。世界がまるごとジブンであると人類が気付いたと
 きに、その日から世界平和が始まります」

 タイトルに惹かれて手に取った本ですが、今また読み返してみると、新たな
 発見がたくさんあります。どんな環境に置かれても、感謝して楽しく淡々と
 暮らすことが「タダの人」に一歩近づく道のようです。
 認知症の母の世話でつらいこともありますが、感謝しながら日々を送りたい
 と思います。
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 高橋さん、素敵な紹介、ありがとうございました。
 「普通にやってること。これが真の超能力です」・・なんだか、すごく元気
 をもらえますね。お母様のお世話で日々大変かもしれませんが、感謝の日々
 は、きっと素敵な時間ですね。
 ありがとうございました。(しんのすけ)


Posted by webook at 2011年03月08日 16:21 | TrackBack
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