顔に関しては私は専門家である。
ひと理屈こねさせて貰う。
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|著者:山藤章二
|岩波書店|2003年 08月
|ISBN:4000021559|1,800円 |
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当代一の「戯れ絵師」とは、山藤章二さん。週刊誌などでその似顔絵をみた
ことのねえ人は、まずいねぇだろうな。なぁ、そこの・・・。
このおやじ、気は弱いのに頑固でパソコン嫌いときた。みずから「ずれ爺」
と呼んでるようだが、要するに早すぎる日本の変化に違和感(ズレ)を覚え
てるってことだな。
さて、そのずれ爺が、野球、政治、人情、流行語など世の中の「なんだかよ
くわかんねぇが、ちょいとヘンだぞ」と感じていることを辛口のエッセーに
まとめた本がこれだ。
実におもしれぇ。ちょこっとさわりを教えてやっから、まぁ、そこへお座り。
戯れ絵師の描く、似顔絵はとこどなくその人物を風刺していたり、ちゃかし
たりする・・・その味付けがなんともうめぇ。文章も同じだ。なんとも言え
ねぇデフォルメがあるんだなぁ、これが。
本人は、東京芸大を目指したが生来の戯れ心が災いしたのか見事すべった。
代わりに入ったのがタマビよぉ。しかし、それが返って幸いして今の戯れ爺
につながるってんだから、世の中不思議なもんだってんだ。
顔の専門家というだけあって、顔を表現する言葉もピカ一だ。歴代首相につ
けたあだ名がおもしれぇ。たとえばよ・・
鈴木善幸さん = 大工道具の墨つぼ
竹下登さん = 熊手についているセルロイドのお面
海部俊樹さん = 上目遣いのキューピーさん
羽田攻さん = 町工場の半そで社長
村山富市さん = リアルに作りすぎた翁の能面
だはは・・・いい線いってるぜ。
顔には<顔だち>と<顔つき>があるってんだな。顔立ちは、生まれつきの
造作だ、顔つきは、当人の意志や努力、生き方といったものが加わったもの
だというわけだ。顔つきがスポーツの話に飛ぶと、これまた面白い。
松井、中田、イチロー、野茂・・・どうだい、彼らの毅然とした無愛想顔。
そうなんだ、スポーツの真髄は「真剣さ」にあり、かれらの顔つきは何かを
物語っているっていう気がするじゃねぇかい。
戯れ爺の辛口世評は、なかなかいける。一本、あいや一冊いっとくかい?
えぇ、そこのだんな。 (今日は戯れ爺のノリでお送りしました)
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★★★★★+戯れ爺
・世の中へんじゃぁという方
・人の顔つきが気になるという方
・人の顔をほっといてくれという方