【原始人健康学】-家畜化した日本人への提言-
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藤田紘一郎
1939年満州生まれ
東京医科歯科大学卒 現在同大学教授
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新潮選書 1000円
97.4.25 第1刷
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空飛ぶ寄生虫 という本で先日紹介した ' 寄生虫が
かわいくてたまらない'という 藤田さんの本です.
今回は、抗菌goods や 無臭の為の薬とか、O157に対
する過剰な反応とか 現状の日本の "無菌室状態" に
警告を発する内容です.
まず冒頭では、著者が若いころ インドネシアの奥地へ
医学的な調査にいくところに話ではじまります.
ブル島という未開の地です.
このセンセ そこで 現地人のクソをあつめたがる 変人
医者として有名だったようです.
ブルでの生活は、今の "きれいずき日本人"からすれば
まるで ブタ小屋 見たいなもんだったようです.
おなじ川で "クソ" をたれ、そこの水で体洗い、おなじ
水で 食物をあらい、その水は飲料水でもある...ゲゲ
てな感じです. したがって ほとんどの人が 回虫 などの
寄生虫に罹患している.しかし みんな 明るく元気に生活
している.アレルギーなんて皆無.
実は 寄生虫を持っていることで(つまり 寄生虫と共生して
いることで ) 人間の体になかに、血液中のIgE 値が高くなり
アレルギーにかかるのを防いでいるんだそうです.
更に 驚くことに、寄生虫のお蔭で体の中の免疫状態を
Th2状態にしてしまうため マラリアにかからなくする
効果もあるそうです.
--- 人の血液中リンパ球は 20%程度が 骨髄由来のB細胞
残り80%は 胸腺由来のT細胞.そのT細胞にTh1 とTh2 が
ある.人が回虫に感染すると Th2が活発になり、熱帯
マラリアにかからなくなる --- んだそうです.
ブル島以外にも非近代的な生活をしている処の人達の生活を
調べると結構 寄生虫と人間が共生していて 平和で健康な
生活をしているのがわかる.ところが 現在の日本等 衛生的な
近代国家は、それらの共生を とことん自然な状態から排除
する事が 正しいと信じてつき進んできたため、とても
"あぶない"状態-家畜状態 -に なっている -- というのが
藤田さんの考えです.
今、5人に一人くらいで罹患している 花粉症や アトピー症
など現代病は すべて、こういった 自然との共生を破り
人間が 細菌を制服してやろうなんて企んできた事に
対する 自然からの逆襲 みたいなもんのようです.
更に話はふくらんで、いじめの問題につながる 教育の
ありかた、自然破壊と人間など 結構、思想的な?内容も
ある本です.
著者の豊富な経験(これが、又 結構 かわってる!)と
医学的用語をとても平易な言葉で説明しておりナ、読みやすく
ためになる一冊です.
最近、レストランのフォークが汚く見えて仕方がない
私には とても考えさせられる本でした.
旅行はHTLじゃなきゃイヤと言うきれい好きなパパ/ママに
そう言えば、小学校の虫下しで 回虫がお尻からでてきた
なあなんて 思い出のあるあなた(だあれ?)に
我が生活をちょと 違う目で見直したいあなたに
そして、三度の飯より1回の"ウンチ"の話が好きななたに
おすすめです.
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おすすめ度
☆☆☆☆☆+"~"
(最後の "~" は 回虫のシッポ)
真ノスケ