1997年01月28日

【「複雑形」とは何か】...吉永良正97.1.28...☆☆☆☆☆☆

【「複雑形」とは何か】

吉永良正
1953年長崎生まれ 京大理学部数学専攻/文学部哲学科
サイエンスライター

講談社 660円
96.11.20 第一刷 12.17 第3刷

最近流行(らしいんですが)の複雑形 (カオス理論?)
の話です.
生命、自然、社会、経済等あらゆる自称を
取込み展開する21世紀最先端科学の入門書!
というのが謳い文句なんですが、
結構難解です.
小さな 本のくせに 骨が折れました.

世の中には 凄い人がたくさんいて、コンピューター
で人口生命 (生き物のように振舞うprogram) を研究してる
人がいるようで、ゲーム的で結構面白いみたいです.

科学(哲学?) の全体を最近の政治騒動になぞらえて
表現しているところが cool です.
以下 気にいりましたのでその抜粋を転記します ....
>>>
従来の科学(今の科学) を保守科学とよび、2大派閥の
きっちり派(古典力学)とデタラメ派(統計力学) によって
構成されてきた.それぞれ派閥抗争をしてきたが
結局はおなじ穴のムジナで、最近新たに 無党派層の
2つの流れが生じた.
一つは 非線形力学系からたったカオス党、
もう一つは 非平衡系熱力学から立った自己組織化党.
これらの二つが合流して 複雑形科学党ができた.
新党の常で この科学も 内部の意見や志向を異にする
無数の傾向を抱え絶えず 結党、解党を繰り返している.
古典力学の きっちり派が "秩序" の
統計力学のデタラメ派の確率論が "混沌" の
それぞれに対する【静的】な構造を扱っている
とすれば、新たに生まれた2つの潮流は 秩序と
混沌の間の動的な関係を問題にしている.
>>>
ニーチェ、ニュートン等の古典的な人に始まり
ポワンカレ、そしてサンタフェ研究所の聞いた
事もない科学者達の名前がでてきます.

なかなかの知的な本です.
(正直いうと 私には ちょっと-じゃなくて
大変 難しい本でした.)
でも 、コレおすすめ!

お進めど
☆☆☆☆☆☆

Posted by webook at 1997年01月28日 14:34