【ステルス戦闘機】
スカンクワークスの秘密
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ベン リッチ
1925年 フィリピンでユダヤ人両親の元に生まれる
UCLA修士、ロッキ-ドでF104の設計のあと
レオッキ-ド先進開発室(スカンクワ-クス)の一員となり
U-2、SR-71などの設計に携わる
1991年 退社.
増田興司
1941年生まれ 名古屋大学航空修士.
川崎重工.訳書に"テストパイロット"
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講談社 2000円
97.1.23 第1刷
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著者のベンリッチは1975年から ロッキード先進開発室
の代目所長になった人で、初代のケリージョンソンの後
を次いだ人です. といっても日本人にはあまり馴染の
ない人ですが....
これらの人達は、米国の航空機開発(軍) の著名な人で
生きた博物館みたいな人のようです.
スミソニアン航空博物館で SR71 とかみてきましたが、
あれを設計したひとだったので ビックリです..
さて、この本 冷戦時代の米国内の軍事航空機、特に
偵察機などの開発の裏舞台が 結構リアルに書かれて
います.こんなことまでいいのって感じですが、東西の
カベが崩れた後の時代だからですね.
特に 砂の嵐 作戦でつかわれた ステスル戦術戦闘機(F-
117A) については 相当詳細にかかれていて、軍事の
オタクでない私も面白く読めました.
この飛行機は結構 昔から開発されていて、1970年代と
いうから驚きです.1977年12月に"ハブブルー"という
コードネームのステルス機の試験飛行が行われました.
あの 平面を組み合わせたへんてこな戦闘機は、レーダー
反射が従来の1/1000にもなるらしく、レーダー捕獲する
のは"空を飛んでるタカの目をさがすようなもんだ"そう
です. 冷戦時代にソ連が莫大な金で築いたレーダー網の
意味を無くす画期的なものだったようです.
湾岸戦争の pin point 攻撃も このステスル機に負う
ところがおおきかったようです. つまり適のレーダーに
気づかれることなく適地おくまで侵入できることは
軍事的には相当な革命的できごとであったみたいです.
"攻撃目標は xxx の男子トイレか女子トイレか"なんて
ホラ口をたたけるくらいに...
そもそもステルス技術(平面立体化)の論文は皮肉にも
ソ連の学者が研究したもので、偶然 アメリカで実用化
された技術です.
スカンクワースクって聞くと、臭いスカンクのイメージで
すが、この名前にはちょっとした臭いエピソードがあったよう
です.詳しくは 本をよんでみてね.
また この秘密プロジェクトも 結構熾烈なビジネスの中で
走っていたプロジェクトで、国から予算を潤沢にもらい
お金をジャバジャバつかったわけではなく、予想外に
職人芸的な開発をしたようで、そこらへんの経緯もかなり
書かれており、米国航空技術をささえた人の心意気が
つたわります. ちなみに ステルス機のプロトタイプの開発費は
4300万$(約43億円 当時の為替レートなら その2-3倍?).
777の開発費が約5000億円だそうで 相当な低コストですね.
冷戦時代からの米ソの軍事的な裏話が満載といった感じで
冷戦後の今となっては 航空"娯楽"本 といっても
いいでしょうか.
航空オタクのあなたにピッタシおすすめ
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おすすめ度
☆☆☆☆☆
真之助
PS: Kさんにおかりしました. THNX です.