クモリガラスが晴れるとき・・・
【やきそばパンの逆襲】
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|著者:橘川幸夫
|河出書房新社|2004年 03月 |230P
|ISBN:4309016278|1,400円 (税込:1,470円)
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フロントガラスがちょっと曇って見にくい時、曇りをサーっとふき取る
と気持ちがいい。そんな爽快感をこの本では味わえる。
世の中、ニュースや記事であふれているが、全体像や深層がクリアに見
えたなぁ!と納得するものは少ない。ニュースも事件も記事も断片的だ
し、解説だって舌足らずだったりするからだ。
そんな欲求不満な感じをスキっとさせる爽快感がこの小説にはある。
異色な本だ。実名の人物や実在の組織などがばんばん出てくるし、今、
私たちのまわりで起きつつある社会現象の萌芽も登場する。
へぇーっと驚きながら、自分もうすうすは感じていた「今そこにある未
来」や「コトの深層」をクリアに意識できる。そんな小説だ。
広告代理店を経営する満、外資系コンサル会社勤務の暮地健人、暮地と
「ルームシェアリング」をはじめた木下佳乃、要海聡美、不動産広告部
長の木下などさまざまな人物に時代のトレンドや、出来事の深層を語ら
せている。橘川さんの洞察が散りばめられていて面白い!
例えば、タクシーの運転手が、兜町あたりで拾ったお客さんから情報を
集め、それを仲間で共有して株取引に活用する秘密結社とか、ルーム・
シェアリングという生活スタイルとか・・・ほぉーというのが紹介され
ている。
橘川さんは、「書くことの楽しさを、ひさしぶりに満喫しています」と言
っている。一気に書いたという小説は、読むほうも楽しくなる。
さて、小説とビジネスの「間」にあるこの本から、あなたにはどんな世の
中が見えてくるだろうか?
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★★★★★+真相と深層
・世の中の動きに興味ある方
・今ある未来を見たいという方
・橘川さん大好きという方