【情報力をつける】
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森谷 正規
1935年生まれ 60年 東大工学部船舶科卒
日立造船、東大助手、野村総研を経て現在
技術評論家、94年には 放送大学教授
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日本経済新聞 1300円
96.11.5 第1刷
97.2.6 第2刷
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知のノウハウシリーズ のひとつで著者自身の "情報"の扱い方
を紹介した本です.
野村総研での情報調査、技術評論家としての著述業の中で
自身が情報について整理した考え方です.
「情報は 8つの形(news、解説、データ、詳説、...) 又、情報は
4つの要素 (事実、予測、原理、心理)
がある.情報源のメディアは
新聞、ニュース、雑誌、口コミなどがあり.....」などという
処は、生産性研修の講義みたいですが、なかなかよく纏まって
います.
情報の整理の仕方は、スクラップ、メモカードなどが紹介され
分類の方法も 野口由紀雄の超整理法などが引用されています.
が、まあ エキサイティングなものではありません.
一番 よかったのは、情報の活用のところで、「情報を自己化して
おけば、状況対処、企画調査、それに発想 に役立つ」としてい
ます. 特に発想のところで引用されている " 創造は想像から" という
内野信子の"想像力"という本の話が面白いです.
「創造というと全くのゼロから出発してまったくの革新的なものを
作り出すと思われがちだが、実は ある情報に基づいた連想/想像が
元になって創造につながるなることが多い.
つまり 創造とは 情報力の一つの発展である」
そこで 著者が引用したのが下記の作品 - ズバリ "想像力"
内野女史は、お茶大の心理学の教授.
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> 3才児たちが砂場であそんでいる.子供たちは 思い思いに砂に水を
> 混ぜて お団子を作って砂場の淵に並べている.この遊びはすぐ
> となりのクラスの子供たちにも伝搬していく.
> やがて、一人の子供が "先生 お団子どうぞ" ともって行く.
> 受持ちの先生は" ごちそうさま"
>と心を込めて言い食べる真似をした.
> そして 更に、
> "ああおいしい、クリームの味がするね"と言ったのである.
> もう一つのクラスの子供も、自分の受持ちの先生に差し出した.
> その先生も、"ご馳走さま.おいしいわ"と やはり心を込めて
> 言った.
> 言葉を掛けられた子供の幸せな気分はその柔らかな笑みから
> 伝わる.
>
> .... 二人の先生は同じような対応をしているように見える.
> しかしそ の後の子供の行動はまるで違うものになってしまった.
>
> " クリームの味"と言われた子供は、その後、今度は"いちごの味"
> とか"きなこがついてんの"とかバリエ-ションを次々に考えて先生に
> 差し出した.更に 水に砂を混ぜて、"コーヒーは如何?"なんて
> レストランごっこに発展していっった.
> ところが、もう一つのクラスは、相変わらず "お団子どうぞ"を
> 繰返し、たくさん作る事を競ったり、砂場の淵に丁寧に並べる
> 遊びに終始した.
なかなか面白いエピソードですね. この話を 著者(森谷氏)
は、大企業での講演でよく引用するらしく、
最後にこう付け加えるとか
「あなた方は 相変わらず お団子をきれいに丸めて並べているのでは
ありませんか?」 ...と.
たまごっち、おやじっち、ミエらじっち に続くな新種を
想像-->創造したい方におすすめ.
長谷川慶太郎の 【情報力】よりは 実用的です.
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おすすめど
☆☆☆☆