人は、いつも元気でばかりはいられない。時には落ち込み、激しい劣等感
に苛まれることもある。
僕のお袋は、何か落ち込むことがあっても、xxよりはましやで・・と、
自分を納得させるための言葉をつぶやいていた。それはある意味で人生の
知恵だったのかもしれない。この世に悲しいことや残念なことはいっぱい
あるが、もっとひどいことはいっぱいあるある・・・と思えば、少しだけ
気が楽になる。
本書は、そんな材料を淡々とつづっている。
目が見えなくなった同僚を見舞う話。
棒のようにやせ細り老人のような風体になった友人を病院に見舞うと、彼
は、音楽(CD)を聞くことで全盲からの不安と闘っていた。
40歳で離婚し、男手ひとつで子供をそだてている山口の話。
食事は毎日つくらなくてはならない。仕事もある。彼はふたつ決め事をも
っている。ひとつは子供が病気のときは会社を休む。もう一つは、カップ
麺とホカ弁だけは食べさせない。父子家庭の暮らしが浮き彫りにされる。
そのほか、ホームレス、登校拒否などさまざまな話がつずられている。
落ち込んだとき、ちょっとこういう本を読んでみるのもいいかな。
人生にはこういう知恵も必要なときがある。
<オススメ度>
★★★★+静かな力
<読んで欲しい方>
・気分が落ち込んでいる方
・自尊心が危機状態に陥っている方
・劣等感にさいなまれている方