とかく人は境界線を引きたがる・・・
ヨーロッパにきて一番感じることは、多様性ということだろう。
言葉も料理も言葉も歴史もさまざま。
多様性とはこういうことなのね・・・と体感できるところがヨーロッパだ。
本書は、現在拡大途中のヨーロッパの今を分析した本だ。
ヨーロッパの15の国はユーロという貨幣単位で統一され、旅行者にはと
ても便利になってきた。(イギリスはまだ未加盟だからポンドのまま)
2004年5月、欧州拡大でEUは、25カ国、人口4.5億人、GDP
10兆ドルとなった。このとき加盟した10カ国は、ポーランド、チェコ、
ハンガリーなどの東欧8カ国とマルタ、キプロスの地中海2カ国だ。
欧州の歴史は、強いものが征服する戦争と制圧の繰り返しだった。ところ
が今回進んでいるEUの拡大は初めての統合作業だという。
なぜなら、広い欧州領土を、「戦争によらず、平和的にかつ自由意志によ
り、同一の構造の中に統合する」作業だからだ。
本書は、欧州の動きを、政治、経済、アイデンティティ、安全保障などか
ら分析した教養の本である。ヨーロッパ統合の歩みとこれからがわかる。
人があつまると目に見えない線をひきたがる。職場や学校や自治会や何に
よらず同様なことがおきる。xxまでは仲間だな・・・という具合に。
世界の国もさまざまな境界線で分けられてきた。どこそこの国はNATO
加盟刻だから仲よくしようとう軍事的な線。あそこはキリスト教だから仲
間になるのは問題ないという宗教の線、などなど。
(今、EUの悩みは、イスラム教のトルコを仲間にするかどうかだ)
人種も言葉も文化歴史も違う国々がそういった線をなくそうという試みは
人類にとっておおいに注目すべきことなのだ。
大前研一さんは、ボーダレス(点線)の時代だという洞察を展開している
が、EUの中の境界線は、さまざまな意味で点線になってしまった。
ややかたい内容もあるが、教養を高める一冊にしてもいいかな。
<オススメ度>
★★★★+UE
<読んで欲しい方>
・欧州出張の方
・ヨーロッパに駐在の方
・欧州に友達がいる方