特別視することがいけません・・・
【福祉を変える経営】
障害者の月給一万円からの脱出
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|著者:小倉昌男
|日経BP社/日経BP出版センター|2003年 10月
|ISBN:4822243648|1,300円
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クロネコヤマトを今ではなくてはならない社会インフラにまで成長させた
戦後の日本経済史に残る人、小倉昌男氏の新たなチャレンジの本である。
今度は、福祉の常識を変えようというものだ。
小倉昌男さんは、小口宅配という誰もがそんなの儲かるはずがないと決め
つけていた事業を、すばらしい事業分野(宅急便)にしてしまった。
その物語は別の本があるが、本書は小倉さんの第二章。福祉改革である。
なぜ、改革か。福祉は現在、さまざまな取組みがなされてきてはいるが、
障害者の給料はなんと月給1万円というのが普通らしい。「共同作業所」
という障害者の方々が働く場所が全国にあるという。そこでは儲かる仕事
というコンセプトはない。空き缶つぶし、牛乳パックつぶし、そして天ぷ
ら油にカセイソーダをまぜて石鹸をつくる・・・などなど。共同作業所を
見学した小倉さん「市場価値がない・・経営という概念がない・・」と驚
くことに。
そこで「市場経済の中できちんと働ける仕組みをつくり、健常者となるべ
く同じようなかたちで自活できるようにする」ことが小倉さんの新たなミ
ッションになったのだ。本書は現在進行形の取組みを語りおこしたものだ。
様々な「常識(=非常識)」や「行政の壁」などもあり、そこで戦ってい
る小倉さんの姿がある。
すでにいくつか成功事例もあり(ベーカリー事業など)、これからの発展
が期待される。こうした取組みもクロネコヤマトで築かれた財力やネット
ワーク、信頼などがおおきなバックアップになっている。
がんばれ!クロネコ!
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★★★★☆+ノーマライゼーション
・福祉事業を営む方
・福祉の改善を考えている方
・社会に貢献したい方