2004年02月01日

■役員室にエジソンがいたら(ジュリー・L.デービス/スーザン・S.ハリソン)

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中村修二に200億円!・・そういう時代なのだ。

役員室にエジソンがいたら
         知的財産で勝つ経営戦略
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   |著者:ジュリー・L.デービス/スーザン・S.ハリソン
   |かんき出版|2003年 10月
   |ISBN:4761261307|2,200円|251P
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 昨日の朝刊各誌は、日亜化学を相手取った中村修二氏の訴訟記事でにぎわ
 った。中村氏勝訴、200億円の文字が躍る。(再度、上告されることは
 まちがいないところだが・・・)
 裁判所は、600億円でもいいとの判断のようだが、原告側が200億円
 「しか」要求していないから満額の200億円になったらしい。
 中村氏も訴訟の当初は20億円、次に50億円、そして200億円と要求
 額がエスカレートさせている。日亜化学と複雑なやりとりがあったのだろ
 うか。日亜化学にしてみればもっとスマートな対処の仕方があったように
 も思えるが、結果論で語っても仕方がない。

 さて、本書は特許をめぐる知的財産経営戦略の本である。
 エジソンは「発明」の代名詞のような存在だが、実は電球の発明に関して
 面白いエピソードがある。電球の製造法(フィラメント)を特許にしたが
 ライバル会社のジョセフ・スワンに訴訟で負けてしまう。彼は、そのとき
 訴訟相手のライバル会社と共同で会社を設立し、ビジネス成功の道を選ん
 だのだという。その会社こそがGEの前身なのだ。(へぇー)

 IBMは特許のロイアルティで年間15億ドル(約1800億円)も収入
 をあげている。また、クロスライセンスという戦略も面白い。
 ゼロックス、アップル、ダウケミカルなど成功、失敗事例もいくつか紹介
 されており、知的財産について考える部署の人にはお薦めだ。

 本書は、知的財産のマネジメントについて5つのレベルを設定し、具体的
 な事例を紹介しながら解説している。見えざる資本、知的資本(インテレ
 クチュアル・キャピタル)をマネジメントできるかどうか・・そういう時
 代になってきたようだ。
 200億円という賠償額はそういう時代の象徴ともいえる。

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   ★★★★+Edison

 
   ・知的財産を活用したい方
   ・特許戦略を考えていいる方
   ・日亜化学の経営企画室の方

Posted by webook at 2004年02月01日 11:29