誰だって、分からなくなるときがあるものさ。
俺の人生こんなんでいいのだろうか・・・ふとそんなことを思う人は案外
多い。僕もそうだった。会社の中で多少の出世をして、多少の優越感を味
わえたとしても、どこかできっとぽっかり空いた心の穴に寂寥感を覚える
のではないか・・・そんな気がする。
世の中の部長さんとか役員さんとか、はた目には立派でも、心の奥底にそ
んな気持ちを隠し持っている人は多いらしい。
「最近、ちょっとむなしい」「夢がもてない」「人生の目的は何なんだろ
う」などと思った方、ぜひこの本を読んで欲しい。
目標と目的の違いが出てくる。これにはとても共感を覚えた。
目標はいたって簡単。たとえば、課長になる、次のプロジェクトを成功さ
せる、家を建てる、試験に受かる・・・などなど。
目標とはそういう具体的なコトガラだ。
一方、目的は、何をサイコウの価値と思うかという生き方の問題だ。
目的は崇高なのだ。目標はただのターゲット。
いい大学に受かって、有名会社に入るという目標は悪くはない、しかし、
それだけの人生ではつまらない。
こんな仕事で手足の不自由な人の役に立ちたいという目的があれば、そ
れに向かう努力(目標)が楽しくなる。
今日はレンガを3mだけ積むという「目標」と、レンガを積んで将来人々
が感動してくれる大聖堂を作るという「目的」とではおおいに違う。
目的とは、生き方や哲学の問題だ。
本書には人生の哲学をするためのいくつかのヒントが散りばめられている。
魔法の杖だ。
僕の「感じた」杖を拾っておこう。
社会的成功は、競争(自分を喜ばせる幸せ)の原理に基づいている
人間的成功は、親愛(自分以外を喜ばせる幸せ)の原理に基づいている。
ツキとは人との出逢いである。
講演会にも本の中にも、私たちの人生を左右する師がいる。
感謝を知ると、妻に小言を言われてもなぜか腹が立たない
パスカルは「人間とは考える葦である」といった。しかし大切なのは
考えることではなく、どう考えるかということだ。
私たちの人生を面白くし、輝かせてくれるのは、いつも他人である。
これまでの人生は、ウォーミングアップだった。あなたの人生が本当に
スタートするのはいまからだ。
最後に大事なことを書きとめておきたい。人生の目的を考えるヒントだ。
ミカン箱の上にのって「世界のホンダになるぞ」と叫んだ本田宗一郎も、
将来は大リーガーで活躍したいというイチローの夢も、設立趣意書を書
いたソニーの創業者たちも共通することがある。
彼らが書いた(言った)ことは、じつに恥ずかしい代物だということだ。
そうりゃそうだ、冷静に考えれば、よく言うよそんな恥ずかしいことモ
ードの内容だからだ。
ここから著者は大事なヒントを抽出している。
人生の目的は合理的で客観的な理屈の能で考えるものじゃなく、感じる能
で考えるものだという。つまり、情熱やハートや狂気のことだ。
何かを感じて欲しい一冊である。
<オススメ度>
★★★★★+感じる心
<読んで欲しい方>
・人生の目的がわからなくなった方
・わくわくしたい方
・惑える中年子羊の方