シェアではなく、利益を気にしよう。
【なぜ企業はシェアで失敗するのか!】
経営を誤らせる占有率神話 The Myth of Market Share
=========================================
|著者:リチャード・ミニター/吉川明希訳
|日本経済新聞社|2003年 08月
|ISBN:4532310695|1,600円| 237P
=========================================
「大きな市場シェアを握れば、利益は後からついてくる」という考え方は
バブルにあおられたドットコム企業だけでなく、古くからの老舗企業にお
いても広く浸透している。
著者は、それをまっこうから否定する。市場シェアが利益に与える影響は
ほとんどなく、むしろ利益を後回しにして市場シェアを優先する弊害のほ
うがよほど大きいと指摘する。
大切なのは「市場シェア首位をねらう戦略(市場シェアリーダー戦略)」
ではなく「高い利益率をめざす利益リーダー戦略」であると強く主張する。
市場シェア戦略で失敗した事例、利益率を目指す戦略で成功している企業
などを、具体的に分析し紹介している。
前者には、市場シェア拡大のワナにはまりブランド価値をさげジリ貧に陥
ったラコステ(そういえばあったね、わにのマークのポロシャツ)、ブラ
ンドを犠牲にしたシェア獲得戦略で苦戦のGMなどがある。
後者の成功事例には、デル、GE、ライアンエアー(欧州のサウスウエス
ト航空)などが紹介されている。
ただし何事にも例外があり、マイクロソフトやビザ(カード)などネット
ワーク系などでは市場シェア拡大が意味を持つ場合もあるとしている。
豊富な事例と分析は、おそらく今後の戦略を考えている企業には、大いに
参考になる。要するに、徹底的に顧客のほうを向き、利益率を中心にした
戦略がよい!ということだ。自社の将来戦略を考える上で、ヒントになる
ことがたくさんありそうだ。
===============================================================
★★★★★+シェアじゃない
・中期戦略を検討中の方
・自社のポジションを洗い直している方
・事業ドメインをリセットしようとしている方