【理科系のための英文作法】
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杉原厚吉
1948年 岐阜県生まれ
東大計数工学修士
現在 東大計数工学科教授
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中公新書 680円
1994.11.25 発行
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ちょっと変わった英作文の本です.
通常 私たちは 語彙、文法、作文等の知識を学校で
学びますが、英語らしい文章を作るための訓練
とかは 受けてこなかったようです.
文と文をどうつなぐかという技術に注目した内容が
書かれています.
英作文となっていますが、実のところ 日本語の作文
の例もかなりあって、面白い内容になっています.
この著者は語学の専門家ではなく、人口知能等のコン
ピューターの研究者で、コンピューターにも解りやすい
英語作文 を狙った......という本です.
面白い例文がありました. (日本語です)
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『 かおりは、ようこちゃんの誕生partyに呼ばれました.
かおりは ようこちゃんが折り紙がすきなことを思い
だしました.そこで自分の部屋へ行ってちょきんばこ
をふってみました. でも音はしませんでした.』
十分な語彙の知識をもったコンピューターなら上記の
文章の意味と文章構造を理解することはできようが、
その先、つまり、文の流をつないで、話の全体を理解
するのはとても難しい、なぜなら、party には贈り物を
もって行くと言う習慣があること、貯金箱との関係で
贈り物には お金がいると言う社会的仕組を知らないと
いけないこと等、行間の意味が必要なのである.
又、上記の文章に "贈り物" "買う" "金" と言う話の流を
掴むための 基本語句(だから、そのためにetc) が無い
ことも注目点である.
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後者の 基本語句の事を "話の道筋の道標" と言う言葉で
説明し、英語の慣用句等も盛り込んで説明しています.
ここは、結構 日常のビジネス英語を作る上で役に
たちそうです. 道筋の道標の例として
consequently
This naturally lead us to the conclusion that ..
Supposing that..
in the same manner as this, ...
We can summarize our observation as follows.
等、そういえばこれ使えるなあ なんてのが英語の参考書
とは違った観点からとり上げてあり、楽しく読めます.
その他、文章構造の話、動詞の特性の話、古い情報は前に
など、英語らしい流のある文章を作るためのコツが
紹介されています.
日頃 英語でrequest 等の文章をつくる方、
自分の英語をちょっとだけ見直したい方、
言語に興味のあるかた
オススメ
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お薦め度
☆☆☆☆
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うんちく性
☆☆☆☆ ---あまり蘊蓄をたれるとひとから
おまえ、ウンチ臭え! といわれます.
ので ご注意のほど...
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実用性
☆☆☆