富士には、月見草が似合う。
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|著者:小川義男編著
|樂書舘/中経出版|2003年 12月
|ISBN:4806119415|1,000円 |159P
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富士には・・・の一文は、なぜか、よく覚えている。ときおり道端で月見
草を見かけると、このフレーズが思い浮かぶ。高校の国語の時間に習った
ような記憶があるが定かではない。太宰治の「富嶽百景」にでてくる一文
である。
だから、「富嶽百景」は、何十年ぶりかにあった友達のように、なつかし
く感じた。ところが、中身はサッパリ覚えておらず、へぇーそういう話だ
ったのぉと新鮮な印象で読めた。うれしいような悲しいような。
本書は、あらすじで読むシリーズの第3弾。本書をもってで完結であると
編集者の小川さんはいう。(きっと終わらないね、もっと読みたいもん)
前2作同様、この本も狭山ヶ丘高校の職員の人達が分担して日本の名作を
「あらすじ」にまとめたものだ。
樋口一様の「にごりえ」、夏目漱石の「我輩は猫である」など明治のころ
の作品から三島由紀夫の「仮面の告白」など昭和時代まで25作品がある。
あらすじだけで僕を泣かしてくれた作品を紹介しておこう。
壺井栄の「二十四の瞳」~大石先生と子供達の時を越えた交流の物語・・
竹山道雄の「ビルマの堅琴」~ビルマに居残った水島上等兵の話・・
これらをあらすじにしてくれた社会の伊藤義弘先生と、理科の木藤三雄先
生に感謝である。
菊地寛の「俊寛」、中島敦の「山月記」も人の心の機微を描いてよかった
ねぇ。
このシリーズの企画は、ほんとにすばらしい。是非ほかの作品や、あるい
は世界の名著シリーズも出してほしい。
70歳にして校長先生と早稲田大学大学院の学生も同時にこなす小川義男
さんだから、きっとやってくださるに・・・・違いない。
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★★★★★+あらすじで泣く
・名前は聞いたことがある・・っていう方
・名作を読まずに死んでたまるかという方
・あらすじだけで泣いてみたい方