【ピーターの法則】
創造的無能のすすめ
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|著者:L・J.ピーター/R・ハル
|ダイヤモンド社|2003年 12月
|ISBN:4478760853|1,400円 | 222P
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ピーターの法則を知ったのは、藤原和博さんの本だった。それによると
「組織では、あらゆるポジションが無能な人によって占められていく」
というもの。恐ろしくもあり、ナルホド!でもある面白い説であった。
藤原さんが読んだという本は今はない。ところが、今回、ダイヤモンド
社から復刊されたのが本書である。ブラボーだ。
さっそく読んでみると、「うくくく・・」な話がでるわでるわ。電車の
なかで笑いをこらえて読んだ。
会社の会議でも、内容が専門的になると担当者から説明させます・・・
てなことであとはよろしく状態の上司は多い。どんな重要なことでもそ
ういう構図の組織では、「この会社誰が経営してるんだぁ?」というこ
とになる。(大企業ではよくある光景)
本書によれば
「組織において人はおのおのその無能レベルまで昇進する」という。
したがって、
「組織はいつかすべて無能な人々の集団となる」という。
だから、世の中では○印とか○菱とか銀行とかで、どうしてあんなこと
が・・・ということが起きたりするのだ。
教頭としては有能でも、校長になったとたん評判が悪くなったとか、課
長としては大活躍だったがより大きな視点でものを進めないといけない
部長になったら平凡になっちゃった・・ということはよくある。
無能という日本語はやや誤解を招く。適材適所でない状況のことだから
不適能といったほうが分りやすいかも。
http://home10.highway.ne.jp/fujix/kpiter.htm
本書はとても面白い言葉にあふれている。(これは訳者の大ヒットだ!)
強制上座送り=会長とか顧問とか名誉だけの上座へ送ること
管理職の空中遊泳=部下のいない名前だけの部署にいること
階層的厄払い=組織は維持されなければならないという掟を
守るために有能すぎる人間は疎まれるなど。
人のことを笑いながら、ところで俺はどうなんだろう?と思うと恐ろし
い法則である。
さて、無能だらけの世の中で最終到達点(無能=incompetence)に行かず
にすむにはどうしたらいいか。その無敵の処世術は「創造的無能」とい
う。例えていえばノーベル賞の田中耕一さんみたいな生き方だね。
「階層社会学」(hierarchiology)という愉快な学問に触れてみよう!
復刊をダイヤモンドに働きかけた訳者にブラボー!
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★★★★★+無能!
・昇進願望の強い方
・無能な上司に仕えたことがある方
・有能であり続けたい方