【アダルトチルドレンマザー】よい母が危ない
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橘 由子
1953年 岡山生まれ 慶応文学部卒 社会心理学専攻
三越に勤務後、秘書、通訳等を経て現在 フリーライター
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学陽書房 1400円
1996.11.15 初版
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「"期待"という"やさしい暴力"のほうがいわゆる本当の
暴力より 大多数の日本の親子関係で問題がある.」
「"期待" にしばられた"よい子"、特に幼い子供は よい母が
侵す過ちにいとも簡単にはまって、母のマインドコントオ-ル下
に入ってしまう.
「"愛" という名のもとに"子供のため"という大義名分に従い
子供を支配し抑圧した 悪意のない"よい母"があった.」と
著者みずからの母娘の関係をcool に分析しています.
この本は その"やさしい支配と抑圧"の正体を著者の現在
進行形の心の変化を吐露しながら綴った本だと
いえるでしょう.
本を読みながら、正に我が家でおきている現実を思い、
先に読んだ家内とともに 深い沈黙の海に沈みこんで
いきました.
ほんじゃあ どうすればいいの? 思わず聞きたくなりますが、
ちゃんと書いています. -- 「自分の世界ではエゴイスチックに
子供の世界では完全に裏方にまわる」んだそうです.
著者の母は まだ健在ですが、この本の中では 自分(著者)を
支配し抑圧せしめた 悪意のない 鬼母 として 登場させて
いますが、最後の段では ちゃんと 感謝と和解の 行を
もうけています.
"父権の復活" のように 学者の諸説を引用して こ難しく
書いていないところと、著者の現実の生活のなやみを
再現しながら書いているところが、読みやすく 好感が
もてます.
アダルト チルドレンの母におくる一冊!
でしょうか.
タイガーウッズや イチロウ のように英才教育
(父親だったようですが)が注目されていますが、
こういうヒーローとはいかないまでも "家の子はせめて..."
という親心(鬼心?)を持ったお父さんお母さんにおすすめです.
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おすすめ度
☆☆☆☆☆
真之助