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|著者:加藤良平
|集英社インターナショナル/集英社|2003年 07月
|ISBN:4797670878|1,500円|237P
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ソニー、ホンダ・・・不況の中にも元気印の大企業として注目の会社だ。
注目したいのは、企業という組織体ではない、そこにいる「人」である。
SONYブランドは、世界的な価値を持ち、経済の波や技術革新の波を超
えて伸び続けてきた。SONYを語る本は数多い。井深、盛田両氏の経営
や創業魂にまつわる本など枚挙に暇がないほどだ。
しかし、それだけがソニーではない。ソニーで働いたことを誇りに思い、
そこで学んだことを活かして次のステップに進んだ数多くのビジネスマン
がいる。彼らが、ソニーという会社を「人生の乗り物」として語るとき、
ほんとうの意味で企業価値が浮かび上がってくる。
リクルートもそうなんだが、ソニーも基本的な考え方はこうだ。
「企業は人のためにある。入社したからには一生懸命働いていい製品を生
み出して欲しいが、自分に会わなきゃいつまでも居る必要はない。転出
は大いに支援する」といったところか。
定年でも定年前でも、ソニーを卒業する人、した人を応援する企業姿勢は
大いにマネしたいところだ。
本書は、11人の元ソニーマンが語る、ソニー創造性の秘密・・といった
趣向の本だ。著者の加藤さんも実は元ソニーマン。11人は先輩にあたる
人たちで、多くがその後独自の企業の社長などを勤めている戦士たちだ。
中井純さん/分担をおとなしく守る技術者なんてソニーにはいない
http://www.mainichi.co.jp/eye/murata/200109/06=2.html
横野滋さん/―役員も平社員もない、良い技術はみんなで認め合う/
吉田博文さん―失敗した分野も含めとにかく試してみる労を惜しまない/
などそれぞれの人生が面白い。いずれもソニーというブランドに支えられ
たのではなく、ソニーという乗り物を楽しく乗り回した・・という雰囲気
がスバラシイ。
曰く、ソニーは、どの担当の人が何を言ってもOK
曰く、手を上げた人には、とにかくチャンスをあげる
曰く、失敗を恐れる意識が、非常に薄い
曰く、圧倒的多数が反対しているがゆえにプロジェクトを中止させる
ということはない。8mビデオ、プレステを見よ!
曰く、社員の「ワルノリ」が許されてしまう会社・・
といったことが、その人の体験談としてさりげなく語られるところに本書
の魅力がある。いよいよ、「人」が企業を語る時代になってきた。
著者が語るソニーの公式: ものつくり魂+マネジメント=創造性
うーん、ソニーか。新しいクリオ、ぽちぃにゃぁー。
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★★★★☆+乗り物
・企業と人との係わりを考えている杉山さん
・自己実現に邁進中の方
・ソニーっていいよなぁという方