【トヨタのキャッシュフロー戦略】
トヨタ式カネの生み方・使い方の秘密
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|著者:丸山弘昭
|中経出版|2004年 03月
|ISBN:4806119628|1,500円 |191P
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トヨタ経営の要諦を一言で表現すれば、「高い志を持ち続けることとそろ
ばん勘定を合わせること」だという。
高い志を持ち続けるというのは、だれでもそうだよなと同意する。しかし
トヨタが2兆円もの手元資金を有し、超優良経営を続けている背景には、
二つ目の「そろばん勘定をあわせる」という点がみのがせない。はやりの
言葉で言い換えればキャッシュフロー経営を行なうということである。
トヨタは上記2つの基本を「愚直なまでに徹底し続けてきた」ところがえ
りゃところだわね。あのトヨタも、戦後は金策に奔走するような苦しい時
代があった。それをを乗り越え、現在のトヨタ銀行とまで呼ばれるように
なるプロセスを「そろばん勘定=キャッシュフロー」という視点から分析
したのが本書である。さらに、将来への先行投資戦略のしたたかさも見せ
てくれる。
トヨタ生産方式などトヨタの強さを分析した本は最近たくさん出ているが
そろばん勘定の点から書かれた本はめずらしい。本書は、そういう意味で
ユニークだ。
ムダなカネはいっさい使わず、必要な先行投資にはドンと使う・・・そん
な戦略的なお金の使い方はマネしてみたいところだ。
ムダなカネを使わないことは、地味であるがゆえになかなか継続するのが
難しい。景気がよくなればつい緩めたくなってしまうからだ。そこをしっ
かり締めて危機感を継続しているところがトヨタの強みの一つだ。
そして、必要な先行投資にはドンと使う。トヨタが元町工場を作った昭和
34年、誰もがその投資に首をかしげたが、ネライはあたりその後のトヨ
タ躍進の原動力になっている。自動車学校の経営やサービスセンターの設
置なども同じだ。10年20年先を見た先行投資はトヨタのお家芸のよう
だ。最近では、バイオプラスティックのためのサツマイモの栽培、移動空
間を創造するためのGAZOO事業などがある。
「カネを産むカネの使い方」を戦略として見事に進めているトヨタの秘密
を覗いてみよう。
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★★★★★+愚直と先見
・トヨタに興味ある方
・かろーらが大好きな方
・キャッシュフローが大切だって方