【病院なんか嫌いだ】
「良医」にめぐりあうための10箇条
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|著者:鎌田實(かまた・みのる)
|集英社|2003年 10月
|ISBN:4087202143|660円|222P
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長野県に諏訪中央病院というのがある。そこに一人の医師がいる・・・。
鎌田實。本書の著者である。
地域医療に係わり続けて30年。医療の原点を考え続けてきたお医者さん
が心の言葉を語り始めた。本書が6冊目の本になるが、「がんばらない」
はベストセラーとなり、西田敏之主演のTVドラマにもなった。
このお医者さんの語る言葉は、人間味がある。患者の気持ち、家族の気持
ちにとても近いところで考えている。
「医療はやさしくなくちゃ、医療じゃないって思ってきた。」
「人が納得し、満足し、幸せになる医療ってどんな医療かと考えてきた。」
「病を治すために人生があるのではない。その人らしく生きるために人生
はある。時には、人は病を治さず、あるいは治せなくとも、その人らし
く、生き生きと生きることもできる。」
そんなことを言うお医者さんだ。なんだか心がほっこり。
財政的な視点でしか行われない病院経営、マニュアルだけのケアプラン、
機械的な対応の医療現場・・・などなど私たちが憤りを感じる実態は、ま
だまだあちこちにある。
そんな中、鎌田さんほかの努力で諏訪中央病院が実現している医療現場に
は人を人として扱ってくれる素敵な空間がある。
良医とは、こんなお医者さん:
1)話をよく聞いてくれるお医者さん
2)わかりやすい言葉でやかりやすく説明してくれるお医者さん
3)薬や検査よりも、生活指導を重視するお医者さん。
4)必要なときは専門医を紹介してくれるお医者さん。
5)患者の家族の気持ちまで考えてくれるお医者さん。
6)患者の住む地域の医療や福祉をよく知っているお医者さん。
7)医療の限界を知っているお医者さん。
8)患者の痛みやつらさ、悲しみを共感してくれるお医者さん。
9)他の医師の意見を聞きたいという患者の希望に快く応じてくれる。
10)ショックを与えずに患者に真実を伝えられるお医者さん。
でも全部当てはまるようなお医者さんはそうはいない。どれか2,3でも
当てはまるお医者さんと出あったら時間をかけて信頼関係を築くのがよい
と鎌田先生は言う。
医療、地域との連携、介護、ターミナルケア、日本の医療制度、さまざま
な医療問題に具体的なヒントを与える実践記録である。
医療改革、病院改革を進めている方にぜひよんでほしい一冊だ。
うーん、鎌田さんに会ってみたいなー。
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★★★★★+良医
・医者になりたいっていう方
・医療、介護に関心ある方
・新しい医療を作ってみたい方