2004年01月06日

■「アメリカ小麦戦略」と日本人の食生活(鈴木猛夫)

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おっと、そういうことだったの!?

「アメリカ小麦戦略」と日本人の食生活

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   |著者:鈴木猛夫
   |藤原書店|2003年 02月
   |ISBN:4894343231|2,200円 |262P
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 なるほど、そういうことだったのね。と納得の一冊である。

 イラク戦争のウラでは米の石油利権の覇権争いがうごめき、アメリカの台
 湾政策は中国という巨大マーケット戦略が基本にあり、真珠湾攻撃は、ア
 メリカの・・・と、これまで様々な政治・経済、国際情勢などの舞台裏に
 は、アメリカの覇権戦略が見え隠れしている。

 本書は、アメリカの食戦略の話。

 今日、私達日本人の暮らしの中で、パン食はもはや切り離せないほど定着
 している。なぜなら、私達は学校給食というシステムの中で、毎日パン食
 に慣れ親しんできたからだ。(ぼくなんか、パンの耳をもらって帰るのが
 うれしかったなぁー。お袋がアゲパンにしてくれた)
 牛乳もしかり。

 「これほど短期間に食生活が変わった国はない」という。ごはん・めしの
 食生活が、パン(トースト)・コーヒー・ハム・サラダみたいな「近代的」
 食事に変わったのは戦後のわずかな期間だったのだ。

 本書は、戦後の食糧難解消のあと国(厚生省)によって行なわれた栄養教
 育、栄養改善活動が、実はアメリカの周到な小麦輸出戦略にそって行なわ
 れていたものだった・・と、その隠された事実を紹介する。

 1953,4年頃、アメリカは3000万トンもの膨大な小麦の在庫を抱え(ちなみ
 に日本の年間のコメ消費量は1000万トンである)、その余剰農産物の処
 理(輸出)は、喫緊の課題だった。アイゼンハワー大統領は、MSA法や
 PL480法などを制定し、国家戦略として余剰農産物の処理をすること
 になる。日本はといえば、金なし、食料不足、国力不足という状況の下で
 アメリカの小麦戦略は願ってもない内容であった。こうして、日本人の「
 近代的!」食生活の源流がスタートすることになる。

 著者のスタンスは、そんなアメリカの経済(農業経済)戦略があったから
 悪いというのではなく、事実を事実としてしっかり認識した上で、ものご
 とを考えましょう・・というものだ。だから、好感が持てる。

 戦後の食事事情の変化、森欧外(林太郎)も登場する米食と脚気騒動の話
 など、非常に面白い事実を丹念にたぐりながら、食と健康を考えさせてく
 れる。著者渾身の作品。

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   ★★★★★+小麦戦略

 
   ・食に関心アリっていう方
   ・今日の朝食にパンを食べた方
   ・食文化について考えたい方

Posted by webook at 2004年01月06日 09:30