【BC!な話 】あなたの知らない精子競争
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竹内 久美子
1956年生まれ 京大理学部(動物行動学)博士終了
作家.
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精子は英語で sperm って言います. そのsperm を正面から
書いた本です.(夜にカイタ本ではありません.ン!?)
へええ以外と知らんかったなあ..という精子の話が一杯です.
例えば、ヒトの精子は 通常 3cc /1回の放出だそうですが
これも 状況によって差があるようで、精子の量を決める
要素は大きく3つ
1. 前回性交渉からの時間
2. その間のパートナーとの共有時間の割合
3. 女性の体重
だそうです.1番目は想像できますが、2/3番目は ? って
感じですね.しかし、これ、イギリスのベイカー&スペイー
っていう人が行った類希なる人間を使った実験で得られた
学術的なもののようです.
奥さんや彼女とずっと一緒にいるということは、パートナー
の行動がわかっているので、他の精子にパートナーが邪魔さ
れないことが認識できる.だから そういう時は精子が少ない
んだそうです. 動物学的で納得できそうですね.
そういえば、ずうっと一緒にいる奥さん/旦那さんより 違う人
の方がなんだかワクワクするって??
鳥類は 結構 夫婦仲睦まじかったりして 愛情の比喩に使われ
たりしますが、ところが 結構な 闘争/裏切り/浮気/不義密通等
激しいものがあるそうです.
鳥は 頭が悪いから(多分) 、浮気なんて言う概念はないんで
しょうけど、それでも 雌が卵を温めている 抱卵 の時期は
オスは、しめしめとばかりに 他のメス といちゃついて
交尾しまくったりするんだそうです.
浮気と言う現象は 動物行動学の分野では、
EPC :Extra-pair copulation (copulation といのは 交尾のこと)
というそうで、(人間のばあいは FURIN て言いますね)
normalなのは in-pair copulation (IPC) とか.
ここらへんの様子は キンカチョウ と言う鳥の生態を例に
面白く(人間の生態用語 浮気とか亭主がどうとか) で書いてあり
楽しいですよ.
この他 マスターベーションの動物学的意味とか、ペニスや睾丸
の大きさ 形の話、早熟のアフリカ人/奥手のアジア人の話、
同姓愛の考察 など なかなか 斬新な驚きで読めます.
こういう話を 女性( 真之助 より 2つ下の) が書いてるってところ
も時代ですねえ.
尚 BC というのは Biologically Correct (生物学的に正しい)
ということです.
PC (politically correct) に対応する造語だそうです.
-- ちょっとばかり贅沢をしたいばかりに売春をするのは おかしい
という判断は PCであるが、BC は そういった 一見浅はかな行為
にいったいどういう生物学的な意味があるのかと考える ---
この本は まさに BC! な話でした.
"週3回"をこなす激しい あなたに
"月 1回 でも 普通だよなあ" と納得しているあなたに
"年 1回 " と言う義理堅いあなたに
(おっとお、これって何の回数かって? そりゃあもう
アレ でんがな -- あれ って、そうアスレチックジムですよ)
自分が動物の一つであることを再認識させてくれる
貴重な一冊です.
顕微鏡で ご自分のsperm を観測したことのあるかた
絶対にオススメ!
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おすすめ度
☆☆☆☆☆ + *~
(*~ は あなたのsperm ですよ.元気に泳いでる?)
真之助