【自信力はどう育つか】
思春期の子ども世界4都市調査からの提言
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|著者:河地和子(かわち・かずこ)
|出版社:朝日新聞社|2003年 04月
|ISBN:4022598263|1,200円 |286P
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思春期の子供(15歳)の自立や自信力に関する興味深い考察の本である。
東京、ストックホルム、ニューヨーク、北京にいる約4000人のアンケー
ト、200人あまりのインタビュー、そして数ヶ月にわたる教室観察をもと
に、子供たちが自立し自信をもって生きていけるようにするためのヒントを
探ろうという本である。親子関係、学校、子供たちが描く自我像、元気な女
子とおとなしい男子の4つの章に分けて考察が進む。
生の声は、子供が育っていく環境としての私たち大人に大いなる示唆を与え
てくれる。例えば、理由なき反抗期・・・などといったある種、常識的な言
葉があるが、彼らの生の声を読めば、「決して理由なく反抗しているわけで
はない」ことがよくわかる。
子供との会話で、「学校どうだった?」「別に/ふつう」というすれ違いの
会話はありがちである。ちょっとした会話の工夫や親の気持ちのあり様で、
すれちがいの表面的会話が「心の通う対話」に進化できる可能性がある。
そんなヒントも具体的な<生の声>として取り上げられている。
僕がこの本から受け取った最も大事なメッセージは、「対話」ということか
もしれない。自分の子供にも、あるいはよその子にも、聞いてあげる耳をも
ち、そしてこちらの真摯な態度を見せることの大切さを痛切に感じた。
あなたのことを大切に思っているんだよ!をベースに、保護し、監督し、ア
ドバイスする親・・・なかなか難しいんだなぁ、これが。
子供たちが自信をもち、自立した人間に成長するために、親として教師とし
て市民の一人として何ができるか、何をすべきか・・・そんなことを考えさ
せてくれる良書といえる。 読んで、考えたい本だ。
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★★★★☆+対話から
・子供をもつ親御さん
・学校の先生
・むかし子供だった方