【国家の限界が見えてきた】
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大前研一 + 一新塾
ダイヤモンド社 1600円
97.4.3 初版
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大前研一の政策学校 "一新塾" 第3期の中で講義された内容を
元に編纂された本です.
テーマは "ボーダレスワールド/インターネット時代の生き方"
です.
「もはや 国家というシステムは、富の創造者というプラスの役割
を放棄して、マイナスの富の分配者になってしまった.
富は国家でなく 国境を越えたネットワークがもたらす.
情報の偏在が理不尽な主権国家存続に力を貸している.
--- だらか --国家の限界が見えてきた...」
というのが この本のおおまかな筋です.
内容は、大前研一ほか、村井純、高野猛、会津泉など 講師人の
講演内容が集録されていますが、光っているのは 大前研一
と会津泉くらいです.
大前研一の章では、
"5つのC がボーダレス化した" というタイトルで
country、currency、communication、company、citizen
にスポットをあてて、それらのボダーレスの現状と方向を
うまくまとめています. 因みに面白かったのは...
「currency 貨幣 では、 日米の貿易額は年間2000億ドルだが
NYC/LON/TYOの為替取引の額は たった一日で 6000億ドル
にものぼる.これくらい金融ファンダメンタルズが大きいときに
日本では 金利0.3%の郵貯に120兆円の預金が眠っている.
米国の金融商品で6.7%くらいなのが結構あるのに...」
「company 会社では、 材料調達加工がどんどんグロ-バル化
している.伊東園の緑茶も実は 中国の折江省で栽培している
お茶を原料としている割合が多い.静岡のお茶も 実は50%
以上が鹿児島産である. "の" と言うのがkey で、決して
静岡産 とは言っていない.静岡"の" と言っている.
北海道おアスパラは ほとんんどオ-ストラリアの クイ-ンウランド産、
淡路の線香も中国産、浜松の蒲焼きもマレーシア産 (浜名湖
の蒲焼き とは言っていないところがミソ)...
Sports shoos のnike もコアスキルである WS でのデザイン
はがっちり抑えて、生産は世界で一番安い所で、契約生産して
いる.
日本人の給与は 福利厚生もいれて平均 40万円/月、一方
ベトナムでは 福利厚生に昼飯も入れて 4000円/月.じつに
100倍の差.しかも 通勤費は 自転車だからなし.
こんな時代に もう国境はない....」
会津泉のpart は、internet の歴史と現状、それに今後のnetwork
社会の有り様を書いています.業界のパイオニアらしい見識が
あって興味深いです.
「インターネットの歴史は早く、ドッグイヤ-(犬は 人の7倍の
スピードで年をとる) と言われている....ARPAネット
と言う軍事研究所を結んだnetoworkから、CSnet に更に NSFnet
にと繋がり全米の1万くらいがnetwork で繋がっていった..
その後のinternet アドレス管理(network番号管理) をInterNIC が
行う話、現在は 世界を北米、 欧州/アフリカ、アジアの3つに分けて
管理していること...などなど」
上記の2 part のみおすすめ.
インターネットと社会情勢を知りたい方にオススメ.
一新塾(第4期)の応募要項もありますよ...
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おすすめ度
☆☆☆☆
真之助
Posted by webook at 1997年05月20日 16:02