【動き始めた教育改革】
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寺脇 研
文部省高等教育局医学教育課長
1952年 福岡市生まれ
ラサール高校/東京大学法卒
文部省入省 (中学の業者テスト追放に携わる)
広島教育長を経て96.4より現職
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主婦の友社 1400円
97.1.1 初版
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現役の文部省官僚が教育改革の考え方と現状について
書いた本です. 最近役人批判が多い中で、教育のあり
方についてしっかりした(失礼!)考え方と計画を
もった人のようで、好感をもてる内容になっています.
このひとの役人としてのattitude は 菅直人みたいで
アカウンタビリティを常に持つことで高い倫理観を
KEEPしていることを伺わせます.
「広島教育長時代に 登校拒否の生徒達のミニコミ新聞の
取材を受け はっきりと "いろんな教育問題の責任は
最終的には私にあります."と明言した」そうで、責任の
ありかをみずから明確にして問題にとりくむ姿勢は
かえると思います.
文部省の職業教育局にいたとき、偏差値を出す為の
中学の業者テストを追放したこの人は<
偏差値教育はいじめだ! と断罪しています.
寺脇さんの偏差値弊害論は頷けます.-- 偏差値で
人をランクづけ、それが全ての人生の価値のごとく
世の中(大人) が動いている事が、いじめ問題や
歪んだ医療の問題(成績がいいからなってみたという
医者がいる) を起こしている.
"君は偏差値では xx だから xx 大学の医学部へ行け
るよ、なんで aa 大学の文学部なんかへいくんだ?"
という教育指導を相当数の生徒が受けてきた.
偏差値にお釣りはいらない.(つまり 本人の希望や
人生設計とは関わりなく 偏差値丁度の大学の適当な
学部へ入ること) --というのが今も続く偏差値弊害
である.
これに近い考え方を、私は 大学一年の時に 宇井純?の
本で読みショックを受けたのを思い出します.
(カハ~ なんてこった! と思ったものです)
広島教育長時代の話で、「"登校拒否"で学校にいかない
人がいるけど、そういうことが出来るだけましな世の
なかになった.なんらかの理由で学校にいきたくない
生徒がむりやり首に縄をつけてひっぱっていかれても
なんの解決にもならない.それでも学校にいかないと
親も子供も罪悪視してたら 子供は立つ瀬がない.
今は 僅かだが 立つ瀬がある.」
なんて事をいったら PTA 大会で騒然としたそうです.
割と本音で物をいう人のようです.
すでにこれだけ進んでいる教育改革 のところは
高校での総合学科のはなしや、小学校の"生活科"の
はなしを紹介しえちますが、 文部省もやるじゃん と
言う感じです.
又 医療現場の歪みを教育体制の不備(成績だけが
医者の適性をきめるものではない) にとらえ、改革して
いこうとしている点は、この人に大いに期待したいもの
です.
ある本によると 文部省へ配属になる役人は 大蔵省を
トップとすると 一番ビリの人だそうです(天下り先で
おいしいところが少ないから)が 、どっこい
こんな人もいるんだなあと感心しました.
"お役人というのは、いかにアホでズルくて汚いやつら
(でもほんとのところはわれわれと変わらないプチ市民) "と
いう内容の本が売れていますが、そんな中で 現役のお役人
が書いたこの本は 一服の清涼剤という感じです.
因みに この人ラサールへ一番で入り、出るときは真ん中
くらい、東大も滑り込み. 親は医者にしたくて相当厳しい
教育と期待をおしつけたようです.
そんな環境の中で中学2年には自殺をはかったこともある
著者は、子供のツライ立場をわかるお役人の一人のようです.
因みに 私の近所の奥さんはみいんな読みました.
お子さんの教育でお悩みのあなたに
文部省の意外な一面を知りたいあなたに
おすすめです
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おすすめ度
☆☆☆☆☆
真之助
Posted by webook at 1997年06月05日 16:30