2003年09月30日

■まあ、そこへお坐り(山藤章二)

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   顔に関しては私は専門家である。
   ひと理屈こねさせて貰う。

まあ、そこへお坐り

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  |著者:山藤章二
  |岩波書店|2003年 08月
  |ISBN:4000021559|1,800円 |
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 当代一の「戯れ絵師」とは、山藤章二さん。週刊誌などでその似顔絵をみた
 ことのねえ人は、まずいねぇだろうな。なぁ、そこの・・・。
 このおやじ、気は弱いのに頑固でパソコン嫌いときた。みずから「ずれ爺」
 と呼んでるようだが、要するに早すぎる日本の変化に違和感(ズレ)を覚え
 てるってことだな。
 さて、そのずれ爺が、野球、政治、人情、流行語など世の中の「なんだかよ
 くわかんねぇが、ちょいとヘンだぞ」と感じていることを辛口のエッセーに
 まとめた本がこれだ。

 実におもしれぇ。ちょこっとさわりを教えてやっから、まぁ、そこへお座り。

 戯れ絵師の描く、似顔絵はとこどなくその人物を風刺していたり、ちゃかし
 たりする・・・その味付けがなんともうめぇ。文章も同じだ。なんとも言え
 ねぇデフォルメがあるんだなぁ、これが。
 本人は、東京芸大を目指したが生来の戯れ心が災いしたのか見事すべった。
 代わりに入ったのがタマビよぉ。しかし、それが返って幸いして今の戯れ爺
 につながるってんだから、世の中不思議なもんだってんだ。

 顔の専門家というだけあって、顔を表現する言葉もピカ一だ。歴代首相につ
 けたあだ名がおもしれぇ。たとえばよ・・
   鈴木善幸さん = 大工道具の墨つぼ
   竹下登さん  = 熊手についているセルロイドのお面
   海部俊樹さん = 上目遣いのキューピーさん
   羽田攻さん  = 町工場の半そで社長
   村山富市さん = リアルに作りすぎた翁の能面
 だはは・・・いい線いってるぜ。

 顔には<顔だち>と<顔つき>があるってんだな。顔立ちは、生まれつきの
 造作だ、顔つきは、当人の意志や努力、生き方といったものが加わったもの
 だというわけだ。顔つきがスポーツの話に飛ぶと、これまた面白い。
 松井、中田、イチロー、野茂・・・どうだい、彼らの毅然とした無愛想顔。
 そうなんだ、スポーツの真髄は「真剣さ」にあり、かれらの顔つきは何かを
 物語っているっていう気がするじゃねぇかい。

 戯れ爺の辛口世評は、なかなかいける。一本、あいや一冊いっとくかい?
 えぇ、そこのだんな。   (今日は戯れ爺のノリでお送りしました)
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   ★★★★★+戯れ爺

 
   ・世の中へんじゃぁという方
   ・人の顔つきが気になるという方
   ・人の顔をほっといてくれという方

Posted by webook at 2003年09月30日 11:28